前回の続き、日本の株式市場を左右する「外国人投資家」についてまとめます。
【前回記事】
今回のはじめは、外国人投資家の日本株売買の歴史を振り返します。
それで将来の流れが読めるとは言えませんが、ヒントになるかもしれません。
株式相場は不確かなことばかりですが、運任せの要素を減らしていきたいです。
振り返りとアノマリー
1990年以降、2016年までの日本株の累積買い越し額は82兆円。
この期間で最高の買い越し額は「小泉元首相の構造改革への期待」があった2005年の10兆超、そして第2時安倍政権の2013年の15兆円超です(この際は「異次元の金融政策がセット」です)。
買い越しが続いたのは、
⑴米国相場と比較して出遅れ状態
⑵政治への期待
⑶ようやくコーポレートガバナンス改革を意識したため
でしょうか。
前回の記事でROEについて言及しましたが、日本の投資家と比較し、外国人投資家の方が株主重視を意識します。
そして、海外からすれば、日本国内の細かい政治情勢よりも政治のトップが安定することで「強い政治」を意識しやすいといえます。
2017年秋の選挙後の外国人投資家による日本株の爆買いはまさにその一例です。
季節的なアノマリー
過去の流れからこんなアノマリーがあります。
4月に買い越し、8-9月に売り越す
4月については、2001年以降の外国人投資家は17年連続で日本株を買い越しいてます(現物取引)。
一方、8月は2017年まで過去8年連続で売り越しています。
また、9月については、2016年までの過去10年のうち7回も売り越しの結果です。
7月のサマーラリーが終わった後の秋頃は海外でも株価のパフォーマンスが悪い季節ですね。
今年、2018年も4月に買い越せば18年連続です。
この記事を書いている前日の2018年2月6,7日は日米相場が暴落したので、4月の買い越しの可能性がますます現実的になったような気がします。
【参考記事】
大量保有報告書で本気度を確かめる
市場の公平性・透明性を保つため、大量保有報告制度は1990年導入。
国内投資家か外国人投資家に関わらず、保有比率が5%を超えた時のみならず、1ポイント以上の変動があった場合に変更報告書を出す必要があります。
大量保有報告書については金融庁のEDINETで検索できます。
また、週末の「日経ヴェリタス」の後ろの方にも、その週に大量保有された銘柄と大量保有者が掲載されます。
運用会社などが大量保有報告書を出すということは、その銘柄に自信がありことの裏返しともいえます。
つまり、長期保有し、買い増しをしてくれる可能性に期待できます。
2017年8月中旬にブラックロックが鳥貴族の大量保有報告書を出しましたが、その後の株価をぜひご自身で見てみて下さい。
今回はここまでにします。
次回は海外の巨大な政府系ファンド(SMF)や相場を掻き回すアルゴ取引のHTFについて基本的なことを書きます。
ご覧頂きありがとうございました。
【参考図書】
№1ストラテジストが教える 日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法
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