クラウドインフラ、AWSがシェア3割超で突出したリーダーを維持。小規模ベンダは上位ベンダにシェアを奪われている。2017年第4四半期、Synergy Research Group
調査会社のSynergy Research Groupは、2017年第四4半期におけるクラウドインフラサービスの調査結果を発表しました。
クラウドインフラサービスは、IaaSとPaaS、ホステットプライベートクラウドを合わせたもの。
シェアトップはこれまでと変わらず、2位にダブルスコア以上の差を付けてAmazon Web Services(AWS)。
Synergy Research Groupは今回の発表において各ベンダの具体的なシェアを明らかにしていませんが、これまでの数字から推測すると34%もしくは35%と見られます(以下、シェアの数字はPublickeyによる推測値)。
2位はマイクロソフトでシェアは13%前後、3位はIBMでシェアは8%前後、4位はGoogleでシェアは6%前後、そして今回新しくチャートに登場したのがAlibabaで、シェアは4%前後です。
そしてチャートでその次に示されているのが「Next 10」としてまとめられた富士通、NTT、オラクル、Rackspaceなど、6位以下15位までのベンダ群となります。
小規模クラウドプロバイダのシェアを犠牲にしてAWSらが成長している
Synergy Research Groupは今回の調査結果の中で、2017年の1年を通してクラウドインフラのサービス市場が約44%成長したと指摘。
そしてその成長の大部分はAWSをはじめとする上位のクラウドプロバイダによるものであり、小規模クラウドプロバイダはシェアを奪われているとしています。
In large part the expansion was driven by aggressive growth of Amazon (AWS), Microsoft, Google and Alibaba, who all increased their share of the worldwide market at the expense of smaller cloud providers.
市場拡大の大部分は、AWS、マイクロソフト、Google、Alibabaの急拡大によるものであり、いずれもワールドワイドの市場において小規模なクラウドプロバイダを犠牲にしつつシェアを拡大させてきました。
それは半年前、2017年第2四半期のチャートと見比べても分かります。
上記のチャートと最初のチャートを比較すると、目立つ違いとして、AWSがシェアを維持する一方でマイクロソフトのシェアが伸びており、急速にAWSを追い上げている点があげられます。
そしてもう1つは、「Next 10」と「Rest of Market」のシェアが落ちている点です。ただしこれは、最初のチャートでAlibabaがNext 10から独立して5位となり、その代わりにそれまで15位だったクラウドベンダがNext 10に滑り込んできたことを考慮しなければなりません。
そのような目で「Rest of Market」を比較してみると、この四半期で3%程度のシェアを落としているように見えますが、Rest of Marketから「Next 10」に繰り上がったクラウドベンダのシェアはそれよりも小さいはずです(なにしろ5位のAlibabaでさえ4%前後と推測されるのです)。
そうしてみると、やはり下位のクラウドベンダのシェアはじりじりと下がり続けると言えそうです。
それはクラウドというビジネスそのものが、一般的には規模が大きい方が有利であるということから導かれる当然の帰結でもあります。だとすれば、今後もこのトレンドは続くのだと考えられます。
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