みんなでカラオケに行ってハッと気付いたのは、
「最近の曲を全然知らない」
ということだった。
1990年〜2000年代の懐メロばかりを歌って、2010年以降はAKB48しか知らない。
高校生のとき。
親の世代のおじさんと話すと、おじさんは皆、モーニング娘の話をしようとしていた。
「このおっさんは、モーニング娘の話をすれば若者の流行についていっていると思っているのだろうか」
と、高校生ながらに冷たい目で見ていたことを覚えている。
それから15年の時が経ち、僕は今、
「とりあえずAKBって言っておけばいいと思っているオッサン」
になってしまっている。
よく考えると、これは深刻な問題である。
僕は「人のオッサン化」には二種類あると思っていて、それは
・身体のオッサン化
と
・心のオッサン化
である。
「身体のオッサン化」は怠慢な生活から始まる。
男の人は年を取ると運動をやめ、筋トレをしなくなり、基礎代謝が減って、身体がたるんでくる場合が多い。
肌もくすんできて、髪も薄くなる。
身体のオッサン化である。
それと同じように、心も徐々にオッサンになってくるのだ。
心のオッサン化は無関心から始まる。
服に興味がなくなり、テレビの話題はわからず、若者が理解できない。
若者の文化に否定的になり、今どきのアプリにも音楽にも触れようとしない。
今の時代が全くわからなくなって、自分が若かった頃の思い出にしがみついて生きていく。
これが心のオッサン化である。
懐メロばかり歌っている僕はまさに、心がオッサン化した男そのものだ。
最近の音楽も知らない。どんな服が流行っているのかもわからない!
なぜこのようにオッサン化してくるのかというと、オッサンになると、自分の周りに流行のチャネルがなくなるからである。
チャネルというのは流通経路のことで、若い時は周りの友達が流行っている曲をカラオケで歌ってくれたし、カッコいい服を着ている友達からファッションの情報を教えてもらうことができた。
しかし、オッサンになるとそういう情報が情報が全く入ってこなくなるのである。
情報が遮断され、興味も失い、興味が無いものには触れることもなく、世の中とズレたオッサンになってくる。
これは思ってる以上にマズイなと。
どうしたらいいんだろうとここ数ヶ月悩み、色々と対策を考えてきた。
たとえば。
「道端で若い女の子に声を掛けていれば、自然と若い子と話す機会が増えて一石二鳥やん」
とか思っていた時期もあった。
しかし、僕の場合は助平心が先立ってしまい、とても流行を学ぶような余裕はなかったし、そもそも相手にしてもらえること自体が少ないので、もっと効率的に流行を学ぶ方法を編み出す必要があった。
最新情報によると、どうやら最近の若い子はLINEでやり取りとかしなくなって、インスタストーリーからメッセのやり取りをするらしい……
ってみんな知ってた?
僕は全然知らなかった。というか、インスタストーリーを使ったことがないってマジでやばい気がしてきた。
で、どうやって学ぼうかと。
どうやって流行を取り入れようかと思案して、考えついた試みが3つある。
一つ目は、とりあえず毎週1曲、iTunesで音楽を購入する、という試み。
ダウンロードランキングで上位の曲をランダムに購入し、一週間聴くことで、最新の音楽に精通する...予定である。
なんて...。
なんて人工的な流行の乗り方なんだろう...と我ながら悲しくなってくるが、仕方ない。
オッサンにできるのは、金をかけて情報を収集することである。
今日から始めてみたんだけど、とりあえず「SEKAI NO OWARI」という輩の「サザンカ」という曲を買ってみた。
良い曲である。
この曲を聴いてOSSAN NO OWARIを目指したい。
二つ目は、毎月1回は本屋に寄って、ファッション雑誌を購入するという試みである。
僕はちょっと油断するとすぐに全身ユニクロの手抜きファッションになってしまう。
カッコいいスーツの着こなし方も知らない。
このままダサいオッサン道を邁進してしまうと、マジでツイッターだけしか特技のないどうしようもない大人になってしまう。
カッコ良くはなれなくても、せめてカッコの付け方はわかってるオッサンにならなければ。
そのためにはとりあえず、情報がまとまっている雑誌を購入し、研究する必要があると考えた。
そう思って今日はとりあえず本屋に行ってみたんだけど、どの雑誌を買えばいいのかわからず、結局ビットコインの特集していた「東洋経済」を買ってしまった。やってしまった。オッサン雑誌である。
本屋で色々と見てきて思ったのは、30代の男にとってちょうどいい雑誌ってなかなか見つからないということだ。
10代が読むような雑誌は若すぎるし、他のはなんか50代のジジイが読みそうな雑誌で、さすがに似合わないような気がした。
30代の雑誌は何がいいのかはこれから研究し、ブログで発表したい。
しばらくは本屋通いを続けてみる。
三つ目の試みは、やはりテレビである。
インターネットがこれだけ当たり前の時代になっても、やはりテレビの影響力は大きい。
ヒットしたドラマは話題になるし、共通の話題があると盛り上がることができる。
しかしオッサンになると哀しいかな、テレビを見る時間がほとんどなくなる。
日中は会社にいて、家に帰って仕事のための勉強をしたり、ジムに行ったりするとテレビをじっくり研究する時間がない。
そこで思いついた必殺技は、ツイッター検索である。
僕の研究によると、話題になったテレビ番組の話は必ず、ツイッターの検索の「話題」のところに出てくる。
いま検索すると「#西郷どん」が出てきて、おそらくこれはNHKの大河ドラマだ。
この検索に出てくるキャプチャやコメントを高速で読みまくり、
知ったかぶりをする
という作戦が、テレビの情報を最も効果的に収集する方法なのではないだろうか?
ちなみに今仕入れた最新情報によると、#西郷どんのキャストに「謎の男」として「劇団ひとり」が出ているらしい。
この辺の情報の断片を拾っていけば、話題についていけるだけの情報は集めることはできそうだ。
そしてできれば、録画して週末にまとめて観るようにしたい。
最後に、僕が思うに、人と話すときに最も役に立つのは、共通の話題である。
共通の話ができる人には心を開きやすく、仲良くなりやすいというのは、心理学の研究でも証明されていたとどこかで読んだことがある。
オッサンと仲良くなりたいなら、ゴルフをやっておくといい。
一緒にゴルフに行くだけでなく、同じものにハマっている人として、すぐに打ち解けることができる。
仮想通貨にハマっている人同士が仮想通貨の話で盛り上がってすぐに仲良くなるのと同じように。
で、話題を共有する際に大切なのは、「自分で経験すること」だと僕は思う。
一次情報こそが大切なのだと。
「誰かがこう言っているのを聞いた」
じゃダメ。
「SEKAI NO OWARIのサザンカは良い曲らしいね」
なんて話しても誰にも響かない。
「SEKAI NO OWARIのサザンカ聞いていい曲すぎて濡れた」
みたいに、自分が触れた情報として話すことが大事だと。
オッサンになるとどうも頭でっかちになって、伝聞調で物事を語ってしまいがちだけど、自分で動いて、足と手を動かして、身体で感じたことこそが、人の心を動かすということを忘れてはいけない。