アバウト映画公園

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RAW【映画ネタバレ感想】グッと来る結末!血と愛に満ちた少女の青春!!!

映画『RAW 少女のめざめ』感想/評価

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どうも、人肉より鶏肉派のアバウト男です!

フランス本国で失神者続出の映画【RAW 少女のめざめ】。カニバル映画で『失神者続出』って聞けばそりゃ行くでしょーよ! おれだって強烈な気持ち悪さで吐いてみたいよ!失神するなような映画体験を味わいたいよ!(みんなと目的が違う…)という事で早速観て来ました。

RAWは『生』とか『未加工』という意味らしいです。今回は中身に触れつつ最後にネタバレします。

 

あらすじと予告

厳格なベジタリアンの家に育ったジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)は、姉も在学する獣医学校に入った後、新入生の通過儀礼としてうさぎの生の腎臓を食べることを強要され、口にしてしまう。その日を境に、ジュスティーヌの隠れた本性が明らかになり……。

予告編:映画『RAW〜少女のめざめ〜』予告編 - YouTube

 

楽しみにしてたエグさはなかなか!

その前に1つ、映画を見て失神するとか吐くとかって単に『切り株ブチュー!』とか露骨にエグくてグロい場面を並べても無理だと思うんだよね、きっと。映画だとそれが明らかに作り物って前提もあるし。

その場合何が必要なのか?と考えたら、それは『精神的に来るエグさ』だと思う。個人的には自分自身や身の回りのもの・過去の経験に置き換えてしまうように想像させると効果あるのかなと。

じゃあ本作それが成功してたかというと、

うん、惜しい!でも概ね満足です!失神したり吐いたりしなかったけど、自分の胃酸の気配は微かに感じた。

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(C) 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED. (C) Dominique Houcmant Goldo

 一番良かったシーンは主人公であるジュスティーヌが、ハサミで切断された姉アレックスの指を思わず食べちゃうシーン。切断された身内の指を普段食べてる肉のように夢中になって歯でで引きちぎりながら食べる。尚且つ切断面からささくれとか出来るとタダでさえ痛い爪の付け根あたりまでガシガシ!と。

日常的に使うハサミ・身内の指・普段肉を食べてるかの様に・爪の付け根あたり、この4つのコンボ!キテます!!!

これだけの好条件をあの一連のシーンに入れるとは、監督狙ってるな。その合間で指が切断された姉がショックと痛さで気絶する場面も何気になく演効いてて。

てかあの指を食う場面、日頃の自分がスーパーで買う『チキチキボーン』を仕事から帰ってきて深夜に食ってる姿とシンクロし過ぎて、ジュスティーヌが姉の指を食べ始め瞬間、おいおい!マジか!と複雑な気持ちになりました。

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その他にも、アレルギー反応で掻きむしって赤く血が滲んだ肌をさらに掻きむしるくだりや、食べちゃった長い髪の毛を引っ張りながら吐き出す場面、事故って剥き出しになった男の脳を舐め舐めする場面なんかも良かったですね。

日頃観るようなスプラッター映画とは違い、痛さやショッキングな場面がそこまで現実離れしないのもバランスとして良いし、アートな雰囲気で見せるエグさが冷たい映像と相まって魅力的でした。凛とした美しささえ感じる。

 

 

エグくも愛に溢れた青春映画

ベジタリアンとして育ち獣医学校に入学した主人公ジュスティーヌは、新入生歓迎の儀式で兎の生の腎臓を食べさせられた事で肉に目覚める。姉の指を事故的に食べ人肉の味を覚えてから渇望するようにカニバリズムの欲求に駆られる。学校の先輩でもあり欲求の先輩でもある姉アレックスの助けも借りて欲求と対峙していく。

 

ポスターに『究極の愛の物語』とキャッチコピーがあるように『カニバリズム』を通して歪な家族愛や姉妹愛を描きながらも、血のモチーフや見た目の変化、欲求に目覚めた事での戸惑いや嫉妬・葛藤する描写で、1人の少女の『大人の階段登る』過程も表現し、学生達が過去の伝統を継承しつつも仲良くエンジョイしてる真っ当な青春映画としても成立してて普通に面白かったです!

欲求への渇望や葛藤を生々しく描き、『我を忘れるくらいの欲求 = 生きるために本能的に肉を欲する獣』みたいな映し方も納得できて。ルック的にはホラーなんだけど中身は愛に溢れた青春映画でした。

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(C) 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED. (C) Dominique Houcmant Goldo

あの男女がそれぞれ青と黄色のペンキをぶっかけられて、色が緑に変わるまで出てくるなってイベントの目新しさね!あんな事をやる人生に生まれ変わりたいもんです。

あとデデーン!とかバーーン!!!みたいなここぞの場面でのドヤ!な音の使い方も良かったですね。あぁいう部分でホラー映画の態勢を保ってるというか。タイトルやクレジットの出し方も含めて好みでした。

 

 

特殊な欲求との付き合い方

え、なに、遺伝?!!と驚いた印象的なラストシーンで、渋い父親に『受け止める愛』をガツンと見せられた訳なんだけど、それと同時にあのラストシーンでまた別の側面も感じて。

『カニバリズム』ってタブーというか特殊な欲求の最たるモノだと思うんだけど、あのラストはカニバリズムを扱い『向き合い方や付き合い方次第で、特殊な欲求を持ってても全然普通に生活できるよ』とデリケートな部分にそっと背中を押す描写にも見えて。

だから一線を超えていた姉のアレックスは失敗例であり結果逮捕されちゃって。アレックス〜、OUT! 世間への警告的場面。

世の中に様々な欲求やフェチを抱えている人がいて、その欲求さえも受け止めてくれるパートナーや代用品を見つけたり工夫しつつ、大人として理性はしっかり保った上で一線を超えず生活すれば全然問題なし!みたいな。

 

 

まとめ

この作品1つでジュリア・デュクノー監督の次回作が楽しみになるくらい良かったです。姉妹を演じた2人も美人だったし、役者陣の顔選びが絶対でした。トイレでアドバイスをくれるアジア人とか。

評価:★★★★☆ 星4つ! 

ホラー版ソフィア・コッポラ的な感じでギョッとさせるガーリーな作品をこれからも撮って行って欲しいです。