1月31日 首都高は「高速」にあらず?

東京新聞2018年1月22日26面:60キロ以下制限が大半 「首都高速は『高速道路』ではありません」。警視庁が昨年末から、謎かけのような呼び掛けを道路上やネット上で続けている。名前は「高速」。料金もかかる。違反者を取り締まるのも「高速隊」。それなのに高速道ではないとは? 理由を探ってきた。
「50」「50」「50」‥。時速50キロ制限を示す標識が500メートルの間に4カ所も続く。路面にもオレンジ色の「50」の文字が。都心から埼玉県へ延びる首都高5号池袋線で、高速道らしからぬ光景が目についた。高速の制限速度が50キロなのかー。警視庁交通総務課の金子賢司管理官に疑問をぶつけると「首都高で80キロ以上は湾岸線ぐらい」といなされた。大半の制限速度は一般道と同じ60キロ以下。都心環状線は50キロ以下だという。警視庁が最近配ったチラシにも「首都高は『高速道』ではない」と書いてあった。 そもそも高速道とは何なのか。同庁や国土交通省などによると「高速自動車国道」と「自動車専用道路」の二つに分けられる。
高速自動車国道は広域をまたいで建設され、東名高速や中央道、東北道などが入る。これに対し首都高などの自動車専用道路は一定の地域内で整備される。
「高速」は80~120キロ設計 高速の構造を求めるとき、安全に走行できる目安となる「設計速度」高速自動車国道の大半が80~120キロ。これに対し自動車専用道は比較的低い。その中でも、首都高など大都市の都心部や交通量の少ない山間部は60キロと法令で定められている。
首都高の速度の低さは設計速度の縛りに加え、生い立ちにも起因する。首都高速道路会社によると、1964年の東京五輪を目指し完成を急ぎ、用地買収の必要がない曲がりくねった川の上などにルートを設定した結果、カーブが多くなった。出入り口も1.6キロ当たり1ヵ所あるなど多い。都公安委員会が首都高の各地点で、設計速度をさらに下回る40~50キロの制限速度を定める背景にはこうした事情がある。
あくまでも「高速」だが実態が伴わない首都高。にもかかわらず、速度超過のドライバーは後を絶たない。警視庁高速隊が一昨年、首都高などで摘発したスピード違反は8千546件。浜野和己隊長は「地方から来て、高速で走れると思う人もいるのでは」と話す。警視庁のキャンペーンにはこうした背景もある。
右側に多い出入り口 もうひとつ、首都高が「高速」と異なる点がある。道路の右側の出入り口が多いことだ。東名や東北道などでは、出入り口は基本的に左側で、追い越し用の右側車線で出口を探すことは考えにくいのが実情だ。高速自動車国道との習性の違いが「あおり運転」を生む懸念もある。首都高をよく利用する千葉県浦安市の50代の男性は「出口を目指して右車線を走ると、あおられることが多くて怖い」と嘆く。金子管理官は「右折車線がある一般道と同じように考え、譲り合ってほしい」と呼び掛ける。

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