setofuumiのblog

格ゲーを見ます

esports団体の話に逆張りに気味に書いてみる話

むっちゃ長くなった
自分(業界人でもプレイヤーでもないパンピー)が知りうる知識をもとに書いていきます。なんか逆張り気味なのは性格が悪いからです。
2D格ゲーを中心に見ているのでそこからの視点になります。最終的にこれを読んだ物好きな人と知識の平均化ができればいいかなと思います。パンピーの知識なので間違っている点もあるかと思います。

 

真面目なほう

・あなたたちは誰ですか?
以前の段階では「ゲームイベントをやってきた人たち」(少なくともこの時点で無関係ではない)でした。「Jespa」は2011年から数年間継続してイベントを行ったeスポーツJAPANCUPの後継、「促進機構」はニコニコ・カドカワによる闘会議などから出てきたところ(何かと目立っている浜村さんはここです)、JPefはおもにlolで外国人プレイヤーの参入に関して働きかけを行ってビザ取得可能までもっていった団体です。
また統合する段階でCESA、つまり国内メーカー団体まで入ってきており、最近の発表を読む限り「国内のメーカー主導大型ゲームイベント」がこれでやっていく、と読むのが妥当だと思います。
ここでいうイベントはCESA主催による東京ゲームショーTGS)、闘会議+Jaepo(元AOU)は確実に入るでしょう。CESA内の企業による独自イベント、格ゲーであればセガによる「D1」、タイトースクエニ)による「闘神祭」なども企業イベントなので、同様のシステムを採用する可能性はあります。特にTGSCESA主催で2017年にはesportsを大々的に掲げていくつかのイベントを開催しています(SFVなら海外プレイヤーを呼んでネモさんが優勝したやつです)。


・賞金のこと
これは様々な人から指摘…というかJeSU側の人もほとんどそういうことを言っていますが、団体によるライセンスは「メーカーから直接賞金を通す」ための方便、というのは間違いないと思います(それをプロライセンスと呼ぶのは方便で欺瞞だというのはその通りだと思います)。ここらへんはカジノおじさんこと木曽さんが色々書いて知っている人も多いかと思いますが、その木曽さんでもメーカーから直で通す際に「団体に属して興行を行う」のが抜け道として妥当という見方をしていて、実際ライセンス制度でやろうとしているのはどう見てもこれです。木曽さんは問題はその手法が適切に公開されていない、という点(とその意図)にある、としています。


・上2つまとめて(きわめて穏当に解釈した場合)
まずこのライセンスが運用されそうな「国内メーカー企業イベント」というのは以前から継続して開催されてきたものが存在していて、急にできたものではないです(今後できるかもしれませんが)。
日本の格ゲーからの視点だと「企業イベント」と「コミュニティイベント」の境目は非情に曖昧です。有名なところだと松田店長は自前での大会も企業からの仕事も両方請け負っていますし、過去のSFVの企業イベントでかげっちさんが中に入って運営するケースもありました。闘劇も形としてはエンターブレイン主催の大会でゲームショーの中でやったこともあったと記憶していますが、あれを「コミュニティの手を離れた企業イベントだった」と思っている人は少ないでしょう。
また、ゲームのジャンルによってはTGSや闘会議のようなイベント内での大会が「国内最注目大会」になっていたケースもあるでしょう。そのシステムが変わってしまうことは懸念材料ではありますが、TGSや闘会議という企業イベントそのものは「知らないもの」「どうでもいいもの」ではないはずです。*1

それらイベントが「賞金を直で出せるようにアップデートしようとしている」と捉えるのが妥当だと思っています。また、今回の手法だと最終的にライセンス持ち=「国内イベントに出てくるゲーム会社お抱えのゲーマー」という扱いになるので、そういった存在そのものは過去にもあったといえます(名人とか鉄人とか)

また、「esports」と言う時に挙げられるMOBAやFPSは基本的に単独のメーカーそのものが全てを仕切ってシーズンを形成しています。日本で「それをやろう」とした場合にCESAのメーカーの面々が既存のTGSのようなイベントを使ってやっていくのは別に不思議なことではないと思いますし、メーカー独自に単独イベントをやれているところはそのままやっていけるでしょう。
今回の発表に海外の「主要なesports」が入っていないのはそれらが既に「システムが出来上がっているから」ですし、これは別にJeSUのせいではなく、「みんなもっと海外基盤の主要esportsに興味を持とう、見ようね」という話になるでしょう。日本でその出来上がったシステムに則って長年頑張って成長しているチームはたくさんあります(esportsに興味がある人はもちろん知っていると思いますが…)。団体にはそっち寄りのJPefも入っているはずですから、何らかのアクションがあればよいとは思いますが、そもそもそれらのジャンルはRiotなりBlizzardなりValveなりとよろしくやっている(やってきた)ので国内メーカーとは関係がなく、これからの話になるでしょう。

 

逆張り逆張り(きわめて厳しく解釈した場合)
賞金のところでも書きましたが、「賞金を出すための方便」であるならそのような名前でそのような説明をすればよいのに説明が歯切れの悪いところはあります(あまりにもあけすけだと違法と解釈されるのかもしれませんがそれでも)。
そして「限られた人になら賞金を出せる」ということは「オープン参加ではなくなる」ということになります。格ゲーだけでなく「ゲームの大会」のいいところはオープン参加であること、と自分は思っているので、今回の変化によってオープン大会だったものがクローズドな大会になったのならそれははっきりと損失だと思います。
いちおう直近の闘会議でも「疑似予選」というべきものが開催されている種目もあるようなので運用次第ではありますが、たとえば直近の闘会議ではSFVは完全招待制になってしまいました。これが続くようであれば自分は今回の変化を歓迎できません。*2


嫌味なほう

CESA
CESAが素晴らしい完璧な団体とはまったく思っていませんが、国内の主要なメーカーが集まってTGSをやっているところ、くらいの知識は「俺はゲームに詳しいので一言コメントするぞ」というタイプの人は持っておくべきだと思います。

・「誰ですか?」
と題してももちさんの発表した内容そのものは特に間違っていないと思いますが、ファミ通に長くかかわって闘劇の主催エンターブレインの偉いさんだった浜村さんくらいは外しておいてよかったのでは…と思いました(今現在のファミ通に対する世間の評価は横に置きます)。
ちなみにももちさんはSFVのプレミアTGS開催(スペースや時間的に相当無理があった)から自分の団体が受け持った、という背景があるので、SFVにおいては「ちょっと待てや」という権利はあると思います。

・パズドラとかモンストとか
この2つはもう何度も独自に大会・イベントを開いていて、また闘会議でも同様に大会を行っています。全てかどうかわかりませんが、「基本無料」であることの抜け道として大会で準備した端末で行われて賞金がでたこともあったかと思います。パズドラモンストが「下等なゲーム」だと思うことは思想の自由ですが、これらの大会は「もう既にできているもの」であって、かつ「公平な大会」が行われうる、行われていることを知るべきかなと思います。
ただ、今回のライセンス云々を援用することでこれらの事情が変わる可能性はあるので、この2つの大会をバッシングしたい!という強いモチベーションがあるのならばまずそこを注視するべきでしょう。

・esportsの幻想
たびたび出てくる「競技的」という文字から色々な幻想を持っている人が多いかと思いますが、競技的な(いわゆるガチな)大会を組み込みつつ、メーカー、プレイヤー、観戦者などなどがポジティブなサイクルを形成して回っていくことそのものが「esports化」とされているので(用語だとエコシステムとか言います)、競技的な大会はあくまで一側面です。そのサイクルが成り立っていない、こうすれば成り立つ、という指摘であれば大いにするべきでしょう。
こういうやつです

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またモバイルであったり、いわゆる課金のシステムを組み込んでありつつも成功しているジャンルもありますし、さらに「steamのインディーズで出た”馬鹿ゲー”」であるところのロケットリーグはesportsとして大成功しました。

・品格大喜利
どの分野にもよくあるこういうお題目の文章が変わったり消えたりすることに意味が見出せませんが、意味があると思う範囲で好きにやっていくと良いかと思います。上手な人はTwitterのLikeは増えると思います。

・2年で5000円
これがおいしい事業だと思う人はいいとこ100人から2年で5000円集める事業でサクセスして己が考える最強のゲームイベントを開くべきだと思います。
普通に考えて「更新の意思確認」以上の意味はないと思います。

 

・ここまで読まないだろうから好き勝手なことをいう
「知らない」ことは恥ではないですが「知らないことを誇る」のはとても恥ずかしいことだと思うのでなるべくやめた方がいいと思います。「ゲームに詳しい・一家言持っている」つもりの人ならなおさらです。
あと余談ですが一部の格ゲーマーがイベントに出る芸能人に「一日n時間練習/勉強しろ」と強硬に要求する現象がたまにありますが、それを肯定するのならば同程度にはこういう問題を語るときに「勉強」するべきだと思います。

個人的には格ゲーはesportsに「なんとなくなりかかってる」だけで別になっていないと自分は思っています。カプコンのCPTはフリーライドだし。そんでesportsに興味があるのならば「出来上がってる」esportsをもっとバンバン見て楽しんでいけばいいと思います。というか興味をもってコメントしてる人は当然見てるよね?何が好き?と聞きたい。俺はlolが面白がれるくらいになってきました。
ただここらへんは、上述した「esportsへの幻想」をポジティブに解釈して自らの追い風にしよう、という動きは完全に悪い事ではないと思うし(例としては完全コミュニティ主導の大会に"esports"を標榜するRedbullがサポートする事例など)、もっといえば「メーカー」のポジションが限りなく希薄な「エコシステム」を形成すればそれはesportsの新しい形でいいんじゃないの、といった気持ちもあります。例えば各種RTA(リアルタイムアタック)はどう見てもメーカーが乗るのは無理そうですが人気があるし、格ゲーの「最新作以外のすべて」はメーカーから切り離されていながら人気のあるものもあります(3rdクーペとかね)。

あとほんと「esports=ガチ対戦」に興味があって一言コメントするモチベーションがあるなら大会配信見ような!いっぱいやってっから!

*1:追記:また逆に「企業公式イベント」に対してあまり重きを置かないジャンルもあるかと思います。その場合は「あの公式イベントがなんか変わるんだって」「ふーん」で終わっておけばいいかと思います

*2:この点だと格ゲーの頂点にいるウメハラさんがクローズド寄りの意見をたびたび言っているのでそれと相反することになります