この度、人工知能応用センターを設立する運びとなり、一言ご挨拶申し上げます。
昨今のニュースで、人工知能(以後、AIと記す)の話題に事欠かなくなっています。私が、AIを始めて知ったのは、およそ30年前となります。その当時は、今と同じくAIブームでした、所謂、第2AIブームの時代でした。国も、多額の予算を組み、多くの投資を行い、エキスパートシステムを始め多くの成果を出しましたが、実用段階では思うように進めることができませんでした。
しかし、その後も着実に成果を積み上げており、昨今のように何でも「AI」を冠することは無かったですが、各方面で利用されてきました。第2AIブームからおよそ30年が過ぎ、コンピュータの発展、ディープラーニングの発見により、昨今の第3AIブームとなっています。第2AIブームの課題を克服し、新たなIT世界が始まっています。
産業界でば、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化による第1次産業革命、20世紀初頭の電力を用いた大量生産による第2次産業革命、70年代初頭からの電子工学や情報技術を用いたオートメーション化による第3次産業革命に続き、IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等の技術革新による経済社会の変革を内閣府では第4次産業革命と呼んでいます。
「平成29年度年次経済財政報告」では、内閣府の企業意識調査によると、IoT・ビッグデータ、AI、ロボット、3Dプリンター及びクラウドのうち、いずれか一つでも2017年2月時点で既に導入していると回答した企業が全企業に占める割合は36%となっています。また、いずれの新規技術も導入していないが、少なくとも1つの新規技術の導入を検討している企業は24%となっています。すなわち、我が国の6割程度の企業がこうした新規技術に対して関心を持ち、活用に向けて少なくとも検討を進めていると報告されています。
企業が成長するためには、時代の変化に適応してビジネスモデルを変革することが必要と言われています。しかし、ビジネスモデルを変えることは容易ではなく、企業内の人材だけでは既存のビジネスに関しては専門家ですが、自社のビジネスモデルの外側に関してはあまりよく知らないことが見受けられます。そのため、ビジネスモデルを変革することが容易ではなく、同業他社の状況に追随していることが多くあります。「赤信号みんなで渡れば怖くない」の状況が発生し、新規に参入された企業に業界全体が負ける現象が発生します。