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有効求人倍率

17年1.50倍 好景気、人口減で求人増

有効求人倍率の推移

8年連続の上昇 44年ぶり水準に

 雇用情勢の改善が続いている。厚生労働省が1月30日に発表した2017年平均の有効求人倍率は前年比0.14ポイント上昇の1.50倍となった。上昇は8年連続で、過去最高だった1973年(1.76倍)以来44年ぶりの高水準となった。また、直近17年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.03ポイント上昇の1.59倍となり、74年1月(1.64倍)以来、43年11カ月ぶりの高水準となった。景気回復で企業の採用意欲が旺盛となっていることに加えて、人口減少に伴い人手不足感が強まっていることが背景にある。

 有効求人倍率は、厚労省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出し、「一般職業紹介状況」として、毎月公表している。有効求人倍率は「有効求人数」を「有効求職者数」で割った数値。有効求職者数とはハローワークに登録された前月から繰り越される求職者と新しい求職者の合計だ。17年の1.50倍という数値は、仕事を探す有効求職者1人に対して、1.5件の有効求人がある状況だ。

主な職業の2017年の有効求人倍率

 政府は、景気動向を示す指標として有効求人倍率を重視している。安倍晋三首相もアベノミクスの成果として、有効求人倍率の改善を繰り返し強調している。

 有効求人倍率は1を上回れば求職者数よりも求人数が多い状況のため、人手不足の状態であるということを示すが、1を下回ると求職者数よりも求人数が少ない就職難の状態で、一般的に景気はよくないとされる。

 リーマン・ショック後の09年8月には過去最低の0.42倍まで低下した後、ほぼ右肩上がりで改善。13年11月に1倍を回復し、17年4~12月まで9カ月連続でバブル期のピークである1990年7月の1.46倍を上回る水準で推移している。厚労省雇用政策課は「経済の改善が続いていることから、雇用環境の改善も当面続くだろう」との見方を示す。

正社員の増加幅 非正規を上回る

 将来の人手不足を見込んで、正社員に対する採用活動も旺盛だ。17年12月の正社員の有効求人倍率は1.07倍で前月比0.02ポイント上昇し、04年11月の集計開始以降の過去最高を記録した。また、17年平均の正社員数は前年比56万人増の3432万人で、増加幅は3年連続で非正規社員の伸びを上回った。企業が人材確保のために、高い賃金を払っても正社員の雇用を増やしていることがうかがえる。財務省が全国の財務局を通じた調査で、正規と非正規のどちらの採用を優先するか聞いたところ、回答した799社のうち、正規社員が350社で、非正規社員の194社を大きく上回った。

 ただ、17年の有効求人倍率を職種別に見ると、ばらつきが見られる。20年の東京五輪・パラリンピック関連の建設投資の増加の影響などで、警備員など保安は7.23倍、建設は4.01倍、運輸・郵便事務は3.51倍と高い水準となっている。高齢化の進展で市場が拡大している介護サービスは3.57倍だった。これに対して、会計事務は0.73倍、一般事務は0.35倍と1に満たず、求職者数よりも求人数が少ない状況だ。雇用の流動化を促すために厚労省は来年度から、全国のハローワークを通じて警備、運輸、医療福祉など人手不足が深刻な分野を対象に求職者と企業側のマッチング事業などを強化する。

 大和総研の山口茜研究員は「求人と求職のニーズがあわないミスマッチが人手不足に拍車をかける一因となっている。建設、運輸、医療など人手不足の産業では正社員採用を増やしたり、賃上げの動きがみられる。こうした流れが長期的に定着すれば、人手不足を緩和する効果が出てくるかもしれない」と指摘する。【工藤昭久】

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