「使った瞬間に違いが分かるほどのパフォーマンスの向上が見られる」:最新版SPARC M8登場! Software in Silicon v2で何が強化されたの? Solaris 11.4はどうなるの?

2017年11月16日にOracle SPARCサーバ製品のユーザー限定セミナー「Oracle SPARC Leaders Club」が行われ、最新の「Oracle SPARC M8」プロセッサを搭載した新サーバについての説明がありました。このセミナーでは、米国のOracle本社からプロダクトマネジメント担当のバイスプレジデントであるMarshall Choy(マーシャル・チョイ)さんが来日して講演しました。SPARCはこれまでどのように進化してきたのか。最新のSPARC M8プロセッサでは、どのような進化を遂げたのか。そして、SPARC/Solarisは今後どうなっていくのかについてお話を伺います。

» 2017年12月18日 10時00分 公開
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「Oracle SPARC Leaders Club」開催

こんにちは。SPARC/Solaris Worldの3代目ナビゲーター、加藤多佳子です。2017年12月から新たにSPARC/Solaris Worldのナビゲーターになりましたので、元気にSPARC製品群を応援していきたいと思います。これからよろしくお願いいたします。

早速ですが、2017年11月16日にOracle SPARCサーバ製品のユーザーさま限定セミナー「Oracle SPARC Leaders Club」を取材して来ました。このセミナーでは、米国のOracle本社からプロダクトマネジメント担当のバイスプレジデントであるMarshall Choy(マーシャル・チョイ)さんが来日して講演しており、9月18日にワールドワイドで発表された「Oracle SPARC M8」プロセッサ、その最新プロセッサを搭載した新サーバやSPARC/Solaris製品の最新ストラテジーについてお話がありました。

SPARCはこれまでどのように進化してきたのか。最新のSPARC M8プロセッサでは、どのような進化を遂げたのか。そして、SPARC/Solarisは今後どうなっていくのかについてお話を伺いたいと思います。

「Oracle SPARC Leaders Club」が開催されたオラクル青山センター

SPARCの進化と最新のM8プロセッサの登場

Oracle プロダクトマネジメント バイスプレジデント Marshall Choy氏

加藤多佳子 Choyさんは、Sun Microsystemsで11年間エンジニアとしてSPARC/Solarisに携わり、現在は、Oracleが提供する全てのシステムのプロダクトマネジメントを行っていますが、最初に、あらためてSPARCの歴史を教えていただけますか?

Marshall Choy 1985年にSun Microsystemsが開発し始めたSPARCプロセッサは、マルチコアの時代となった2005年にSPARC T1が登場し、2010年からはOracleがSPARCおよびSolarisのテクノロジーに投資していくことによってSPARC T3が生まれ、大きく進化を遂げてきました。

 SPARC T1から10年たった2015年に登場したSPARC M7では、Software in Siliconというテクノロジーが使われています。

 これまでのプロセッサは、コア数を増やしたり、コア自体を高速化したりすることが進化のテーマでした。しかし、それだけでは限定的な進化しか成し得ませんし、マルチコアに対応するには、アプリケーションの対応コストがかかります。Oracleでは、ソフトウェアからハードウェアまでを最適化していく中で、アプリケーションレベルでメリットを提供するために、次世代型のマイクロプロセッサとしてSoftware in Siliconを搭載しています。

 Software in Siliconは、チップにソフトウェア技術を実装することで、データベースのパフォーマンスを向上させ、セキュリティ機能も搭載しています。高速化やセキュリティ向上のためにアプリケーションを改修するコストを削減できるというメリットをさらに享受できるわけです。SPARC M8では、SPARC M7からコアパフォーマンスが40%向上、さらにシングルスレッドパフォーマンスが50%向上しているだけではなく、Software in Siliconもv1からv2に進化しています。

オラクル青山センターでOracle SuperClusterを発見!(M8ではないですが)

Software in Silicon v2による機能強化とサーバやクラウドでのM8利用

加藤多佳子 Software in Siliconがv2になることによって、SPARC M8はどのような進化を遂げているのでしょうか?

Marshall Choy Software in Silicon v2では、データベース処理を高速化するSQL in Siliconと、セキュリティ機能のSecurity in Siliconの2つで機能を強化しました。

 SQL in Siliconでは、データベース専用の32個のアクセラレータをプロセッサに搭載することで、ハイレベルのSQL処理からコアを解放し、インメモリのクエリを高速化することを実現しています。今回Software in Silicon v2では、Oracle Database専用のデータ型「Oracle Number」専用のアクセラレータも新たに搭載しました。「Oracle Number」はコンピュータで10進数を直接扱えるデータ型で、金融業界を中心に非常に幅広く使用されています。このデータ型の処理はコンピュータにとって非常に複雑で負荷のかかる処理ですが、SPARC M8プロセッサでは、この処理を専用アクセラレータで実行することによりクエリを高速化しています。また、SPARC M7に搭載されていたDAX(Data Analytics Accelerators)もV2となり、Javaアナリティクスアプリケーションも高速化しています。

 Security in Silicon v2では、SPARC M7から引き続きSilicon Secured Memoryが搭載され、ソフトウェアが割り当てられたメモリだけにアクセスできるようにすることで、バッファーオーバーランや悪意のある攻撃による情報漏えいを防ぐことができます。また、多くの暗号化方式に対応した32個の暗号化アクセラレータを搭載しています。このアクセラレータでは、SPARC M8プロセッサがSHA3に対応し、AES暗号化やSHA Secure Checksumを高速化しています。この暗号化アクセラレータは非常に高速で、SPARC M8では、暗号化なしの場合に比べ、暗号化ありでもわずか2%しかパフォーマンスのオーバーヘッドがかからず、オーバーヘッドを無視できるレベルで効率良く暗号化できます。

 Software in Silicon v2によって、ハードウェアの暗号化やマルウェア防御を、パフォーマンスを損なうことなく実現しています。

加藤多佳子 今回、このプロセッサを搭載した製品を発表されていますが、どのような製品に使われているのでしょうか?

Marshall Choy SPARC M8プロセッサをOracle最新のT8サーバやM8サーバ、エンジニアドシステムではSuperCluster M8に搭載しています。

 例えば、最新のOracle SuperCluster M8は、SuperCluster M7よりも40%の高速化を実現しており、他のハードウェアにはない99.999%の高可用性を実現しています(※1)。さらに、SPARC M8を搭載したDedicated Compute Service(ミッションクリティカルなアプリケーションをパブリッククラウドで利用できるサービス)も予定しています。

※1:Oracle MAA(Maximum Availability Architecture)の指針に従った構成の場合

Oracleの全てのシステムに携わっているChoyさんですが、講演では「私の心には、いつもSolarisがある」と話していたので、最後にSolarisについても聞いてみました。

「私の心には、いつもSolarisがある」――Solarisの未来は

Marshall Choy OracleがSolaris 12の開発を中止したことがネガティブに伝わった時期もありました。これは良いニュースで、悪いニュースではありません。

 なぜなら、Solaris 11はコンティニュアスデリバリーモデルとして常に新しい機能が提供できるモデルとして生まれ変わり、シームレスにアップグレードが行われ、より柔軟に新機能が適用されるようになるからです。以前のように新しいバージョンにアップグレードするたびに移行や開発に時間やコストをかけることがなくなります。

 コンティニュアスデリバリーモデルでは、毎月バグフィックスのためのサポートレポジトリがアップデートされ、セキュリティ対応やクリティカルパッチアップデートが4半期ごとにリリースされることで、常に最新でセキュアな環境を保つことができます。

 2018年秋にはOracle Solaris 11.4のリリースが予定されており、SPARCのSilicon Secured Memoryを使ったセキュリティ対応の強化が行われ、重複排除のOn-disk dedup v2やレプリケーションに対応したデータマネジメントの改善、REST APIを使ったエージェントレスコンフィギュレーションやChefおよびPuppetを使った構成管理、SMF(Service Management Facility)を使ったトラステットサービスなど、システムマネジメントの改良が行われる予定です。

加藤多佳子 最後に、Choyさんから日本の皆さんにメッセージを頂けますか?

Marshall Choy どの企業や組織も、1つのアーキテクチャでデータセンターを運用しているところはなく、WindowsやLinux、Solarisなどのさまざまなアーキテクチャを利用しています。しかし、政府系、金融系、通信系にかかわらず、それぞれの組織の核となる最重要な領域では常にSPARC/Solarisが利用されてきましたし、新たな商談も出てきています。

 われわれは、コアな領域で引き続きSPARC/Solarisを使っていただけるように、次世代型のワークロードに対応することを見据えて活動しており、リアルタイムでのインサイトの情報を解析するアナリティクスの実現やセキュリティのさらなる向上、パブリックやプライベートも含めたクラウドのオーケストレーションなどを実現していくことを考えています。SPARC/Solarisはこれからも継続して発展していくアーキテクチャです。

取材を終えて

今回から、SPARC Solaris WorldのナビゲーターとなりSPARC/Solarisの新発見をお伝えするようになりましたが、Choyさんという以前からエンジニアとしてSPARC/Solarisの開発に関わっていた方のお話を聞けて、大変勉強になりました。あらためてSPARCの歴史を振り返っていただき、最新機能や今後についても教えていただいたことが、これからの取材にも生きていくと思います。

またChoyさんは、2017年9月18日のSPARC M8の発表から2カ月たち、その間に早くも顧客からフィードバックがあったことも明かしてくれました。「使った瞬間に違いが分かるほどのパフォーマンスの向上が見られる」とのことだそうです。日本での導入は、もちろんこれからですが、「Oracle SPARC Leaders Club」に参加された企業がSPARC M8を導入することで、どのようにビジネスを拡大していくのか楽しみですね。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年1月17日

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