四街道市下志津新田の自宅で4日午前3時ごろ、私立大学1年の金井賢志さん(20)が、1階居間でうつぶせで血を流して倒れているのを、駆け付けた四街道署員が発見し、間もなく死亡が確認された。同署は連絡が取れない父親(46)を殺人の疑いで行方を追っていたが5日朝、香取市返田の東関東自動車道で心肺停止状態で倒れているのが見つかり、成田市内の病院で死亡した。自殺の可能性がある。
同署によると、4日午前0時50分ごろ、帰宅した金井さんの母親(45)が「玄関の鍵が閉まっていて開かない。夫や長男と連絡が取れない」と同署に通報。同署員らが鍵を開け中に入ったところ、上半身裸で下着姿の金井さんを発見した。司法解剖をして死因を調べている。
金井さんの顔付近などに多量の血痕と金属製工具が散乱しており、鈍器のようなもので殴られた可能性がある。争ったような形跡はなかった。玄関の鍵は暗証番号を登録するタイプだったが、番号が変更されていた。
父親は5日午前7時半ごろ、東関道下り線の道路上で倒れているのを通り掛かった車の男性が見つけ110番通報した。東関道に架かる返田第四橋の下で作業着姿で発見され、約50メートル離れた側道に運転してきた乗用車があった。
父親に車にはねられたような跡はなく、柵を乗り越え橋の上から転落。自殺の可能性があるという。父親には通院歴があった。
◆父子間トラブル有無を捜査
金井さんは両親と弟(17)の4人暮らし。母親が外出した3日午後6時ごろには、金井さんと父親が自宅にいた。弟はアルバイトで不在だった。同署は金井さんと父親の間でトラブルがなかったか調べている。
2015年7月と17年8月、母親から同署へ夫婦関係を巡る相談があったが、同署は「アドバイスを受け納得している様子だった」としている。
四街道市内で建設業を営む金井さんの祖父は、父親について「奥さんと一緒にうちで働いていたが、2~3年前に2人ともやめた。実家にはあまり遊びに来なかった」と淡々と話した。
金井さん宅はJR総武本線四街道駅から北東へ約1キロの住宅街。近くに住む会社員男性(57)は「3日午後7~9時ぐらいに、男性がずっと(金井さん方の)玄関前で電話をしたり携帯をいじったりしていた」と話し、一家を知る主婦(70)は「賢志さんはすごく頭が良くて、都内の有名進学高校に通っていた。両親は教育熱心で家族仲は良かったようだが…」と驚いた様子だった。