日本は道が自動できれいになる? 中東諸国の「日本風説」
BBCトレンディング
日本のことは、世界でどれくらい知られているのだろう? たとえば中東諸国では。
すさまじく技術が進んでいるので、道路が自動にきれいになるような国なのか。清掃員は特に尊敬される職業なので、給料は国の大臣と同じくらいなのか? 電車はあまりに時間に正確で、去年国全体で遅れた時間を合計しても、たった6秒にしかならないのか?
中東諸国のソーシャルメディアでは、「そうだ」という答えが返ってくるらしい。「ハッサン」氏は、日本に関するこうした妄想や不正確な情報を否定するため、アラビア語のハッシュタグ「日本についての風説」を立ち上げた。
匿名希望の「ハッサン」氏は、日本の社会や文化について正確な情報を伝えようとする多言語ポータルサイト「Nippon.com」で働いている。
「アラビア語ツイッターアカウント『@nippon_ar』でハッシュタグを使い始めたのは約1年前ですが、注目されるようになったのは数カ月前から」とハッサン氏は言う。
「人目を引くため、人気のアニメキャラの動画をよく使っています」
ハッシュタグを使った人気投稿には、たとえば日本のお辞儀に関する話題があった。「日本で停電が20分続いたため、エネルギー担当相が同じ20分間、頭を下げて公式に謝った」という説明つきで出回った写真について、ハッサン氏が「違う」とツイートしたのだ。
実際には写真は、着任間もないホンダの最高経営責任者が2015年に初めて会見した際のものだった。
ハッサンさんは、問題のツイートを本当は何が映っているのか解説しながらリツイートした。背景にあるホンダのロゴが、ヒントになる。
「でたらめが1200回もリツイートされた! 訂正するこのツイートは、何回リツイートされるんだろう」とハッサンさんは嘆いた。
ほかにも、日本では(まだ)パスポートをわずか3分で自分で印刷したりしないという説明ツイートもしている。日本では各自が専用の喫煙装置を使えばレストランででタバコに火をつけても大丈夫だ……などということも、本当ではないのだと。
ハッサンさんはハッシュタグを使い、「まるで日本のことみたいにこの写真が拡散されているけれど、日本とは何の関係もない!」とツイートした。
「これは数年前に米国の偽ニュースサイトに載った加工写真だ。コロラド州のマクドナルドではマリファナが吸えるという説明つきだった。ワシントンポスト紙が反証している」
このような誤解は、悪意があってのことには見えない。からかおうとしているのでもない。むしろ、アラビア語圏では、日本を過剰にものすごい場所だと見上げているのが原因のようだ。
アラビア語のソーシャルメディアでは、日本についてすごいと思う「おもしろ情報」を「惑星日本」と呼んで共有することが多い。いわく、日本はあまりに技術と文化が進んでいるので、まるで別の惑星のようだというのだ。
しかしハッサン氏は、日本に対するこういう見方はむしろ、国と国の間にありもしない偽の障壁を作ってしまうと懸念する。
「アラブの人たちに、日本は普通の国だし、日本人は自分たちと同じように、良い面も悪い面もある、普通の人間だと思ってもらいたい」
「日本文化には豊かな部分があるが、風説は事実を歪曲している」
日本についての偽情報はフランス語や英語のソーシャルメディアにも出現していると、ハッサン氏は言う。しかし、ツイッターやフェイスブックなどでは、アラビア語話者が拡散しているケースが特に目立つのだという。
ハッサン氏は、アラブ諸国の著名人や報道機関のツイッターアカウントによる偽情報も見逃さない。
ヨルダンの報道機関アカウントがツイッターで、壮大な彫刻の噴水を日本のものだとツイートしたが、これは本当に日本にあるのか?
ハッサン氏によると、これは実際は3Dのデジタルデザインで、米国人アーティスト、チャド・ナイト氏のインスタグラムから盗んできたものだという。「この噴水はソーシャルメディアで広く共有されているけど、日本にはないし、僕たちの住む現実世界のどこにも存在しない」。
さらに、いいえ、日本には「教員の日」などありません、生徒が先生の足を洗ったりしません――。ハッサン氏はクウェートの議員に返信した。
では、ハッサン氏に訂正された人たちは、どう思っているのか。ほとんどの人は、自分たちがずっと信じてきた「事実」が誤っていたことにショックを受けているとハッサン氏は話す。
「多くの人は僕たちのやっていることに感謝して、日本についてもっと正確な事実を求めている。一方で、日本について抱いてきた『完璧な国』のイメージを台無しにされたと、僕たちを責める人もいる」
「アラビア語の人気テレビ局が以前、中国共産党の会議写真を、日本の国会だとツイートしたことがある。日本に関する情報はこれほどレベルが低い。だから僕たちがいるんです」
(アブディラヒム・サイード記者)
(英語記事 The country where the streets clean themselves (or maybe not))