違法行為を強要されたら  

東芝の粉飾決算問題で、違法行為と知りつつ関わった社員は何千人といたはずですが、これを止めようとする人はおらず、7年目にしてようやく一人の社員が内部通報することにより明るみに出ました。上司から違法行為を指示されて悩む人は多いようで、ネットの掲示板にもたくさんの相談が投稿されています。そこで、違法行為を強要されたとき、どのように行動するのが正解なのか、考えてみましょう。

まず、違法行為に加担することにより、どのような罰を受ける可能性があるかについて確認します。たとえば粉飾決算に加担した経理担当者は銀行に対する背任罪(刑法 247条)として5年以下の懲役、虚偽の決算書を作成したなら刑法159条の私文書偽造罪で5年以下の懲役を科される可能性があります。たとえ経営者や上司からの命令によるものでも、実行犯として刑事罰の対象になります。したがいまして、違法行為を指示されたときの正しい対応は、拒絶することです。指示されて行なっていた業務の違法性にあとから気づいた場合も、違法業務についての就労を拒否することを上司に伝えるべきです。それにより解雇されても不当なので法律上無効になります。

とはいえ実際には、役職なしの経理担当者が罪に問われるケースはほとんどありませんので、その点はあまり怖れることはありません。むしろこの法律知識を説得材料にして、上司からの不正な命令を拒んでください。「そんなことをしたら私が刑事罰を受けることになるんです」というふうに陳情してみてください。

それでも不法行為の指示がおさまらないようなら、いよいよ決断すべき時です。選択肢は3つあります。

1.会社と戦う
2.退職する
3.黙って従う

東芝社員の大多数が「3.黙って従う」を選んだことは周知の通りです。不法行為が横行する会社には、すでにこのタイプの社員しか残っていないと考えるべきです。その事態をつまらないと感じるような人は「2.退職する」を選択してもう去っているのです。正義感の強い人は「1.会社と戦う」を選ぶかもしれません。それもひとつの生き方でしょう。そんな人の投稿をひとつ紹介します。

会社の違法行為について (総務の森)

この人は会社の違法行為を看過できず、公然と経営批判をして会社側と戦ったそうです。このような人がいれば、同調する仲間が少しずつ増えていって、最終的には経営陣が行動を改めるということになるでしょうか。そうなれば、「半沢直樹」などが好きな人にとっては興奮するシナリオかもしれません。しかしこの投稿者のケースでは、とくに同調してくれる仲間も現われず、社内では一人で大騒ぎしている変な人と見なされていたのではないかと思います。心労と過労からうつになり退職。それでも悔いはないと思いますが、「1.会社と戦う」場合の現実はこのようなものかもしれません。

そこで、現実的な選択肢としては、面倒だから「2.退職する」のか、それとも生活のために「3.黙って従う」かの判断になるでしょう。この社会では退職することの損失が甚大ですから、「3.黙って従う」を選択する人を誰も責められないと思います。自分の手が黒く染まっても家族を守りたいという気持ちには共感せざるをえません。しかし可能であれば、やはり「2.退職する」のが理想的なのだと思います。違法行為に頼って延命しようとしているような会社で働くのは無為なことです。つまらない会社にしがみつかなくてもいいように日頃から自分の価値を磨いておくことができれば、「2.退職する」という選択肢を選べるようになります。そして、そのついでに社会正義のために内部告発をしてあげてもよいかもしれません。

東芝の粉飾決算問題をみていて、私はひとつ思いついたことがあります。違法行為を強要されたとして従業員が会社に対して集団訴訟を起こすことはできないだろうかということです。違法行為を強要されると、仕事のモチベーションが著しく損なわれます。それは一種のパワハラだといえないでしょうか。従業員に違法行為を命じること自体が刑事罰に問われることはないのでしょうか。

これについては前例が見当たりません。おそらく法的には次のような論理になっているのでしょう。「違法行為を命令されても法的に無効なので従う必要はない。にもかかわらずその命令に従うのなら、その人に責任がある。」しかし、現実的に会社という閉鎖的な組織にあって、そこに生活を握られている状況を鑑みれば、違法行為から従業員を守るより強力な手段が必要なのではないかと私は強く思います。現状では、経営者に法令遵守のモラルが欠落している場合に、それを矯正する力が圧倒的に不足していると思います。

以上、違法行為を強制されたときの考え方を整理しました。悔いのない判断をするための参考になれば嬉しいです。
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