今日は、読者からのモヤモヤメールにコメントする、一人小町です。しばらくは、まとめて紹介していきます。今日は、育児におけるテレビの視聴について。
Q. テレビなしの育児について教えてください
斗比主様
はじめまして。いつもブログやTwitterを拝見しております。
以前ブログで家にテレビがないと書かれていましたが、テレビ無しの子育てがどういうものか教えて頂きたいと思いメールしました。
私が疑問に思ったのは以下の2点です。
①幼児期にアンパンマンやEテレを見せずにどうやって家事をしていたのか。
②友達と遊ぶようになると、プリキュアや戦隊ものを見たがるのではないか。
今私は10ヶ月の子供を育児中で、夕方のグズる時間にテレビをつけっぱなしにしています。まだ集中力がないので、じっと見ていませんが少しでも大人しくなるとほっとします。
子供にテレビを見せることに罪悪感があり、今後のテレビとのつきあい方を考えています。お時間のあるときに、Twitterやブログの記事にして頂けると嬉しいです。
わかめ
A. 我が家はテレビレス育児みたいな感じ
我が家の事情について知りたいということでお答えします。
まず、
①幼児期にアンパンマンやEテレを見せずにどうやって家事をしていたのか。
については、落胆させるようで恐縮ですが、テレビは見させてませんけど、インターネットで動画は見させていました。Youtubeとか。
ただ、時間はせいぜい一日一時間ぐらいだったかと記憶しています。幼児のテレビ視聴時間は平均三時間ぐらいだったはずなので、少ない方ですね。ゼロじゃないけど少ないから、テレビレス育児みたいな感じ。
では、画面を一時間しか見せないで、どうやって家事をしていたかといえば、すいません、これも期待に沿えないかもですけど、家事の手を抜くようにしていました。夫婦で話して、子どもが小さいうちは子どもと接する時間を増やすという方針にしていたからです。
ただ、子どもとずっと一緒だと死にたくなることがあったので、児童館とか公園にはかなり入り浸っていました。あと、夫婦でかなり分担していました。一人では煮詰まる。
次のご質問の、
②友達と遊ぶようになると、プリキュアや戦隊ものを見たがるのではないか。
については、動画配信サイトでそういう作品は見てましたというのが答えです。すいませんね、これもご期待に沿えずで。ただ、友達が見ている作品を見ていたかといえば、必ずしもそうではないです。
うちの子たちは、プリキュアで例えるなら、最新のHUGっと!プリキュアから遡って過去作品を見ていました。それこそ10年ぐらい遡ってましたから、他の子どもたちとはそのネタでは会話が成立しません。それでも、楽しんで見てましたね。
友達との会話は色々な要素がありますから、プリキュアや戦隊ものを見ていなくても、意外と何とかなっているようでした。というか、私が子どもの頃に比べると今時は子ども向けコンテンツが豊富すぎて、必ずしも大勢を占める人気キャラがいないのが原因かとも思いましたが。
アンパンマンにはかなりの割合の子どもが魅了されますけど、それより上だと結構分岐するんですよね。女の子では、プリパラ、アイカツ、プリキュア、ソフィアがあるし、しまじろうや妖怪ウォッチやポケモンやドラえもんが好きな子もいます。人形遊びもしますしね。シルバニアファミリーとか、リカちゃんとか。女の子でも、仮面ライダーが好きな子もいますし。後は、ユーチューバーの動画とか。
ですから、見るコンテンツを親が方向性付けるのもできるっちゃできます。見させないこともできます。ただ、我が家では、ゼロにはしないで、見るコンテンツは私たち親は絞っていませんでした。セーフサーチをオンにするぐらい。見る時間は、繰り返しですけど、一日一時間ぐらいに絞りましたけどね。
「そんなに画面を見させていないのだから意識高いんだろう」と思われるかもですが、それよりも、私たちの子どもたちに発達上の凸凹があったのも、画面の視聴時間を絞った背景にはあります。詳しくは本題じゃないのでこれ以上は書きません。
A. テレビ視聴と子どもの発達に関する研究・専門家のコメント
一応、私がどうしていたかを回答しましたが、本当に知りたいのは「テレビを見せないと子どもがグズるものの、テレビを見せるのは罪悪感があるため、テレビを見ないで済む何か良い方法はないか、もしくは、テレビを見るにしても良い見方はないか、もしくはテレビを見て問題はあるのか」ですよね。
私は別に小児科医でも児童心理の専門家でもないので、これを答える立場ではありませんから、専門家のコメントを紹介します。
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授の菅原ますみさんによれば、
「テレビ子守」 子どもへの影響は小さい? | テレビ、スマホとの付き合い方を科学的に知る | 日経DUAL
――もう1つの、テレビの視聴時間の影響についてはいかがでしょうか。
菅原 様々な研究によれば、テレビの視聴時間が乳幼児の発達に及ぼすという大きな影響は、今のところ認められていません。
私たちが行っている調査でも、テレビの視聴時間の長さが子どもの問題行動に結びつくという因果関係はみられない、という分析結果が出ました。
――なぜそのような結果になるのでしょうか。
菅原 発達心理学の研究で分かっているのですが、乳幼児の発達に大きな影響を与えるのは、絵本読みや外遊びを通した人とのコミュニケーションです。
例えば言葉の発達ですが、テレビを長時間見ていても見ていなくても、絵本を多く読んでいる子どもであれば、その子どもが発する語彙量は増えます。
逆に言えば、テレビを見ていない家庭でも、絵本を読んでいる時間が少なければ、子どもの語彙量は増えません。
要するにテレビ視聴というのは、絵本読みや外遊びほどには、子どもの成長には影響を与えないのです。
ということで、テレビ視聴時間が長くても問題行動を起こすという因果関係は確認されていないようです。2014年の日経DUALでのインタビュー。
ただ、テレビ視聴時間が長い(4時間超とか8時間超とか)子どもは言語に遅れが出るということで、テレビ・ビデオの長時間視聴は危険だと日本小児科学会は2004年に次のような提言を出しています。
2004.04.08 日本小児科学会が緊急提言 「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」
日本小児科学会はこのほど、「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」と題する緊急提言を行った。同学会こどもの生活環境改善委員会が実施した調査の結果、1.長時間視聴は1歳6カ月時点の意味のある言葉(有意語)の出現の遅れと関係がある、2.特に日常やテレビ視聴時に親子の会話が少ない家庭の長時間視聴児で有意語出現が遅れる率が高い、3.このようなテレビの影響にほとんどの親が気づいていない--などが明らかになったためだ。
米国小児学会はこれより以前の1999年に提言をし、2011年には悪影響がある可能性を報告しています。
では、どっちが正しいのかといえば、菅原ますみさんのインタビューの根拠を確認していないものの、両学会の結論は相関関係しか説明していないようだし、因果関係があるわけではないのはそうなんだろうなと私は思いました。(あくまで、私がそう思っただけですよ。)
「3歳児神話を検証する2〜育児の現場から〜」|第1回学術集会|日本赤ちゃん学会(この検証をしているのも菅原ますみさん。当たり前ですけど、しっかりしている)
特に日本小児科学会での調査は、親子の会話が少ない家庭の長時間視聴児で言語が遅れるとも確認しているわけで、親子がコミュニケーションしないから言語が発達していないだけでテレビ視聴の長さが原因ではないという推測もできますし。この辺は、菅原ますみさんも触れられてますね。
ベネッセのサイトで、菅原ますみさん含めて専門家の方が具体的な処方箋を丁寧に書かれていますので、詳しくはこちらをご覧になるといいかと思います。例えば、一日にどれくらい見ていいかについては、
Q.乳児向けビデオ・DVDは1日にどのくらい見せてもいいの?-小さな子どもとメディア
一日にビデオ・DVDやテレビを4~5時間も見ることは、自由時間の半分以上を一つの活動に使うことになります。乳児にはより多様な経験をさせたいので、「2時間以内」という回答は、実証はされてはいないものの、かなり合理的な数字だと思われます。
乳児は睡眠時間が長く、排便や食事にも時間がかかり、そもそも自由時間が少ないから、エビデンスはないけど2時間以内がいいんじゃないかという回答です。
締め
親が楽したら子どもがダメになるかといえば必ずしもそうではなく、親が苦労することで煮詰まってイライラを子どもにぶつけ悪影響を与えることもあります。
「親だから」の呪縛。子どもを放置して死なせた親は、育児を"頑張っていた"(Buzzfeed)
その家庭ごとの事情もあるでしょうし、テレビを見させるのは悪いこと!と思い込まずに、状況に合わせて柔軟な運用をするといいんじゃないかと私は考えています。