6番目の国立美術館 「映画アーカイブ」4月開設

社会
2018/2/6 20:58
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 独立行政法人国立美術館は6日、東京国立近代美術館フィルムセンターを東京国立近代美術館から独立させ、同法人の6番目の国立美術館「国立映画アーカイブ」として4月1日に開設すると発表した。同センターは日本唯一の国立映画機関として映画フィルムと関係資料の収集、保存、上映を手がけてきた。独立で名実ともに国を代表する映画アーカイブとなる。

「国立映画アーカイブ」となる東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンター

 国立映画アーカイブには、映画文化振興のナショナルセンターとしての機能をもたせる。基盤強化のため、長瀬映像文化財団などの民間資金を活用。保存・復元・上映・展示のほか、教育・普及・国際交流の機能を強化する。

 新規事業として、子供向け上映会の国内巡回、外国人向けの多言語字幕付き上映会、所蔵する記録映画の国内外への配信などに取り組む。

 館長には同センター前主幹の岡島尚志氏が就く。アドバイザーも置き、日本映画製作者連盟会長の岡田裕介氏、監督の山田洋次氏、河瀬直美氏、俳優の奥田瑛二氏、松坂慶子氏ら8人が就く。産学官関係者などで構成する戦略会議も新設する。

 同センターは1952年に国立近代美術館(当時)の事業課普及広報係「フィルム・ライブラリー」として発足した。69年に東京国立近代美術館の映画部門「フィルムセンター」となり、70年から東京・京橋で収集、上映事業を進めてきた。

 86年、相模原市に保存庫を開設。84年に火災にあった京橋本館を94年に建て替え、その後も保存庫を増設し、アーカイブの体制を整えた。所蔵フィルムはデジタル化の進展を背景に2000年代半ばから急速に増え、約8万9000本に上る。

 国や公的機関が設置した映画アーカイブは海外では一般的で、フランスのシネマテーク・フランセーズ、英国の英国映画協会ナショナルアーカイブ、中国の中国電影資料館、韓国の韓国映像資料院などがある。

 神代浩東京国立近代美術館館長は6日の記者会見で「日本の映画文化は世界的に評価されているのに、収集・保存する機関が独立していないのは、先進国のみならずアジアと比べても弱かった」と語った。

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