めいらくグループのコーヒー用クリーム「スジャータ」が来年3月、誕生から35周年を迎える。市場の移り変わりや商品の入れ替えが激しいなか、「コーヒーのお供」として長い間、名古屋をはじめ全国で親しまれている。グループの中核会社、名古屋製酪の日比治雄社長にロングセラーの秘訣、今後の成長戦略を聞いた。
―「スジャータ」の歩みを振り返ると。
「開発当時、家庭では粉末クリームが主流だった。めいらくはもともと、ホテルやレストラン、喫茶店向けに業務用の乳製品を販売していたが、プロの味を家庭にも届けようとポーションカップの『スジャータ』をつくった。しかし、腐敗が早い乳製品の製造は、菌との闘い。時を同じくして海外から無菌充てんの機械が手に入り、発売にこぎつけた。全国に物流網を整備し、製造直販システムを構築しているため、自社工場で製造した商品を、自社の冷蔵・冷凍車でお客様に安全に提供している」
―営業網も整備した。 「発売の2年後、『スジャータ』が新幹線の車内で取り扱われるようになったのを機に、停車する各駅に営業所を開設したことで成長に勢いがついた。全国70カ所に一気に営業所ができ、他地域進出のきっかけにもなった」
―市場シェア(占有率)は。
「現在、コーヒー用クリームでは名古屋で70%、全国で25%くらい。1日に、最大で1千万個、今年度に入ってからは平均700万個の『スジャータ』を製造している。低脂肪や豆乳など、種類はいろいろ。カップの絵柄もサッカーのワールドカップに合わせて期間限定で国旗シリーズを出すなど工夫を凝らしている。ただ、売り上げ構成比ではめいらくグループ全体の1割程度となっている」
―今後の戦略をどう描く。
「『スジャータ』の売り上げは2009年度で前年度比1・6%増えたが、市場としては人口減少などを背景に伸び悩んでいる。今後は、食文化の違いはあるが、中国を中心に乳製品の海外市場を開拓する方針だ」
「中国には3カ所に拠点を置き、今年から2人を派遣し本格的に営業を始めた。近く、駐在員の増員も予定している。5年前に独資で建てた工場は、将来的に、飲料で週800万本製造できる体制にし、主力工場である千葉工場と同じくらいの規模に仕上げたい。そのほか、ベトナム・ハノイの大学と提携し、飲料原料となる野菜の栽培研究を進めている。多面的に調査を続け、じっくりと市場開拓していきたい」