廃止が予定されている午後5時32分大分発由布院行きの久大線上り普通列車=大分市のJR大分駅 JR九州が列車の大幅減便を予定している3月17日のダイヤ改正について、大分合同新聞は県内18市町村長に緊急アンケートを実施した。約8割に及ぶ14人が「住民の利便性が低下する」などと回答、一方的な減便に否定的な姿勢を示した。沿線地域からは「承服できない」との声が続出しており、県内自治体の懸念があらためて浮き彫りになった形だ。各首長の見解を伝える。 減便計画に「反対」と答えたのは中津、日田、臼杵、津久見、豊後大野、由布、日出の7市町長。「どちらかといえば反対」としたのは佐伯、竹田、豊後高田、杵築、姫島、九重、玖珠の7市町村長だった。 一方、3人は「JRの経営判断」などを理由に、賛否に関しては「どちらともいえない」とした。残る1人は「市民に意見を募っている最中」と回答を避けた。 観光振興に水差す JRは昨年12月15日、赤字が続く鉄道事業の合理化を目的に、1日当たり現状より117本減らして3011本とする過去最大規模の減便計画を発表した。県内は日豊、久大、豊肥3線の運行本数が1日38本減り、減便数は九州全体計画の約3分の1に及ぶ。 「復旧・復興に一丸となって努力している市民意欲を低下させる」。昨年9月の台風18号で甚大な被害を受けた津久見市は、JRと連携して観光振興や交流人口の増加を目指している。水を差す減便計画に川野幸男市長は「容認は困難」と厳しい。 日出町の本田博文町長は「町内4駅の乗降客はここ数年、順調に増加している。町民の利便性が低下する」と指摘。九重町の日野康志町長は「JRの経営課題は理解できるが、地方創生の観点からは公共交通の確保は重要」と訴えた。 「どちらともいえない」とのスタンスを示したのは別府、宇佐、国東の3市長。市内にJRの駅がない国東市の三河明史市長は「お客さんが少なければ、株式会社なのでやむを得ないと思う」と答えた。 意見集めて伝える 大分市は削減対象となった大分駅発着の31便を独自に公表。9日まで市民の声を募っている。 集まった意見はJR側に伝えることにしており、「市長が個別に具体的な考えを示すことで(市民の判断に)影響を及ぼす懸念がある」と佐藤樹一郎市長。ダイヤ改正の賛否は「回答を差し控える」として態度を明らかにしなかった。<メモ> 緊急アンケートは1月下旬から2月初旬にかけ、県内18市町村長に書面や聞き取りで実施した。内容は▽減便計画に対する賛否▽それぞれの自治体でどんな影響が出るか▽課題に感じている点―など計4項目。全員から回答を得た。 駅無人化に知事が苦言 利便性低下なら乗客減、さらに減便も