(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年2月7日付)

【特集】敵か味方か!? 進化するロボットやAI技術

パキスタンのムルタンにあるピザレストランで、注文の品を運ぶロボットウエートレス(2017年7月4日撮影)。(c)AFP/SS MIRZA〔AFPBB News

 この通話は訓練目的のために録音・監視されるかもしれません――。

 このセリフはコールセンターで頻繁に使われる免責情報だ。だが、いったい誰に監視されるのだろうか。その答えが今、変わり始めている。

 ある米国のコールセンター職員は筆者に、以前は電話の内容を聞く人間のチームによって監視されていたと話してくれた。

 ところが今では、彼女が話すことと、その言い方に基づいて、コンピュータープログラムが成績を評価するのだという。彼女のボーナスは今、アルゴリズムをどれほど感心させられるかにかかっているのだ。

 経営管理の判断を下すためにスタッフに関するデータを収集するという考えに、目新しいところは何もない。

 「科学的管理法」の父、フレデリック・W・テイラーは1世紀以上前に、ストップウオッチを片手に工場内を歩き回った。

 だが、人工知能(AI)の進歩は、コールセンターでのパフォーマンス管理から投資銀行での人材採用に至るまで、数字による経営管理の新たな機会をもたらしている。

 もういい加減そうなっていい頃だと言う人もいるかもしれない。何しろ人間の管理職は、偏見に満ちている。意識的な偏見もあれば、無意識の偏見もある。