ちょっとしたバイト代と海外旅行のために、人生を棒に振るわけです。
更に、日本側でなく出国時に海外で勾留されるリスクもあります。海外では、言葉も通じず、日本と刑事手続も全く異なります。
何が起きているのか、何がこれから起きるのか分からない状況で長期勾留されることを考えていただければ、その精神的苦痛は十分想像できると思います。
以前、違法薬物輸入事件で一年近く日本にて勾留されている西洋人と接見したことがあります。その被告人は、他者のいうことに強い疑念を抱くようになっており、20代にも拘らずやつれて中年以上に見えました。
●3.他人の荷物は預からない
桜木氏の件は、日中の報道しか触れられませんので、同氏の主張が正しいのか、検察の主張が正しいのか判断は出来ません(一審判決は2014年中には下されます)。
しかし、仮に桜木氏の主張が正しいとすれば、こんなに恐ろしいことはありません。
日中の法律に関わるものとしては、適正な手続のもと、事実が明らかにされることを祈念すると共に、面識のない人から荷物を預かることのリスクを多くの人に知っていただければと思う次第です。
海外に渡航する際には、信用できる人間から直接渡される物以外は預からないようにし、預かった場合はその旨税関に申告するようにすれば冤罪リスクを減らせます。
御礼やチケットをあげるから運んでくれなど、うまい話には要注意です。海外で突然勾留されることを想像すれば軽率なことは出来ないはずです。
*著者:弁護士 東城 聡(高井・岡芹法律事務所。得意分野は、渉外取引・労働事件。特に現在はアジア方面の渉外事件と労働事件に注力している。コンサル出身のノウハウを活かし、積極的に支援を実施。)
コメント 0件