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日本人だけが知らない「食用卵」のアブない実態

ヨーロッパならほとんど「違法レベル」
岡田 千尋 プロフィール

長距離のトラック移動と長時間放置

実は改善すべき点はこのバタリーケージだけではない。

最期の日の扱いも、採卵鶏はひどい。

体がぼろぼろになり卵を産めなくなってきた頃、バタリーケージの扉が開けられる。その瞬間、足や羽や頭を掴まれ、輸送用コンテナに叩き込まれる。10秒間に6羽という速さで、”叩き”込んでいく。

骨のもろくなった鶏たちにとっては致命的にもなりうるし、骨折や脱臼もするだろう。頭が挟まったままコンテナの蓋を閉められ、死ぬ場合もある。足がちぎれてしまう場合もある。

逆さまになったままや、積み重なってしまったままで身動きが取れなくなる鶏もいる。この間、異常な鶏たちの叫び声が絶え間なく響く。

その後、長距離のトラック移動と長時間放置が待っている。

 

国際基準でも12時間の輸送になる場合は水を与えなくてはならないことになっているが、昼~夕方にかけて食鳥処理場に到着し、その日の晩はトラックや食鳥処理場の係留所に放置される。水もなければ身動きも取れない。

輸送コンテナの床部分は網状なので、上の鶏の糞尿や割れた卵が、下にいる鶏たちを濡らしていく。夏場の熱帯夜や蒸し暑い日には、落ちた卵や糞尿が泡立ち、ウジが湧く。冬場は凍死もするだろう。

夜から明け方放置していると、野生動物がやってきて、コンテナの中で動きが取れない鶏たちを生きたまま食べる。

夜間放置されている様子

そして翌朝、意識のあるまま首を切られ、長く苦しんで死んでいく。一部の心ある食鳥処理場は首を切る前に意識を失わせるが、いまだに多くが苦しめる方法をとっている。

これらの工程の多くは国際基準にも動物愛護管理法にも違反しているが改善されない。

システマティックに大量に行われる虐待は、虐待ではないのか。不思議でならない。

私たちは何を食べているのか

冒頭に述べた通り、日本人は1年に329個の卵を食べている。

バタリーケージの卵に、あなたは毎日買い物という投資をしている。

そして、この虐待され苦しみぬいた鶏たちの肉は、あなたのミートボールや冷凍食品の肉になり、缶詰になり、チキンスープになっている。

いま一度、自分がなにを食べているのか、なにを犠牲にしているのか、このままでよいのか、考えてほしい。

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