謎のボイニッチ手稿にAI、解読方法が判明?

8割がヘブライ語の単語と一致、カナダの科学者らが主張

2018.02.06
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ギャラリー:ボイニッチ手稿(写真クリックでギャラリーページへ)
米イェール大学の貴重書室に保管された小さく素朴な本「ボイニッチ手稿」は、世界で最も謎の多い書物の1つだ。貴重な文書には優美な文字と不思議な絵が並び、600年ほど前に書かれたと考えられている。使われているのは未知の言語か、暗号化された言語とされ、いまだ解読されていない。(PHOTOGRAPH BY CESAR MANSO, AFP, GETTY)

 長年にわたり暗号解読家たちを悩ませてきた「ボイニッチ手稿」。何語で書かれているかすら分からない約600年前の謎の本に、カナダの研究者2人がAI(人工知能)を使って挑戦し、解読方法を発見したと主張している。

 その論文が掲載されたのは、学術誌「Transactions of the Association of Computational Linguistics」。だが、手稿の内容はまだ謎に包まれており、他の研究者たちは懐疑的だ。

ボイニッチ手稿とは?

 ボイニッチ手稿は、15世紀の中央ヨーロッパで書かれた本で、暗号化された文字列とされている。今のペーパーバックより少し大きく、材質はもろい上質皮紙(字を書くための動物の皮)だ。ページ数は246。折り込みの索引があったらしいが、ずっと以前に失われた。ページ番号が飛んでいる箇所があり、どこかの時点で綴じ直されたことを示す。したがって、現在のページ順は刊行時から変わっている可能性がある。(参考記事:「イラストも文字もまったく意味不明、ボイニッチ手稿」

ギャラリー:ボイニッチ手稿(写真クリックでギャラリーページへ)
丸の多い優美な文字で書かれていた。
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 書体は丸を多用した優美かつ独特なもので、25~30字が左から右へ書かれ、段落は短い。あちこちに詳細な絵が挿入され、城やドラゴンの絵もあれば、植物、惑星、裸の人物、天文学のシンボルの図解もある。いずれも、緑、茶色、黄色、青、赤のインクで彩色されている。特に好奇心をそそるのは、何人もの裸の女性が一連の緑色の液体に浸かっている挿画だ。

 手稿は、1969年から現在まで米イェール大学のバイネキ稀覯本・手稿図書館に収蔵されている。名称の由来は、ポーランド人の古書商ウィルフリッド・マイケル・ボイニッチだ。ボイニッチは1912年、イタリアでイエズス会の図書館からこの本を購入。その後、一般に呼びかけて翻訳できる人を探したが、残念ながら誰一人成功していない。(参考記事:「死海文書を解読、ユダヤ祭事の記述」

ギャラリー:ボイニッチ手稿(写真クリックでギャラリーページへ)
緑色の液体に女性が浸かっている。

手稿の内容について、手掛かりはあるのか?

 イラストに基づき、手稿は草本、天文、生物学、宇宙、薬学、処方という6つのセクションに分かれると研究者たちは考えている。魔術、あるいは科学の本かもしれない。

 古い記録からは、手稿が錬金術師や皇帝たちの手を経てきたことが分かる。16世紀後半には、神聖ローマ皇帝が英国の占星術師から600ベネチア・ドゥカートで手稿を購入。皇帝はこれを、中世の托鉢修道会士で偉大な哲学者であるロジャー・ベーコンの作だと考えていた。後に、手稿はボヘミア人薬剤師の手に渡った。

次ページ:最新の研究で何が分かったのか?

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