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【格闘技】

比嘉大吾が日本新の15連続KO 地元沖縄でわずか152秒V2

2018年2月5日 紙面から

比嘉大吾-フエンテス1回、比嘉大吾(左)の左アッパーがモイセス・フエンテスの顔面にヒットする=沖縄県立武道館で(平野皓士朗撮影)

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◇WBCフライ級タイトルマッチ 12回戦

 王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=が開始から圧倒し、モイセス・フエンテス(メキシコ)を寄せ付けず1回KO勝ち。わずか152秒殺で2度目の防衛に成功した。15戦連続KO勝ちは日本タイ記録、デビューからは日本新記録。沖縄は1981年3月に師匠の具志堅用高がWBAライトフライ級王座V14戦で敗れた因縁の地。比嘉は故郷のがい旋試合を飾るとともに、37年前の師匠の悔しさを晴らした。

 わずか152秒だった。比嘉は左アッパーの連打でフエンテスの上体をのけぞらせ、開いたボディーへ大砲のような右ストレートを突き刺した。挑戦者はうずくまるように倒れ、マウスピースを吐き出して10カウントを聞く。比嘉は、日本タイ記録の15連続KO、そして日本ボクシングコミッション(JBC)公認として史上初となる沖縄での世界戦勝利を最高の形で飾った。

 「プレッシャーはきつかった。勝った瞬間は涙が出ました。沖縄で(日本人が)世界戦連敗だったこと、KO記録に並べたこと、いろいろあって、うれしかった」。37年前に同じ沖縄で敗れた具志堅会長から託された思い。25年ぶりの沖縄出身世界王者に、悪い記録を断ちきってほしいという県内ボクシング関係者の期待。すべてを背負っていた。

 減量苦もかつてないほどだった。「世界戦のどのラウンドよりも減量の方がきつかった」と比嘉。試合4日前には半身浴の最中に足がしびれるという発作に近い状態まで起きた。「脱水だったと思います」と野木トレーナー。水分を50cc単位で管理し、計量はリミットちょうどだった。

 その影響からか、ゴング直後はジャブに右を合わされ、そこから約1分間は後退しながらのボクシングになった。だが、すぐに立て直した。「相手のパンチがすべて見えるようになったので、そこから行きました」。ジャブと右ストレートで押し込むと、残り1分からは破格の攻撃力を発揮。一方的にリングを支配した。

 試合後、具志堅会長は「年に4試合やりたい。次は春か夏前に」と、早いペースで防衛を重ねさせる方針を口にした。比嘉も「減量中は毎回もうフライ級なんてこれで最後だと思うんですが、勝てばうれしくて忘れちゃうんですよね」と笑った。沖縄の、日本ボクシング界の歴史を変えた小さなKO男は、これからもハイペースで突き進んでいく。 (藤本敏和)

 

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