台湾大地震をきっかけに再び流されるデマ
台湾東部でM6.4の大地震が起きたことで花蓮市を中心に大きな被害が出ています。台湾は東日本大震災の時に200億円以上の募金を送ってくれました。このご恩を返す時が来たと思いますので、私も台湾の支援のための義援金に参加したいと思っています。
まだ日本赤十字や日本の大手メディアでは台湾支援のための義援金はまだ開始されていませんが、その一方で義援金の募金先の注意事項なるものが流布されています。ドラえもん募金・サザエさん募金・日本ユニセフ・ピースウィンズなどは募金が北朝鮮に流れたりピンハネされるというものです。
とりわけこのドラえもん募金が北朝鮮に流れるという話に衝撃を受けた人達が多数います。
ドラえもん募金が北朝鮮に流れるという話はデマである
まだドラえもん募金も始まっていませんが、ドラえもん募金が本当に北朝鮮や北朝鮮政府に流れているのならば避けた方が良さそうですね。しかし、このドラえもん募金が北朝鮮に流れているという話はデマです。この話は2005年2月頃に「ドラえもん募金スマトラ沖大地震被災者支援」で以下のような感謝と使途の告知が出たことを根拠にしています。
テレビ朝日では、平成16年12月28日から平成17年1月31日まで
「ドラえもん募金スマトラ沖大地震被災者支援」を行ってまいりました。
皆様から寄せられた善意の募金88,760,300円にテレビ朝日からの
寄付金2,500,000円を加え、募金総額は91,260,300円となりました。
このうち59,000,000円については、既に寄付を済ませておりますが、
残りの32,260,300円を日本赤十字社に寄付することを決定、
2月17日に贈呈しました。
この結果、寄付先と金額は下記の通りとなりました。3,000,000円 AMDA
3,000,000円 日本ユニセフ協会
3,000,000円 日本赤十字社
82,260,300円 ピース・ウィンズ・ジャパン皆様の善意に心から感謝致します
ドラえもん募金の大部分がピース・ウィンズ・ジャパンというNGOに注ぎ込まれたことになります。このピース・ウィンズ・ジャパンは紛争や災害の被害に遭った地域の支援を行うNGOです。このNGOは北朝鮮との繫がりが深いのでドラえもん募金の大部分は北朝鮮に流されると糾弾しているブログやまとめサイトが沢山あります。
しかし、この告知文をよく読むとおかしい箇所があることに気づくかと思います。「残りの3,200万円を日本赤十字社に寄付することを決定」「この結果、寄付先と金額は下記の通りとなりました」という結果に、「日本赤十字社 300万円」と書かれてあるのです。桁が1つずれています。誤記だと思われます。この誤記の件については2013年に id:hokke-ookami 氏が以下の記事で検証しています。
私もarchive.orgで2005年2月頃のドラえもん募金のページを見てみました。誤記が載っている日付は見られませんでしたが、2005年2月22日には誤記は訂正されています。82,260,300円は日本赤十字と書かれています。
「うっかり本当のことを載せてしまったのではないか」という穿った見方をすることも確かにできるかと思いますが、その見方を立証するならばより確からしい証拠を出す必要があるように思います。
またピース・ウィンズ・ジャパンと北朝鮮が繋がっているという記事や、大西健丞氏が連合赤軍と接点があるとするネット上の記事も全て憶測で証拠となるものは出てきていません。
サザエさん募金は北朝鮮に流れているとするのもデマ
サザエさん募金は北朝鮮に流れているのでしょうか?この話も何ら根拠となる記事は見当たりませんでした。サザエさん募金の熊本地震ページでは全額を日本赤十字に寄付したと書かれてあります。
FNSチャリティ:「フジネットワークサザエさん募金」 - 平成28年熊本地震被災者救援についてのご報告 - フジテレビ
ユニセフがピンハネしているという話についても、ユニセフ側でデマであるとして反論記事を出しています。
東日本大震災から私達が学んだ重要なことの1つとして、災害時には必ずデマが流されるので正しい情報に当たって検証していく姿勢が求められるということがあったのではないでしょうか。日本のマスメディアや国際機関の腐敗を憎む気持ちはわかりますが、だからといってデマを流して良いわけではないでしょう。
義援金の受付が始まっていない中で議論するのは早計だけど
台湾大地震の義援金の受付が始まっていない中で議論するのは早計ではありますが、デマはデマです。デマの流布には事実でもって訂正していく必要があるでしょう。
台湾で被災された方々に一刻も早く支援の手が渡ることを願っています。あともう1つ重要なツイートを貼っておきます。