どらまろぐ ~テキストの洪水に溺れる者~

テレビのドラマ番組などを中心に、キーワード研究のためテキスト解析をしています。出現頻度の高いキーワードと共に、関連商品や番組情報(ネタバレ注意!)をまとめたブログです。

anone#05

『anone#05』のキーワード出現数BEST10

  1. 彦星 36
  2. 亜乃音 31
  3. 持本 27
  4. ハリカ 20
  5. 青羽 12
  6. 中世古 12
  7. 彦星君 12
  8. 偽札 10
  9. お金 8
  10. ヤバ 8

『anone#05』の番組内容&情報(ネタバレ注意!)

(青島 玲) 約束してくれるかな?
二度と私達に近づかないって。

(林田亜乃音) 玲ちゃん。

おかあさんが風邪ひいたら
子供にうつしちゃうでしょ。

(辻沢ハリカ) <亜乃音さんと私は

印刷工場の床下から出て来た

 

話は噛み合わないけど、心が噛み合う奇妙な四人の共同生活がスタート!

詳細情報
出演者
広瀬すず小林聡美阿部サダヲ瑛太火野正平、田中裕子 ほか
番組内容
亜乃音(田中裕子)の元には、お金を返すことの出来なくなったるい子(小林聡美)が、舵(阿部サダヲ)とともに謝罪に訪れる。亜乃音は行き場のない二人をどうしても憎み切れず、四人の奇妙な共同生活が始まることに。一方、理市(瑛太)は秘密の別宅で試行錯誤し、両替機を騙すニセ札を完成させる…。彦星がゲームにログインしなくなり不安になったハリカは窓越しに彦星の病室が片付けられているのを見てショックを受け…。
監督・演出
【演出】水田伸生

 

【プロデューサー】次屋尚

原作・脚本
【脚本】坂元裕二
音楽
【音楽】三宅一徳
制作
【製作著作】日本テレビ
【制作協力】ザ・ワークス

 

大量の札束がきっかけで

出会いました>

<手に入れたお金が偽札だった
ことに気付いた私は

亜乃音さんの元を訪ねました>

<家族のぬくもりを知らない
私に

亜乃音さんは
優しくしてくれました>

布団が私を離さないの!

<亜乃音さんが
大金を隠し持っていると思った

青羽さんと持本さんは
亜乃音さんの家に空き巣に入り

私を亜乃音さんの娘だと
勘違いして誘拐して

身代金を要求したのです>

これで
そのコを助けてあげてください。

<ところが亜乃音さんは
娘でもない私のために

亡くなった夫さんの保険金
1000万円で

身代金を払ってくれたのです>

もう… ビックリした。

<でも 身代金に使われたお金は
偽札で

本物のお金は
青羽さんが持ち逃げして…>

<私と持本さんは
青羽さんを見つけ出し

お金を返すよう
説得したのですが

隠していたそのお金もまた
誰かに盗まれてしまったようで>

(持本)お金は働いて返しましょう。
今から行きましょう。

亜乃音さんに会いに。

(玲) 泊まって行ったら?

(中世古理市) また今度にする。

(雨音)

傘 これ。

捨てていいから。
(中世古) あぁ。

♬~

♬~

「あのね 彦星君

盗んだお金を盗まれた
青羽さんと持本さんが

亜乃音さんのところに
行ったんです。

行ったんですけど」。

(青羽るい子)
これから自首してまいります

ハァ~

して来ますので

ハリカちゃん そういうの
もう結構ですからって この方に

そういうの 結構です

あぁ… そういうの
もう結構です

自首させてください
困るんですよ

困るんですよ

でも あの 私が自首しないと

盗まれたお金
返って来ませんから

どっちにしても…
ちょっと手伝わないで

ちょっと手伝わないで
あの 手伝わせてください

そういうの 自己満足ですから

(持本)大金ですし おわび
申し上げたいなと思いまして

もち…
持本です

覚えにくい名前…
手伝わないで

いえ… 自首させてください

もう お昼の時間なので

もう お昼の時間なので
お昼 お昼ですか

お昼 自分作ります
じゃあ 焼きうどん

おいしい
でしょ

ハリカちゃんは何食べても
おいしいって言うの

そうなの?
何食べてもおいしいです


えっ?

(3人) あ~!


おっ…

自首なんてして
警察にどう説明するっていうの

そこは もちろん
正直にといいますか

ここで一万円札刷ったことも
話さざざ…

話さざるを得なくなるでしょ

そこは 上手に話さざざ…
ざざず…

口裏を合わせまして

私 弁護士事務所で
働いてるんです

そんなことが表沙汰になったら
どうなると思う?

僕も青羽さんも
身ひとつの一文無しですが

許されるんなら お金は

働いて必ずお返しします

必ずお返しします

ハァ~

チャイム

あっ

「その日は 亜乃音さんの職場の
弁護士さんが

魚料理を振る舞ってくれる
予定だったらしく…」。

(花房万平)
早く着いちゃいました

(花房)冬日和ですよ

「弁護士という言葉に
2人は おののき…」。

僕らのこと バレたら
亜乃音さん まずいですよね

失職の恐れがありますね

家族ってことにしましょう
(持本)あ~

えっと じゃあ 青羽さんは?
私 亜乃音さんの妹

じゃあ 僕は その妹の夫
で ハリカちゃんは私達の子供

えっ?

「で 私達
亜乃音さんの家族に

成り済ますことに
なったんですけど…」。

いえ 親戚でも
何でもないんですけど

(花房)大丈夫なんですか?

「その頃 亜乃音さんは
とっくに

私達がよく知らない他人だと
伝えてしまった後で…」。

おばちゃん

おばちゃん…?

「それを知らない私は計画を

亜乃音さんに
伝えるだけ伝えて…」。

亜乃音さんも
合わせてくださいね

いやいや 待って待って!

あ…

「そのことを亜乃音さんが
正直に打ち明けると…」。

あぁ じゃあ こっちのほうで
その成り済ましに

合わせてさしあげましょう
せっかくですから

えっ

「私達は そうと知らずに

全く必要のないお芝居を
始めたのです」。

ねぇ 亜乃ねえちゃん

あっ ごめんなさい お客様?

あ… えっと… 花房先生

姉が
いつもお世話になってます

妹さん?
夫です

はじめまして

ねぇ ママ~
ハリカ

亜乃おばちゃん お客様なの

娘のハリカです
娘のハリカです

娘さん
大学生なんです

文学部です
あぁ そう

テニスサークルです
パパとママ そっくり

アハ アハハ…
アハ アハハ…

(花房)
あっ もうすぐ出来ますから
どうぞ飲んでてください

はい

持本さん ご自宅どこですか?

あ… そうですか

亜乃音さん
家族っていいもんですね

はい

(持本)ですよね~ 僕なんか
ずっと独り身だからなおさら…

「亜乃音さんにとっては
災難な出来事でしたが…」。

(持本)でも先生
冬の釣りは寒くないですか?

「先生は すごく面白い方で
いつの間にか みんな

お芝居のことなんて
すっかり忘れて打ち解けて…」。

あの~ 「小春日和」っていう言葉
あるでしょ

あれ実は
秋の空のことなんですよ

(持本)えっ?

冬の季語でしてね
旧暦の10月から…

「先生と一緒にいる
亜乃音さんは

いつもの亜乃音さんと
少し違ってました」。

先生
いつも口開けて寝てますよ

あれ

あの 虫が入んないように
見ててくださいね

入ってたことありますから
(るい子:持本)ハハハ…!

「少し酔った先生を
タクシーが拾えるところまで

亜乃音さんが送って行きました」。

ステキな先生だったね ママ
そうね パパ

フフ

いいんですか?

すいません
ありがとうございます

まぁ また猫が
増えたようなもんだから

「そう言って亜乃音さんは
お布団を2つ

リビングに敷いてあげました」。

「私は 亜乃音さんと
一緒の部屋で寝ました」。

「次の日
4人で歯を磨きました」。

(彦星) 「よかったね」。

「はい
青羽さんも 持本さんも」。

(彦星)
「違うよ ハリカちゃんが。

よかったね」。

「あっ あと最近
またバイトを始めたのですが

そこで ハシビロコウのポスターを
見掛けました」。

(彦星) 「残念ながら
僕の窓の外のハシビロコウ

いなくなりました。

今は 『二十四時間だけの花嫁』
っていう

3月から始まる
映画のポスターになりました」。

「へえ どんな映画なのかな」。

(彦星) 「病気の主人公が
最後に死ぬ映画のようです」。

「へぇ」。

(彦星)
「ポスターを張った人も

まさか もうすぐ死ぬ人に
見られてるとは

思わなかったでしょうね」。

♬~

♬~

「彦星君」。

「私 調べてみたんです。

病院のこととか
その費用のこととか」。

(彦星) 「前に話してた
重粒子線治療のこと?」。

「はい 私ね

彦星君はいつか
治ると思ってます。

もちろん そのために
お金のこととか」。

(彦星)
「すごくお金が掛かるんだよ」。

「うん。

難しいこと たくさんと思う
だけど

彦星君は いつかきっと」。

(彦星) 「いつかっていつ?

何年?

何月?」。

(彦星) 「夜眠る時

目を閉じる時

もう このまま目が
覚めないんじゃないかって思う」。

(彦星) 「今日

あとで

3分後 3秒後。

電球の寿命みたいに

いつ自分が消えても
不思議じゃないんだ。

明日の話なんか遠過ぎる」。

(彦星) 「いつかなんて

3億年先の話と同じ」。

(彦星) 「ごめん。

意地悪言っちゃった」。

(彦星)
「僕の話は面白くないね」。

(彦星)
「きっと映画にもならない。

だからね

ハリカちゃんの楽しい話を
聞くのが

今の僕の一番の楽しみなんです」。

「私

何もしてない」。

(彦星) 「君は今頃 何してるかな
って想像するだけで

まるで自分が体験してるような
気持ちになれるんです。

君の冒険は

僕の心の冒険です。

僕も

亜乃音さん 持本さん

青羽さんのことが
好きになりました」。

(彦星) 「明日の話や

いつかの話は
もうナシにしてください」。

「はい」。


宿題忘れた子供みたいな顔
しちゃって。

どうしたの?

ううん 何でもない。

駅でもらったの。
ふ~ん。

ん?
ん?

そこで働こうと思ってんの?

こういうのって
どれくらいお金もらえるの?

時給2000円とか。

2000円かぁ。

「本日の冒険。

持本さんが 『これ300円
だったんです』と言って

パジャマを買って来ました。

ところが
なぜかそれはセミの模様で

しかも 全面に 無数に。

しかも 実写で。

絶対悪い夢を見そうだったので

青羽さんが雑巾にする
イデアを考えたのですが…。

もっとリアルな結果を
迎えてしまいました」。

(彦星) 「笑い過ぎて
看護師さんが来てしまいました」。

「本日の冒険。

青羽さんが
ちょっと風邪をひきました。

くしゃみが出るように
なったのですが…」。

ヘッ クッ!

あぁ 失礼

あなた
かわいいくしゃみするのね

アハ… 何言ってんですか

かわいかった
かわいかった

ちょっとやめてくださいよ

ヘッ クッ!

(3人)かわいい~

「『青羽さんのくしゃみの
かわいさは

シロクマの赤ちゃんに匹敵する』
そう言って…」。

何やってんですか
もう出ませんよ…

操作音
ヘ… ヘ…

逃げた 逃げた 逃げた

「個人情報なので
動画は送れませんが

音声で お楽しみください」。

ヘッ クッ!

(彦星) 「かわいい~」。

「本日の冒険。

亜乃音さんと買い物に行ったら

向こうから
知り合いが歩いて来たので

亜乃音さん 『あ~ 久しぶり』と
手を挙げたものの

近づいてみたら
全く知らない人で

そのまま何もなかったかのように
通り過ぎました。

そしてさらに 今度は本当の
知り合いと会ったのですが

その人が会話の端々に使う…」。

もうヤバ過ぎて
ヤバいの もう!

「…という言葉が

私と亜乃音さんのツボに
入ってしまい…」。

ヤバ過ぎて ヤバい…

「ヤバ過ぎて
ヤバかったんです。

それでね あのね」。

「お~い」。

「お~い!」。

あっ あぁ 電球消えそう。

ヤバ過ぎて ヤバい!

うん…。

(識別機の作動音)

(識別機の作動音)
(エラー音)

(識別機の作動音)

(中世古) あ…。

(エラー音)

(中世古) チッ。

あっ‼ やった!

わ~‼

(中世古) やった!

やった! あ~! ワ~ハハハ…!

わ~! やった! やった~~!

(中世古結季) ん おかえり。

どうしたの?

やっと朝が来たんだ。

これから始まるんだ。

この機械で
一万円札刷ってたんですよね。

うん そこのね そこから。

ダ~ ダ~ ダ~ ダ~って
もう すさまじかったですよ。

あっという間に1000万円。

へぇ~。

ちょっとしたね
神様になった気分を味わいました。

もったいないですよね
使わないの。

あなた 何考えてんの?
無理だよ。

ここでできるのは ひと目で
偽札と分かるものしか出来ない。

分かってます 違いますよ。

仕事として 印刷屋さんとかも
あるかな~って。

(猫の鳴き声)

ん? どうした?
(猫の鳴き声)

ごはん? ごはん食べる? 上で。

ごはん食べよう
何にしようか 缶詰?

よしよし。

うわ…。

あれ? あれ…。

あっ すいません。

あ… 大丈夫です
何でもないんです。

(水を注ぐ音)

(持本) すいません。

(持本) あ… えっと?

あぁ 中世古と申します
ここの従業員だった者で。

あっ そうですか。

(持本) いや 僕はね 何て言うか
今更な年齢ですけど

何かを作ってみたいんですよね。

何かしら残り続けるもの…
あっ。

中世古さん
前に こちらで働いてらしたって。

あっ そうですか。

以前お会いしました 確か…

発砲事件の犯人が
自殺した日だったかな。

そうでしたか。

何か時給の高い仕事
ありませんか?

(山木)
ハハハ こっちが聞きたいよ。

うわ!

(山木) どうしたの?

♬~


(受付) はい 何でしょう?

紙野…。

彦星君は どこにいますか?

まだ帰ってない?
(持本) はい。

電話してみようかな。

昨日のストレッチャー。
あぁ 紙野君ね。

あっ 前髪の長いコ?
今 集中治療室。

肺炎?
うん 熱出して呼吸不全になって。

あら~。
まぁ やっぱり体力落ちてて。

(患者) かわいそうに。
(看護師) あれ?

紙野君のお父さん
帰っちゃった?

おとうさんなんか来てました?
さっき帰ったよ。

あの 何だかあれでしょ?
ほら何か こう

ダウンジャケットを
顎まで着てる人。

1年前から予約してた
レストランがあるから

行かなきゃいけないんだって。
1年前じゃ悩むよねぇ。

ICUったって会えないんだし。

弟さん
中学受験あるって言ってたし。

(彦星の父)
どっちみち会えないから。

(彦星の母) あのコの分も
おいしいもの食べてあげましょ。

(彦星の父) そうだな。

待って。

待って…。

(呼び出し音)

出ませんか?

うん ちょっと行って来る
アルバイト先は聞いてるから。

僕らも一緒に…。
ううん。

多分 私の気のせいだから。

いってらっしゃい。

いってらっしゃい。

(エンジンの始動音)

(着信音)

もしもし?

あっ 亜乃音さん?

うん。

電話もらってた。

うん 大丈夫。

えっと…
今日 そっち行けないかも。

あぁ そう。

前の友達に会ってね
カラオケ行こうって言われて。

そう。

歌って来ちゃうね。

うん。

連絡 遅くなってごめんね
また明日とか そっち行くから。

じゃあ。

ハリカちゃん?
ん?

1個だけいいかな?

うん。

今 ハリカちゃん
「そっち行けないかも」とか

「明日 行くから」とか言ったけど

ここは もう
行く所じゃないからね。

ここは もう
ハリカちゃんが帰る所だからね。

布団 並べて寝てるでしょ?

今度からは 「行く」じゃなくて
「帰る」って言いなさい。

帰れない日は
「帰れない」って言いなさい。

亜乃音さん…。

今日は帰れない。

今 どこにいるの?

♬~

また宿題 忘れちゃった?

手袋 どうしたの?

バイト先に忘れちゃった。

分かる所に置いてあるの?

うん。

そう。

違う違う ここね いなくていいの。

本当は 私 ここにいても
あんまり関係ないの。

そうなの?

何にも
することないっていうか…。

そう。

どうしようかな~…。

帰ろうかな…。

あそこに 誰がいるの?

ちょっと 私に似てる人。

そう。

似てるんだよね。

久しぶりに会って…。

会っては…

ない けど…。

会ってはないんだけど…。

まぁ うん… そういう人?

彦星君っていうの。

大事な人なんでしょ?

大事な人…。

大事な人だったら

こんな所いないよね。

そばにいるよね。

彦星君のお父さんとお母さんも
今 病院にいないんだよ。

レストランで ごはん食べてる。

ふ~ん。

私と一緒なんだよね。

私も…。

彦星君が…。

苦しんでる時に…。

笑ってた。

熱出してる時に ごはん食べてた。

私 病院の人じゃないから
治してあげられないし

お金持ちじゃないから

いい病院にも
連れて行ってあげられないし。

何にも… してあげられないのは
一緒だから。

私も…

レストランで
ごはん食べてる人と同じ。

ここに いてもいなくても同じ。

全然 大事にしてない。

それだからね 今

帰ろうって思ってたんだよ。

ごめんごめん。

亜乃音さん 帰ろう。

ねぇ~ 早く。

行こ。

ここいても しょうがないから。

行こ。

ここに いなさい。

寒いし 手袋忘れちゃったし。

いなさい ここ離れちゃダメ。

何もできなくていいの。

その人を思うだけでいいの。

その人を思いながら

ここに いなさい。

♬~

♬~

♬~

♬~


亜乃音さん!

彦星君 目 覚ましたよ!

(泣き声)

♬~

♬~

あなた ちょっと
前髪 長過ぎじゃないの?

え…。

♬~

あっ おかえりなさ~い。
(持本) おかえりなさい。

ただいま。

(持本) はい。
トンカツ。

まぁ 夜ごはんが朝ごはんに
スライドしたんで。

(一同) いただきます。

お肉屋さんのね 旗があるでしょ?
あの大売り出しの。

道の こっちと向こうと
その向こうまでさ

わ~って並んでて。

風がね吹くとね それがいっぺんに
バタバタバタ~ってなるの。

はためいて… 鳥みたいに。

その大群がね
私を手招きしてるの。

「大売り出しだよ おいで!」。

「とにかく新鮮だよ おいで!」。

「そっちじゃないよ!
こっちだよ おいで!」って。

私が もう迷わないように。

お盆があるでしょ
ウエートレスさんの。

あれを 2つもらったの。

それがね 私の…。

(手をたたく音)

シンバルだったんだよ。

リコーダー 好きじゃなくて
シンバルが大好きだったから

それで ジャ~ン!ってしたら

止まらなくて悩んでた人の
しゃっくりが止まったの。

うれしくなって 何か また
ジャ~ン!ってしたら

今度は 別の人のしゃっくりが
始まって。

ジャ~ン! ヒクっ!
ジャ~ン! ヒクっ! ジャ~ン!

フフっ 寝ちゃった。

私も この頃から そうでした。

ん?

生きることに必死で
バタバタしてばっかりで。

大人になったら変わるかなと
思ってたけど

相変わらず バタバタ バタバタ。

生きるのは難しいです。

(持本) 思い残すこととか
欲しいですよね。

思い残すことがあるって それが
生きる意味なのかなぁって。

あ~…。

あと できれば 普通に
ひとから褒められたいです。

焼きうどん おいしかったですよ。

焼きうどんですか?
僕の生きる意味って。

生きなくたっていいじゃない
暮らせば。

暮らしましょうよ。

お布団 敷きましょうか。

僕 やりますね。

 

(彦星)
「こんにちは ハリカちゃん」。

「こんにちは 彦星君」。

(彦星) 「元気ですか?」。

「はい 元気です。

彦星君は?」。

(彦星) 「さっき お昼ごはんを
お代わりしました。

元気です」。

「そうですか」。

(彦星)
「その前は ずっと寝てました。

結構 長く寝て
たくさん夢を見ました」。

「どんな夢ですか?」。

(彦星) 「外に出て
パン屋さんに行く夢です」。

(彦星) 「月の出ていない夜しか
開いてないパン屋さんで」。

(彦星) 「僕は その店で
トングとトレーを持って

ぶどうパンと
ピーナッツクリームパンと

りんごジュースを取って
レジに行きました。

レジには エプロンをして

ベレー帽をかぶった
ハリカちゃんがいて

ハリカちゃんは
『ぶどうパン おひとつ

ピーナッツ おひとつ』と
声に出してレジを打ちました。

お金を払うと

『ポイントカードは
お持ちですか?』と聞きました。

『お作りしますか』。

『はい』と答えると

ハリカちゃんは レジの横の箱から
ポイントカードを出し

ポンポンポンと3個 パンの形の
スタンプを押してくれました。

『ありがとうございました』。

ハリカちゃんの声を
聞きながら

僕は店を出ました。

外に出た僕は
そのポイントカードを見ながら

また明日も このパン屋さんで
パンを買おうと思いました」。

(彦星) 「夢の中とはいえ

明日のことを考えたのは

すごく すごく
久しぶりのことでした」。

(彦星) 「そのことが
目が覚めた今も離れなくて

それから ずっと

明日のことを考える癖が
ついてしまいました」。

(彦星) 「僕は ポイントカードを
ためたくなってしまいました」。

(彦星) 「そのうち 僕も

『いつか』って日を 信じるように
なるのかもしれません。

その時 僕は

それは
すごく怖いことなんだけど

生きていたいって
思ってるのかなって。

ううん 生きたいのかな

もう とっくに」。

(彦星) 「今は まだ会えないけど
会いたいのかな」。

(彦星) 「ハリカちゃんに
会いたいのかな

もう とっくに」。

♬~

「あいたい」。

(彦星) 「はい いつか」。

「私 彦星君に会って

もう一度 流れ星が見たい。

前は おぼえてなかったから。

今度は ちゃんと
おぼえておきたい」。

(彦星) 「はい いつか。

いつか ハリカちゃんに
会える日を思いながら

これから毎晩
目を閉じることにします」。

これから印刷屋さんになるの?

(持本) できなかったら
できなかったでいいんです。

せっかく
こんな立派な機械あるし。

じゃあ
中世古君に聞いてみようか。

あぁ… あの人に
教えてもらえるなら最高です!

痛って!

(中世古)
分かりました 今晩 伺います。

はい。

(結季) もういいんじゃない?
そういうの見なくて。

私 この会社つくって

IT長者なんて言われてた頃の
りー君と

今のお弁当屋さんの りー君と

好きな気持ち
全然 変わってないよ。

だまされて 裏切られて

何にもなくなったって
言うけどさ 私は残ったじゃん。

彩月も生まれたじゃん。

分かってるよ 感謝してる。

私は
お弁当屋さんの奥さんで十分。

(チャイム)
(結季) はい。

熱 熱 熱…! 熱 熱 熱…!
ちょ ちょ ちょ…!

熱 熱 熱…! 熱~!

よくボクサーと空手 どっちが強い?
とか言うじゃないですか。

絶対 鍋持ってる人が
一番強いですね。

あと たき火やってる人ね。
たき火?

鍋 初めて。

えっ? それ本気で言ってる?
初めて。

あっ そう。
へぇ~。

最高の鍋 作りますね。
フフっ。

あ~!
え~!

えっ?
何してんの?

みかん鍋 作ろうと思って。
みかん鍋

はい おいしいんですよ。
おいしくないでしょ。

いやいや
仮に おいしかったとしても…。

ねぇ ファーストキスは
どこでする? はい?

ファーストキスが大西洋を渡る
豪華客船の突端だったら

怖さが先に立って
キスのことは覚えてないでしょ?

はい?

ハリカちゃんは生まれて初めての
鍋なのよ ねっ?

初めてが みかんってことは
ないでしょ。

初めての鍋は 校舎裏でいいの
階段の踊り場でいいの。

過剰なロマンは いらないの。

ですよね?
おいしくないでしょ。

はい 撤収
あ~ 危ない あ~ 怖い。

ホントにもう。
はぁ…。

持本さん!
だぁ~! うっ うっ…!

ビックリした…。
うわ…。

あ~
雨の中 ありがとう 入って。

その傘って…。
(中世古) はい?

ううん… 私 同じの持ってて。
(中世古) そうなんすか。

はぁ~ 寒いでしょ 上!

(持本) こんばんは。

ここ どうぞ。

(持本) ビールでいいですか?
あの あ… ちょっとお話があって。

先に?
一緒に食事しながらじゃ…。

じゃあ 先に お仕事のこと。
はい すいません。

よいしょ。

あっ どうぞどうぞ。

え~っと 今日は…。

(物が落ちる音)

(持本) あっ すいません どうぞ。

説明させていただきます。

この一万円札は
E券と呼ばれています。

ABCDEのE。

最初の一万円札が
発行されてからの

その5番目のバージョン
ということです。

紙幣には敵がいて 戦うために
常にアップデートされて来ました。

紙幣の敵 偽札のことです。
中世古君?

E券には偽造防止のため
さまざまな工夫がされています。

まずは この図案
色彩そのものです。

パールインクという
特殊なインクが使用されていて

肉眼では確認できない
マイクロ文字も隠されています。

再現するには1200dpi以上の
印刷機が必要です。

ご存じのように 日本の紙幣は

世界で一番偽造が難しいと
いわれています。

それは何か?
何がE券の最大の武器か?

3つあります。

すかし 凹版印刷 ホログラム。

(中世古) すかしには 黒すかしと
白すかしというのがあって

黒すかしは紙幣の印刷以外での
使用を法律で禁止されています。

凹版印刷。

指先の感触で識別できるように
インクで厚みをつけています。

日本に存在する凹版印刷機は

全て警察の監視下にあると
いわれています。

この2点に関しては
民間の技術では…。

中世古君 もうやめましょう。

(せき払い)
もうすぐ終わります。

いや 今日は
そんな話をしてもらうために…。

亡くなられたご主人にも
かかわるお話です。

つい1年前まで
僕とご主人は2人で

偽札の製造に取り組んでました。

ご主人が亡くなった後
僕は もう一つの観点から

偽札に向き合って来ました。

偽札には2種類あります。

人の目をだます偽札と
機械の目をだます偽札。

僕が取り組んで来たのは
自動販売機 両替機

銀行のATM
これを突破するためのものです。

(中世古) 紙幣の識別機は
磁器 赤外線 光のセンサーで

データを読み取っています。

紙幣のどこの何を
読み取っているのかを

解析できれば機械は だませる。

これは自販機に内蔵されている
識別機の一つです。

(識別機の作動音)

自販機だけじゃありません。

銀行のATMだって解析できれば
今と同じことが可能だ。

(雷鳴)

(中世古) 今日 ここに
お邪魔したのは 皆さんに

この偽札の製造に
協力していただくためです。