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制服姿の小学生、大阪はなぜ多い 実は大人の都合?

2013/7/27

 夏休みシーズンに入り、制服姿の小学生が街中からめっきり減った。そこではたと気付いたのは、そもそも大阪は制服を着る小学生が多いことだ。大阪府の公立小学校に通う子どもの3人に1人は制服を着ているらしい。しかも地域によって着用には格差があるという。

 制服生地の最大手、ニッケに興味深いデータがあった。公立小学校の制服導入率(2012年度)の推計だ。制服を導入している学校に通う児童数が全体に占める割合にあたる。

 結果は大阪府で34.5%。全国平均の15.6%より高く、東京都(2.5%)、愛知県(5.6%)などを大きく上回る。単純計算では大阪では15万人強の小学生が制服を着ており、2位の広島の約10万人をぐっと引き離す。ちなみに導入率でみると関西では奈良が59.7%、滋賀が47.3%と割に高い。

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 導入率が高いのは「繊維産業の盛んな地域」(衣料繊維事業本部の金田至保・販売第1部長)。岡山(98.5%)、福井(89.7%)、石川(86.7%)がそうだ。繊維問屋の多かった大阪も、この文脈でなら合点がいく。

 では大阪の公立小学校に制服が広まったのはいつごろか。箕面市で約50年前から制服販売店サンコーを営む小里治さんは「各小学校に一斉に売り込みをかけたのは昭和40年(1965年)代ころ」と振り返る。

 小里さんによれば、制服を着せる小学校はそれまでほとんどなかった。当時の制服の多くはウール製。成長にあわせて買い替えるには高価だった。

 転機は技術革新。帝人と東レが1958年に合成繊維のポリエステルの量産化に成功した。これで破れにくく、洗濯できる制服を安くつくれるようになる。市場として小学校に目を付けた両社は65年ごろから普及に取り組んだ。

 繊維事業のお膝元である大阪では特に力が入った。小里さんも大阪市内の200校にパンフレットを送り、関心を示した50~60校に導入を働き掛けた。セールスポイントは私服を毎日着替えるよりお金がかからない、学校の一体感が出る、などだった。

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