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飯塚事件

死刑執行の元死刑囚、福岡高裁は再審認めず

福岡高裁に入る「飯塚事件」の弁護団=福岡市中央区で2018年2月6日午前9時54分、森園道子撮影

 福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で殺人罪などに問われ2008年に死刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)・元死刑囚(執行時70歳)の再審請求即時抗告審で、福岡高裁=岡田信(まこと)裁判長=は6日、請求を棄却した福岡地裁決定(14年3月)を支持し、弁護側の即時抗告を棄却した。死刑執行後に再審開始決定が出た例はなく、福岡高裁の判断が注目されていた。弁護側は決定を不服として最高裁に特別抗告する方針。

 事件への関与を示す直接証拠はなく、久間元死刑囚は一貫して無実を主張していた。しかし06年に確定した判決は、女児の遺体から採取された血液から久間元死刑囚と同じDNA型と血液型が検出された▽久間元死刑囚の車と同じ特徴の車が女児の遺留品発見現場で目撃された--などの状況証拠から有罪を認定。弁護団が再審請求の準備中だった08年10月に死刑が執行され、久間元死刑囚の妻が09年10月に再審請求した。

 再審請求審ではDNA型鑑定の信用性が大きな争点となった。弁護側は、警察庁科学警察研究所が実施した「MCT118型」鑑定に使われたネガフィルムの解析結果から「検出されたのは久間元死刑囚とは違う真犯人のDNA型で、鑑定結果は改ざんされていた」と主張。14年3月の福岡地裁決定は「MCT118型鑑定を直ちに有罪認定の根拠にはできない」としてDNA型鑑定の証拠能力の弱さを認めながら「車の目撃証言などその他の状況証拠を総合考慮すれば確定判決に合理的疑いは生じない」として再審請求を退けた。

 即時抗告審では状況証拠の一つとされた目撃証言の信用性が大きな争点となった。弁護側は、現場の走行実験結果から「カーブが連続する下り坂で車の特徴を詳細に把握することは不可能」と指摘。事前に久間元死刑囚の車の特徴を把握した警察官によって証言が誘導されたと主張していた。

 検察側は「目撃証言は自然かつ合理的で警察官による誘導はない。DNA型鑑定も改ざんはなく、血液型鑑定は久間元死刑囚と符合していて有罪認定は揺るがない」と反論していた。【平川昌範、吉住遊】


飯塚事件

 1992年2月、福岡県飯塚市の小学1年の女児2人(いずれも当時7歳)が行方不明になり、同県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体で見つかった。県警は94年9月、久間三千年・元死刑囚を死体遺棄容疑で逮捕、同年10月には殺人容疑で再逮捕した。久間元死刑囚は一貫して否認し、公判では無罪を主張した。福岡地裁は99年9月に死刑を言い渡し、最高裁が2006年9月に上告を棄却。再審請求を準備していた08年10月に死刑が執行された。09年10月には久間元死刑囚の妻が再審請求。14年3月に福岡地裁が請求を棄却したため弁護側が即時抗告していた。

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