黒田日銀総裁:市場の動向は十分注視-経済はしっかりしている

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  • 株価は短期的にいろいろな要素で動く、米株に引きずられたとの見方
  • 企業収益も改善しており、先行きも増益基調と言われている

日本銀行の黒田東彦総裁は、世界的な株安について、「株価のベースになる企業収益の動向、経済のファンダメンタルズは内外ともにしっかりしている」とした上で、「金融市場の動向は十分注視していきたい」と述べた。6日の衆院予算委員会で落合貴之氏(立憲民主)から金融政策について問われ答弁した。

  黒田総裁は「株価は短期的にはいろいろな要素で動く。このところの株価の下落については、市場では米国などの株価の下落に引きずられた動きだとみられている」と指摘。一方、「わが国を含め米国も欧州も実体経済は非常に良好であり、それを背景に企業収益も改善しており、先行きも増益基調と言われている」と語った。

  米国株急落を受け6日午後の東京株式相場は大幅に下落し、日経平均株価の下げ幅はITバブル崩壊時を上回った。円も買われ、一時1ドル=108円台半ばまで円高が進んだ。

  日銀は金融緩和の一環として、指数連動型投資信託(ETF)を購入している。黒田総裁は、市場機能や企業統治への懸念に言及しつつ、「現状、大きな問題が生じているとは考えてない」と語った。理由として、株式保有額が時価総額の3%程度の低い水準にとどまることや投資信託委託会社が適切に議決権を行使していることを挙げた。

  異次元緩和を始めた13年4月以来初めて前月比で減少した1月末のマネタリーベース(現金、日銀当座預金、貨幣の合計、季節調整済み)については、政府預金が減少したことによる季節的な要因によるものとの見方を示した。適切なイールドカーブ(利回り曲線)が形成されるように金融政策を運営する方針に変化はなく、「2%物価目標もまだ道半ばなので、今後とも強力な金融緩和を粘り強く続けていきたい」と述べた。

  日銀は2016年9月、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入し、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると表明している。

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