本場フランスワインの地域の違いを愉しむ~シャンパーニュ、アルザス、ローヌ、プロヴァンス
フランスは、ヨーロッパ有数の農業国です。産地としてとても有名なボルドー・ブルゴーニュ以外にも、魅力的なワインの生産地域があります。今回は、ボルドー・ブルゴーニュ以外のワインの産地について、その特徴や魅力を紹介していきましょう。
Contents [hide]
フランスの有名なワイン産地は、全部で7つ
フランスは、ヨーロッパ有数の農業国であり、フランス全土でブドウの栽培、ワイン造りが行われています。
フランスワインの特徴は、地域によって、栽培するブドウの種類や土壌が異なり、また、それによって、ワインの味わいも大きく異なる点です。そのバリエーションの豊富さや、味わいの違いがフランスワインの魅力です。
フランスワインは、そのワインの特徴から、地域が7つに分かれます。最も大きいのはボルドー、そしてブルゴーニュですが、それ以外にも、シャンパンの生産で有名なシャンパーニュ地方、北フランスのアルザス地方、地域内でも多様なワインが作られるローヌ地方、美しい風景と古城が有名なロワール地方、そして、地中海に面したラングドック&プロヴァンス地方の5つが、有名なワイン産地です。
- ボルドー
- ブルゴーニュ
- シャンパーニュ地方
- アルザス地方
- ローヌ地方
- ロワール地方
- ラングドック&プロヴァンス地方
実は、この7つの地域を地図で塗りつぶしてみるとほぼフランスの全土が塗りつぶされることになるでしょう。これこそが、フランスがワイン大国である証であり、また、ワインの幅広さや奥深さを物語っているといえるでしょう。
シャンパーニュ地方とワイン
シャンパーニュ地方は、パリの北東部に位置し、フランスのワイン産地としては、最も北にある地域です。平均気温は10度と、ブドウ栽培にとっては厳しい気候ではあるものの、北側の森林が北風からブドウを守り、また、マルヌ川からの水蒸気が木に適度な湿度を与えることで、良質なブドウが作られます。しかし、不作の年のワイン生産量の落ち込みは、他の地域に比べて大きいことも多くあります。
作られているワインのほとんどが、シャンパンと呼ばれる微発砲ワインです。一部、中には発砲しないワインを作っているところもありますが、AOC認定されているのは、シャンパンのみになります。
シャンパンとスパークリングワインの違いとは?
では、シャンパンとスパークリングワインの違いとは、いったい何になるのでしょうか。
スパークリングワインは、発泡性のワイン全般のことを言います。一方、シャンパンは、フランスの法律によって、厳しく定義されています。
- 産地がフランスのシャンパーニュ地方でつくられていること
- ぶどうの品種は、ピノノワール、ムニエ、シャルドネのいずれか、またブレンドであること
- 製法は、シャンパーニュ方式と呼ばれる瓶内で発酵させる自然な醸造法であること
上記の全てを満たさないと、シャンパンを名乗ることはできません。加えて、ブドウの面積当たりの収穫高の制限や醸造期間の制限など、様々な厳しい規定をクリアしたものだけが、シャンパンを名乗ることができるのです。
同じ製法で作るものに、同じくフランスで作られるクレマンや、イタリアのフランチャコルタ、スペインのカヴァなどもあります。しかし、これらは同じような製法であっても、シャンパンを名乗ることが出来ません。それほどまでに厳しく管理されているからこそ、シャンパンはいつまでも華やかな、特別なワインとして位置づけられているのです。
実は意外と多い?シャンパンの種類
そんな特別なお酒である、シャンパンにも、いくつか種類があります。
ブラン・ド・ブラン
ブラン・ド・ブランは、シャルドネ種単一品種のみで作られるシャンパンです。シャルドネの特徴を受け継いだ、きりっと爽やかな味わいが特徴です。
ブラン・ド・ノワール
ブラン・ド・ノワールは、黒ブドウのピノノワール単一品種でつくられるシャンパンです。黒ブドウといても、果皮は使用しないため、色はつきません。ブラン・ド・ブランに比べると、味わいは柔らかで、ふくらみがあります。
ネゴシアン・マニピュラン(NM)
ネゴシアン・マニピュランとは、ブルゴーニュのネゴシアン同様、外部から購入したぶどうを使用してシャンパンを製造する作り手およびそのワインを指します。シャンパーニュ地方では、作り手のほとんどがネゴシアン・マニピュランとなっています。
レコルタン・マニピュラン(RM)
レコルタンとは、ボルドーのシャトーやブルゴーニュのドメーヌと同じで、自家栽培のぶどうを使用してシャンパーニュを製造する作り手およびワインを指します。小さな会社が多く、個性的なワインが多くなります。
これらは特にどれが優れている、とかではありません。シャンパンの特徴を表す言葉である、と理解しておくと良いでしょう。
おススメのシャンパン
では、実際に、おススメのシャンパンを見ていきましょう。
モエ・エ・シャンドン
出典:モエ・エ・シャンドン
https://moet.jp/product/MI/
モエ・エ・シャンドンは、モエ・エ・シャンドン社が作る、最も世界で有名なシャンパンでしょう。モエ・エ・シャンドン社は、1743年にクロード・モエ氏によって創立された、老舗のシャンパン生産者です。現在は、生産量、品質ともに、世界トップクラスの作り手として知られています。
その看板ワインである、モエ・エ・シャンドンは、世界150カ国に輸出されており、世界で最も良く飲まれているシャンパンといっても過言ではないでしょう。さまざまな種類のブドウを使うことで、それぞれの特徴を互いに補い合い、調和の取れた味わいが特徴です。香り高く、軽い口当たりながら、長続きする余韻が魅力です。様々なシチュエーションに合わせやすく、最もバランスのよいシャンパンと言ってよいでしょう。
ルイ・ロデレール
ルイ・ロデレール社は、創業年は1776年と、同じくシャンパーニュ地方でも老舗のシャンパンの作り手です。様々な資本が入るワイン業界において、一族による家族経営を守り続けています。また、ルイ・ロデレール社は、ネゴシアン・マニピュランの中では、最大級の214haの畑を所有しています。シャンパーニュ地方の各地区の畑をバランスよく保有しており、生産量の約2/3をまかなっています。
ルイ・ロデレールの中でも、最高級ラインの「クリスタル」は、歴代のロシア皇帝が愛したことでも知られています。ロデレール社の畑から厳選した最良のブドウのみが使用されており、至高のシャンパンとして絶対なる地位を確立しています。
ドン・ペリニヨン
ドン・ペリニヨンも、モエ・エ・シャンドン社によって作られています。日本でも有名なシャンパンであり、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ドン・ペリニヨンは、ビンテージシャンパンと呼ばれるシャンパンになります。ビンテージシャンパンとは、単一年のブドウのみを使って作られる、という意味です。実際、ドン・ペリニヨンのラベルには、ブドウの収穫年度が記載されています。ブドウが不作の年のものは、作られないこともあったり、本数が非常に少なくなったりするため、価値が非常に高くなります。
ジャック・セロス
これまで紹介してきた銘柄は、すべてNMのものでした。一方、このジャック・セロスは、レコルタン・マニピュランであり、レコルタン・マニピュランの中でも、とりわけ個性の強いシャンパンを作っています。
ジャック・セロスは、他のシャンパンにはない、特徴をいくつも持っています。代表的なものは、熟成期間が長い、ということです。通常ブドウが収穫されてからワインになるまでは、約2年程度が一般的ですが、ジャック・セロスのワインは6~7年ほど熟成させるものもあります。また、自然農法をベースにしながら、その土地の魅力を十分に引き出しています。ブドウの収穫年によって味わいが違うこともありますが、そのドライな飲み口は、「発泡する白ワイン」とも形容されます。
アルザス地方とワイン
アルザス地方は、フランス北西部の地域であり、フランスの中でもユニークなワイン文化を持っています。ドイツとスイスとの国境に近いという土地柄や、フランスとドイツによる戦争の歴史的背景などによって、さまざまな文化が融合したことで知られており、食文化においても独自の発展を遂げた街として知られています。
この地域のブドウ畑は、北から南にかけて、約110㎞もの間に広がっており、多様な土壌が特徴です。年間雨量が極めて少なく、日射量は多く、標高が高いことから寒暖の差が激しいことも特徴です。結果、ブドウの成長はフランスの他の産地と比べて遅いことも特徴の1つです。
アルザス地方で作られているブドウは、リースリング、ピノグリ、ピノブラン、ゲヴェルツトラミネールなど、様々であり、アルザス地方のワインの90%以上は白ワインになります。また、単一品種で製造されることが多く、ブドウやテロワールそのものを楽しむことができます。ワインボトルには、背の高いフルート・タイプの瓶の使用が義務付けられています。
また、アルザス地方では、自然派の生産者が多いことも特徴で、天然酵母を使用した、ナチュラルなワインが多いことも魅力の1つです。ワインの味わいは、豊かな酸とフレッシュな果実味、そしてすっきりしているのが特徴になります。比較的飲みやすい白ワインが多いのも、この地域の特徴といえるでしょう。
アルザスの有名なワインといえば?
では、アルザス地方で有名なワインを紹介しましょう。
ヴァインバック
出典:Amazon ピノ ブラン レゼルヴ ドメーヌ ヴァインバック
https://www.amazon.co.jp/
ヴァインバックは、アルザスの中でも、最高ランクに位置するドメーヌになります。1612年に設立されたドメーヌであり、アルザスで最も有名なグラン・クリュのシュロスベルクの丘の麓にあります。ヴァインバックは、フランス語で、「ワインの小川」という意味で、畑の中を小川が流れていることから、この名前が付けられたと言われています。フランスのワインバイヤーズガイドである、「レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス」で、三ツ星ワイナリーに選ばれたワイナリーでもあります。
自然派のドメーヌとしても知られており、ブドウ畑には、除草剤、化学農薬、浸透性農薬は一切使用していません。生産量は少ないながらも、最適な熟成時期に手摘みで収穫し、オーク樽でゆっくり長く発行させることで、ワインに複雑な味わいをつけています。ナチュラルな果実味と繊細でバランスのとれた味わいが魅力です。
マルセル・ダイス
出典:Amazon アルザス リースリング マルセル・ダイス 白
https://www.amazon.co.jp/
マルセル・ダイスは、アルザスの天才とも呼ばれている、こちらも三ツ星のドメーヌになります。1945年創業で、アルザスに初めて「テロワール」の概念を持ち込んだとされており、今はアルザス・ドメーヌの頂点とまで言われています。今では、9つの村に220区画、合計26ヘクタールの斜面畑を所有しており、世界中でマルセル・ダイスのワインが飲まれています。マルセル・ダイスはアラン・デュカスやアルページュといった、ミシュラン3つ星レストランでも扱われています。
「ぶどう品種、ヴィンテージ、テロワールという3要素それぞれの特徴や個性を、バランスよく完全にワインに表現すること」と言う哲学を持っています。中でも、テロワールを最も重視しており、1997年からビオディナミを採用し、ブドウと土の関係に徹底してこだわったワイン造りを行っています。値段も比較的お手頃で、ふくよかな味わいから、世界中で激賞されているワインになります。
ローヌ地方とワイン
ローヌ地方は、フランス南東部の、ローヌ川沿いに広がる地域を指します。ワインの生産量は、ボルドーに次ぎ、フランス2位を誇ります。同じローヌ地方であっても、北部と南部では全く違うワインを作ることが特徴です。ブドウの種類や、ブレンドの方法等も異なるため、ひとくくりにローヌワインとできない、幅の広さも1つの特徴と言ってよいでしょう。
ローヌ北部の特色
ローヌ北部は日射量が多く、また、急斜面の畑が多いため、日射量に恵まれています。土地は乾燥しており、その気候から、コート・ロティ(焼けた丘)や、コルナス(焼けた大地)という地名が付くほど、日射量に恵まれているのです。
北部では主に白ワイン用として、ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌなどの品種が、赤ワイン用としてはシラーが作られています。中でもヴィオニエとシラーは有名で、ヴィオニエは華やかな香りが、シラーはスパイシーさとタンニンと酸の豊富さが特徴です。
ローヌ南部の特色
一方南部では、ゆるやかな丘陵地帯が広がっています。畑も広く、生産量は北部よりも南部の方が多いです。また、特徴として、畑に石を撒くことで知られています。この石が日中の陽射しを蓄え、日が沈んでも蓄えた熱でぶどうの樹を暖めることで、ぶどうが凝縮され力強いワインが生まれるのです。
南部では、いろいろなブドウが栽培されているのが特徴です。白ワイン用では、グルナッシュブラン、マルサンヌ、ルーサンヌ、クレレット、ブールブーラン、ピクプールなどが栽培されており、赤ワイン用としてはグルナッシュ、シラー、ムールヴェドル、サンソー、カリニャン、テレノワールなど、あまり聞きなれない品種も栽培しているのがとくちょうです。
南部のワインは、北部の単一品種とは異なり、複数のぶどうをブレンドしたワインが造られます。中でも、ローヌ南部地方を代表するシャトーヌフ・デュ・パプという地域で作られるワインは、ブドウのブレンドが13種類まで認められています。通常のワインが2~3種類くらいであることを考えると、とてつもなく多い種類をブレンドしていることになります。
最近ではそこまで多くの品種をブレンドするワイナリーは少なくなってきていますが、それでもブレンドの割合や品種で、様々な味わいのワインが楽しめることも特徴の1つです。シャトーヌフ・デュ・パブでできたワインは、ローマ法王にも献上されており、「法王のワイン」とも呼ばれています。
ローヌ地方の有名なワインは?
ローヌ地方は、北部と南部で、有名なワインも大きく変わってきます。それぞれの地区で、有名なワインを紹介します。
シャトー・グリエ
出典:シャトー・グリエ
http://chateau-grillet.com/jp/accueil
シャトー・グリエは、フランス5大白ワインの1つとして数えられる、ヴィオニエ100%のワインになります。実は畑の名称、ワイン名共に生産者名と同じであることは珍しく、世界的に見てもシャトー・グリエだけだそうです。ルイ13世の時代にロシアなどで親しまれていた、などのエピソードもあり、歴史のあるワインになります。
シャトー・グリエは北部の中でも面積が小さく、生産数も限られていることから、希少価値が高いワインとして知られています。長期熟成されており、果実や、花、ハチミツなどのような芳醇なアロマが特徴です。ミネラルが豊富で、味わいは甘く、リッチな余韻があることが特徴です。
シャトー・ヌフ・デュ・パプ・ルージュ E・ギガル
出典:Amazon シャトーヌフ デュ パプ
https://www.amazon.co.jp/
ギガルは、戦後間もない1946年に創業したワインメゾンで、わずか半世紀にして、ローヌ有数の生産者となっています。中でも、こちらのシャトー・ヌフ・デュ・パプは、玉砂利、赤い粘土質の土壌で育った樹齢の高いグルナッシュを主体にシラー、ムールヴェドルなどをブレンドした、味わい深いワインになります。
平均樹齢50年のぶどうを使用しており、温度調節をしながら、3週間におよぶ発酵を行い、そしてその後3年間以上熟成させることでできるワインは、 深みのある美しいガーネットが特徴です。果実のアロマが特徴で、複雑でリッチな味わいが楽しめるワインです。
ロワール地方とワイン
ロワール地方は、フランス中央高地から流れる、ロワール川流域にある、フランス北西部の地域のことを指します。ロワール川流域には、古城が点在し、また、古城とブドウ畑の美しさから、フランスの庭園とも言われており、世界遺産として登録されている地域にもなります。
ロワール地方のブドウ栽培
ロワール地方では、比較的早くからブドウ栽培がおこなわれていました。そして、中世、ロワール地方に宮廷が置かれたことから、ロワールワインの醸造は活発になり、海外との交易も盛んに行われていました。歴史的に見ると、ロワールのワインは、ボルドーよりも先に海外での評価を受けていたのです。
現在では、多様なテロワールと、様々な品種が栽培されていることから、フランスの中でも最も多彩なワインを作っています。一般的に、ロワール地方は、河口周辺のナント周辺地区と下流域のアンジュー&ソミュール地区、中流域のトゥーレーヌ地区、上流域の中央フランス地区の4地区に大別されます。
ロワール地方のワイン
ロワール地方で生産されるワインの約半分が白ワインで、実は白ワインの生産ではフランスで一番です。単一のブドウ品種でワインが造られることが多くありますが、ブルゴーニュ地方とは異なり、単一ワインといっても、様々なブドウ品種でワインが作られています。白ワイン用として作られている品種には、シュナンブラン、ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ムロンドブルゴーニュなどがあり、赤ワイン用としては、グロロ、ガメ、カベルネフラン、マルベック、ピノノワールなどが作られています。
ロワール地方のワインも一言で表すのは難しく、逆に、その多様性こそがロワールワインの特徴と言えるでしょう。
ロワール地区で有名なワインは?
そんな多様なロワール地区のワインの中で、特に有名なワインを紹介します。
サンセール
出典:Amazon サンセール ブラン ドメーヌ デュ ノゼ 2016 白 750ml
https://www.amazon.co.jp
サンセールは、ロワールの中でも最も上流の標高の高い、中央フランスのエリアになります。気温差の大きい大陸性気候で、ロワール河を挟んで向かい合う、プイィ・フュメより年間を通して気温は低くなります。粘土石灰質、石灰岩土壌、火打石という3種の土壌があり、畑の位置によってテロワールの特性が異なります。さらに、個性の強い生産者が多く、銘柄によって味わいが変わってくるのが特徴です。
サンセールのワインは、ソーヴィニヨンブランの白ワインが90%以上で、レモンや柑橘類を思わせる、爽やかな香りが特徴です。果実味豊かで親しみやすいワインが多く、世界中でも知名度が高く、人気のワインになっています。
プイィ・フュメ
出典:Amazon プイィ フュメ ドメーヌ F. ティネル ブロンドレ
プイィ・フュメは、サンセール同様、中央フランスのエリアにあり、ロワール川を挟んで左岸がサンセール、右岸がプイィ・フュメとなっています。サンセールに比べ川下にあり、平均気温もやや高めとなっています。石灰質を多く含んだ土壌が特徴で、ミネラルを豊富に含み、複雑な味わいのワインが特徴です。
ミュスカデ
出典:Amazon ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー
https://www.amazon.co.jp/
ミュスカデは、ロワール川の最下流部、ペイ・ナンテ地域に位置する地域です。また、ミュスカデは、その地域で栽培されるブドウの品種でもあります。
クリアでグリーンがかった色合いをしており、柑橘系やハーブを思わせる清涼感のある香りが鼻孔をくすぐります。味わいは、フレッシュで爽やかな酸味が何よりの魅力で、軽やかで優しいことが特徴です。海に近いことから、後味には海を思わせるほのかなミネラルを感じることができるワインです。
サンセール、プイィ・フュメ、ミュスカデは、ロワール3大白ワインとも呼ばれます。
ラングドック&プロヴァンス地方のワインの特色
ラングドック&プロヴァンス地方は、フランス南部の、地中海に面した地域になります。地中海気候のお手本とも呼べる地域で、夏は乾燥して暑く、冬は温暖で湿気が多いことが特徴です。ブドウの栽培に適している気候であり、シラー、ムールヴェドル、カリニャンをはじめとした非常にたくさんの品種が栽培されているのが特徴。中でも、病気に弱い品種と言われている、グルナッシュにおいては、ラングドックの気候と相性が良く、特に栽培に適しています。
生産量も多くAOCワイン生産では、ボルドー、ローヌに次ぎ国内第3位となっています。ブドウの栽培面積では、国内面積の38%をラングドックが占めていると言われており、一大ワイン産地になります。ラングドッグは、1970年代まではいわゆる安ワインの産地として知られており、質より量を追求する傾向がありましたが、近年では、高い志を抱いた醸造家が、新しい技法を使い、これまでにない質の高いワインを生み出しています。高級ワインも増えてきており、ワイン好き注目のエリアとなっています。
ブドウの栽培品種も多く、様々なワインが生産されているため、ワインの特徴をひとことで表すのは難しいです。しかし、たとえボルドーやブルゴーニュと同じ品種であっても、年間日照時間、平均気温などの気候条件から、ブルゴーニュやボルドーと比べ、酸も穏やかで香りもはっきりと、味わいもずっしりとしたワインが多いのが特徴です。甘い香りと滑らかな質感を楽しめるワインになります。
ラングドック&プロヴァンス地方の有名なワインは?
ラングドック&プロヴァンス地方の有名なワインを紹介します。
ジェラール・ベルトラン
出典:Amazon ラ・フォルジュ ジェラール・ベルトラン
https://www.amazon.co.jp/
ジェラール・ベルトラン氏は、かつてラグビーのフランス代表選手でした。そのジェラール・ベルトラン氏がオーナーを務める畑が、ジェラール・ベルトランになります。ラングドックの40haほどの畑から始まり、今では約500haの敷地を持ち、11のドメーヌを持つ規模にまで成長しています。
ワイン生産者としても、ジェラール・ベルトランは近年力をつけており、2008年には、ワインスペクテイター誌でベスト・ヴァリュー・ワイナリーに、そして2009年には、ワイン&スピリッツ誌でトップ・バリュー・ブランドに選ばれるなど、お手頃ながら質のいいワインを作っています。ワインづくりの90%が畑仕事で決まる、という信念を持ち、平均樹齢50〜60年の古樹を有機栽培し、ぶどう本来の味わいを生かしたワインづくりが特徴です。
まとめ
フランスは、ボルドー・ブルゴーニュ以外にも、有名なワイン産地がたくさんあります。ボルドー・ブルゴーニュに、シャンパーニュ、アルザス、ローヌ、ロワール、ラングドック&プロヴァンスを加えたものが、フランスの7大ワイン産地といわれています。
ワインの特徴は地区によって様々で、シャンパーニュ地方のようにシャンパンが有名なものや、ラングドック&プロヴァンス地方のように様々なバリューワインを作っている地域など、地域によってワイン造りのスタンスは異なります。もちろん、地域の中でも、ドメーヌ、畑、生産者が違えば、ワインの味わいは異なります。
最初からすべてを覚えようとしても、知識の量が膨大できっと把握できないでしょう。ワインは楽しむものであり、まずは少しでも気になったものがあったら、ぜひ自分の舌で試してみてください。まず飲んでみることで、ワインの特徴や、美味しさを知ることが、ワイン好きへの第一歩と言えるでしょう。
最近のコメント