うちの店で、アルバイトから社員になった男の話です。
彼にあって私にないもの。
それは、うちの会社でのアルバイト経験です。
私は、今までの職場での経験などでアルバイトの気持ちを察していますが、
彼の場合、実際にアルバイトをしてきた自分の気持ちと照らし合わせることでアルバイトの気持ちを理解することが出来ます。
彼がアルバイト時代に一緒に仕事をしたことがありますが、かなり要領のいい男で、彼が社員になって他店に異動になる時は、みんながみんな陰で不安を感じました。
今月いっぱいで出来るアルバイトが一人いなくなるからどうしよう?の不安です。
もちろん、彼には祝福の気持で送り出しました。
そんな彼が久しぶりにうちの店に遊びに来ました。
うちの店の売り場から、なにか勉強になることはないかと見に来たのです。
4コマ漫画(それ、すごく分かる)
彼は、社員になった後、うちの店を異動になり、またしばらくして、そこの店も異動になりました。
「新しく異動になった店はどうだ?」と聞いてみました。
すると、やることは多いけれど、逆にやりやすい店のようです。
そこでは、発注業務はすべて社員でやっているのです。
大抵の店では、社員だけでなく、アルバイト・パートさんにも発注を担当してもらっています。
そのほうが、やるべきことが分散されて、社員の負担も軽くなるからです。
さらに、アルバイト・パートさんに担当者としての責任感も芽生えるということで、店の士気もあがります。
しかし、いいことばかりではありません。
責任感が芽生えることはいいことですが、何事もほどほどと言う言葉があるのです。
任せられたところが気になり、何をおいても、自分の仕事を優先するようになる担当者がいるのです。
商品は常に売れていくので補充というものはきりがありません。
完璧に補充できても、すぐに1個、2個は売れてしまうのです。
そこで、やらなければと自分を追い込み、常に完璧でいたいとムキになることがあるのです。
社員は時間が来ても帰れません。時間ではなく、やるべき最低限のことが終わらないと帰れないのです。
なので、まずは、これをやらなきゃ帰れないという仕事を優先します。
しかし、アルバイトの中では、自分の担当しているところだけが気になる人がいるのです。
もちろん、人それぞれなので、状況を判断して、自分のやりたいことはある程度我慢して、今一番店にとってやった方がいいことを見極めてくれるアルバイトも多いです。
あくまでも、中にはそれが出来ない人もいるという話です。
そこを指摘して、社員が今してほしいことを指示すると、不機嫌になる人がいます。
しかし、店全体のことを考えると、今一番やらねばならないことを見極めて、それに従ってもらった方が効率が良いのです。
確かに、発注の仕事をアルバイトに振り分けると、発注そのものの社員の負担は軽くなります。しかし、発注以外の仕事の負担が増えることがあるのです。
自分のまかせられた仕事だけに気持ちがいくかどうかは、その人の個性によります。しかも、それは任せて見ないとその個性は分かりにくいのです。
じゃあ、最初からアルバイト・パートさんの仕事内容を固定化しない方がいいのではないかという考えもあるのです。
担当を固定化すると使いにくくなることがあります。
これは、アルバイト・パートさんにはあまり聞かせられない話です。
しかし、実際に使いにくくなることのほうが多いというのが僕の実感です。