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【政治】

野党「非常に危険」と追及 米の核使用緩和 政府「高く評価」

 核兵器の使用条件緩和などを盛り込んだトランプ米政権の核戦略の中期指針「核体制の見直し(NPR)」を日本政府が歓迎したことを巡り、五日の衆院予算委員会で論戦が行われた。立憲民主党の逢坂誠二氏は「非常に危険な内容」と核使用の可能性が拡大することに懸念を示した。これに対し、河野太郎外相は「わが国は米国の核の抑止力に頼らざるを得ない。高く評価する」と強調した。

 NPRは、通常兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しない方針を追加し、爆発力を抑えた小型核弾頭などの開発にも道を開くなど、核兵器の役割拡大を明確化。オバマ前政権が掲げた「核なき世界」の方針を転換する。

 米政権が二日に発表すると、河野氏は翌三日、「米国による抑止力の実効性の確保とわが国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメント(関与)を明確にした。高く評価する」との談話を発表した。

 五日の予算委で、逢坂氏は河野氏の談話について「(NPR発表から)間髪入れずに評価している」として「驚いた」と批判。「核の使用のハードルを下げて、核の先制使用もやる可能性がある」とNPRの問題点も指摘した。

 これに対し河野氏は、日本が非核三原則を堅持していることなどから、「米国の核の抑止力に頼らざるを得ないのが現実」と強調。改めてNPRについて「高く評価する」と答弁した。

 米の「核なき世界」の方針からの転換に関して、河野氏は「オバマ大統領が(核なき世界の実現を訴えた)プラハの演説をした時と比べると、北朝鮮の脅威はかなり進展している。世界中の安全保障に対する脅威が変化する中で、米国のNPRが前回と違っているのは当然」との認識を示した。

 逢坂氏が自国の安全を高めようとする行動が周辺国との緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥っていると指摘すると、河野氏は「国民の生命、平和な暮らしを守らなければいけない政府として、NPRを高く評価しない理由はない」と言い切った。 (清水俊介)

 

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