カンナカムイ 2011年 3月 第48号
2.6「北方領土の日」反対!関西集会報告
集会は、アイヌモシリからのゲスト、石井ポンペさんのお話で始まりました。
イランカラプテ(こんにちは)。私の小さい頃、父は秋になると次の春までいないのです。それは、日高山脈などに猟に出かけるからです。猟で家族を育ててくれました。アイヌ民族は、子供の名前を3才になってからつけます。その子が、どんな性格なのかなどを見極めるからです。私の名前のポンは小さい、ぺはかわいいという意味です。
2月になると私の家に、五つのコタンからゴザや衣料の材料をかついでフチたちがきます。フチたちは、火を囲みながらコタンの情報交換をし、私の父が送ってくる鹿肉を食べることを楽しみにしていました。父から白い海を渡って歩いて行くということを聞いたことがあります。明治以前、今の時期、流氷に乗ってカムチャッカまで行ったのです。国境などないのです。1年前に亡くなったチカップ美恵子さんとサハリンに行った時もサハリンの州議会議長などから「ここはもともとアイヌ民族が住んでいた所です。いつでも来て住んで下さい」と言われました。北方4島もそうです。私たちの土地を奪い、言葉を廃止し、文化を取り上げたのは日本人です。だからこそ、私たちの問題を日本人が考えるべきなのです。私たちは国連で先住民族と認められました。だから、自決権があります。「北方領土の日」反対を皆さんと一緒に闘って行きます。イヤイライケレ(ありがとう)。
続いて、三木ひかるさん(史的唯物論研究所)から、「日本男子20才」の頭骨の真相究明のためにをテーマに、次のような提起がありました。
今年の札幌集会で、林柄澤(イム・ピョンテク)さんから甲午農民戦争は、日本の近代史を根本から反省する重大な問題だと提起されました。「日本男子20才」の頭骨も、底辺に置かれていた民衆を支配するために、日本の天皇制国家が何をしたのかが明らかになってきます。
この頭骨は、網走刑務所から略奪した可能性が非常に高いのです。北大にある諸資料をあたればかなりのことがわかるのに、北大はやっていません。北海道に1880年から90年に徒刑、流刑、終身刑の囚人を拘禁する集治監(刑務所)が5カ所に建設されます。幕末、国内で内戦が各地で起き、自由自治元年をかかげた秩父困民党の蜂起があり、国家にとっての「犯罪者」をどうするかで、囚人を北海道に送ることにしたのです。送られた「囚人」は、北海道のあらゆる開発で酷使されました。今の独占資本の礎を築いたひとつが、タダ同然の囚人労働でした。酷使の結果、多くの囚人が亡くなります。その頭骨を略奪した記録が資料として残っています。学者たちが頭骨を収集するのは、日本人がいかに優秀であり、アイヌ民族や「犯罪者」が劣等だということを証明するためです。頭骨は、日本の侵略と民衆抑圧を集中的に表現しています。頭骨の真相究明は、天皇制日本国家と闘った民衆の歴史を掘り起こすことになるのです。
集会は、石井ポンペさんのポンコリ(ポンペさん特製のトンコリ)演奏で締めくられました。
私は、領土問題をめぐって中国、韓国、ロシアと日本が衝突している今、ポンペさんや三木さんの話を聞き、資本主義が国家を形成することで、どんなことが行われてきたのかの一端を知ることができたと感じました。もう、黙っている時ではありません。行動するべきです。
次の日の、「北方領土の日」祈念大阪府民大会でのビラ情宣に、いつもと違って公安警察が10数人張り込み、妨害してました。ビリカの活動も社会的に意味をもつものになってきたと、みんなで確認しこの日の行動を終えました。
(市川/ピリカ実会員)
札 幌 全 国 集 会 報 告
今年も1月30日に札幌で、北方領土の日反対!北大人骨事件糾弾!アイヌ新法実現!第17回全国集会が開かれた。
北海道外からは、関東、関西、山形のピリカ全国実の仲間や、沖縄からまよなかしんやさん、アイヌ民族の川村シンリツエオリパックアイヌさん、石井ポンペさん、貝沢耕一さんを迎え道内からも多くの参加があった。
集会では、アイヌ民族の方々からはそれぞれに「アイヌ政策推進会議」の進める「民族の象徴となる空間」=「慰霊・研究施設」の建設に賛成しているのは、アイヌ協会の幹部のごく一部であり多くのアイヌ民族は反対であり、盗掘した人骨は、謝罪と賠償の上、各コタンに返すこと。北方四島の地名はすべてアイヌ語であることからも明らかなように、先住民族であるアイヌ民族の主権を無視した日・ロの領土の奪い合いには反対であることを訴えられた。また、1997年にできた「文化振興法」はアイヌ民族を研究する学者に金が流れ、アイヌ民族が独自で利用できない構造になっており、そこに利権が生まれ民族の分断がなされている。また、この法律はアイヌ民族が先住民族であることに一言も触れておらず、まだ以前の「旧土人保護法」のほうが「旧土人」ということで先住民族であることが明確であった。さらに、2007年の「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択を受けてできた「アイヌ政策推進会議」はアイヌ協会の幹部を取り込み、先住権、自決権を全く無視した形でアイヌ民族同化の総仕上げにしている、と激しい批判の声が上げられた。
まよなかさんは、琉球民族を先住民族だと認識して欲しいという思いから、沖縄の県会議員と国会議員にアンケートを行い3割近い人が先住民族と認識していることがわかった。今、民主党政権は、先島に自衛隊を配備する動きなど自公時代よりもひどい政策が行われている。“声なき民は滅びる”という諺があるようにアイヌ民族とともに琉球民族も声を上げ続けていきたいと発言された。
林炳澤(イム・ピョンテク)さんからは、甲午農民戦争(東学農民革命)の日本での認識(教科書の記述)をもとに、日本人は朝鮮民族の主体性や、帝国意識にとらわれている日本人自身の状態に無自覚であると指摘され、無批判に司馬遼太郎の「坂の上の雲」がTV放映されるなど、その背景には日本人の明治の帝国主義形成期の理解が不足していると指摘された。
海原さんからも昨年の集会での発言にひきつづき甲午農民戦争が、日本のジェノサイトの始まりであること。北方諸島問題は1855年2月7日の日露通好条約を第1次としたアイヌ民族など先住民族の主権を無視した領土争いの繰り返しの歴史であること(現在は第6次)。そしてこのような歴史が日本人民を豊かにしたといえるのか、との提起があった。
「障害者」解放を闘い続けている中川さんからは、人骨のみでなく、「障害者」は臓器や胎児までホルマリン漬けにされ研究材料とされていることの糾弾や、最近では「障害者」を食い物にした事件がおき、「障害者」のさまざまな制度が利用しにくい状態になっていることを訴えられた。
最後に、川村久恵さんのユカラ、石井ポンペさん、まよなかしんやさんのコンサートで集会を閉め、雪の中、道庁周辺をデモ行進した。
今回の集会では、私は人民主権とは何かを考えさせられ、これからの闘いに多くの示唆を与えられた。
アイヌ民族を無視した、日・露の領土論争や「アイヌ政策推進会議」のアイヌ民族の分断を許さず、アイヌ民族の先住権・自決権を勝ち取るまで共に闘おう。
(長束/ピリカ全国実・関西)
カンナカムイ発送停止のお知らせ
ピリカ全国実・関西では、関西の活動をより知っていただきたいと思い、2003年5月よりピリカ全国実・関西ニュース『カンナカムイ』を発行させていただいています。これまでカンパをいただいたり、集会に参加していただいた方を中心に発送させていただいていましたが、費用等の関係で郵送による発送は停止させていただくことになりました。今後、年4回の発行とし、様々な活動の場での配布は、今までどおりさせていただきますので、今後ともカンナカムイ発行へのご協力をお願いします。なお、メールでの送付を行なう予定ですので、ご希望の方はメールアドレスをお知らせください。また、ブログでもごらんいただけるようにしていきます。
ブログアドレス : http://pirikakansai.at.webry.info/
メールアドレス : pirika@kansai.me
学習会のお知らせ
大阪大学の人骨問題の真相を明らかにするための調査の必要性が以前から提起されていましたが、石川浩士さんが「阪大のアイヌ民族人骨と帝国学問」という調査メモを作成されています。ついては、その内容について、会員間で共通理解するための学習会を行ないます。ぜひご参加ください。
4月24日(日)午後1時30分から4時30分
場所:淀川区民センター 音楽室
集会は、アイヌモシリからのゲスト、石井ポンペさんのお話で始まりました。
イランカラプテ(こんにちは)。私の小さい頃、父は秋になると次の春までいないのです。それは、日高山脈などに猟に出かけるからです。猟で家族を育ててくれました。アイヌ民族は、子供の名前を3才になってからつけます。その子が、どんな性格なのかなどを見極めるからです。私の名前のポンは小さい、ぺはかわいいという意味です。
2月になると私の家に、五つのコタンからゴザや衣料の材料をかついでフチたちがきます。フチたちは、火を囲みながらコタンの情報交換をし、私の父が送ってくる鹿肉を食べることを楽しみにしていました。父から白い海を渡って歩いて行くということを聞いたことがあります。明治以前、今の時期、流氷に乗ってカムチャッカまで行ったのです。国境などないのです。1年前に亡くなったチカップ美恵子さんとサハリンに行った時もサハリンの州議会議長などから「ここはもともとアイヌ民族が住んでいた所です。いつでも来て住んで下さい」と言われました。北方4島もそうです。私たちの土地を奪い、言葉を廃止し、文化を取り上げたのは日本人です。だからこそ、私たちの問題を日本人が考えるべきなのです。私たちは国連で先住民族と認められました。だから、自決権があります。「北方領土の日」反対を皆さんと一緒に闘って行きます。イヤイライケレ(ありがとう)。
続いて、三木ひかるさん(史的唯物論研究所)から、「日本男子20才」の頭骨の真相究明のためにをテーマに、次のような提起がありました。
今年の札幌集会で、林柄澤(イム・ピョンテク)さんから甲午農民戦争は、日本の近代史を根本から反省する重大な問題だと提起されました。「日本男子20才」の頭骨も、底辺に置かれていた民衆を支配するために、日本の天皇制国家が何をしたのかが明らかになってきます。
この頭骨は、網走刑務所から略奪した可能性が非常に高いのです。北大にある諸資料をあたればかなりのことがわかるのに、北大はやっていません。北海道に1880年から90年に徒刑、流刑、終身刑の囚人を拘禁する集治監(刑務所)が5カ所に建設されます。幕末、国内で内戦が各地で起き、自由自治元年をかかげた秩父困民党の蜂起があり、国家にとっての「犯罪者」をどうするかで、囚人を北海道に送ることにしたのです。送られた「囚人」は、北海道のあらゆる開発で酷使されました。今の独占資本の礎を築いたひとつが、タダ同然の囚人労働でした。酷使の結果、多くの囚人が亡くなります。その頭骨を略奪した記録が資料として残っています。学者たちが頭骨を収集するのは、日本人がいかに優秀であり、アイヌ民族や「犯罪者」が劣等だということを証明するためです。頭骨は、日本の侵略と民衆抑圧を集中的に表現しています。頭骨の真相究明は、天皇制日本国家と闘った民衆の歴史を掘り起こすことになるのです。
集会は、石井ポンペさんのポンコリ(ポンペさん特製のトンコリ)演奏で締めくられました。
私は、領土問題をめぐって中国、韓国、ロシアと日本が衝突している今、ポンペさんや三木さんの話を聞き、資本主義が国家を形成することで、どんなことが行われてきたのかの一端を知ることができたと感じました。もう、黙っている時ではありません。行動するべきです。
次の日の、「北方領土の日」祈念大阪府民大会でのビラ情宣に、いつもと違って公安警察が10数人張り込み、妨害してました。ビリカの活動も社会的に意味をもつものになってきたと、みんなで確認しこの日の行動を終えました。
(市川/ピリカ実会員)
札 幌 全 国 集 会 報 告
今年も1月30日に札幌で、北方領土の日反対!北大人骨事件糾弾!アイヌ新法実現!第17回全国集会が開かれた。
北海道外からは、関東、関西、山形のピリカ全国実の仲間や、沖縄からまよなかしんやさん、アイヌ民族の川村シンリツエオリパックアイヌさん、石井ポンペさん、貝沢耕一さんを迎え道内からも多くの参加があった。
集会では、アイヌ民族の方々からはそれぞれに「アイヌ政策推進会議」の進める「民族の象徴となる空間」=「慰霊・研究施設」の建設に賛成しているのは、アイヌ協会の幹部のごく一部であり多くのアイヌ民族は反対であり、盗掘した人骨は、謝罪と賠償の上、各コタンに返すこと。北方四島の地名はすべてアイヌ語であることからも明らかなように、先住民族であるアイヌ民族の主権を無視した日・ロの領土の奪い合いには反対であることを訴えられた。また、1997年にできた「文化振興法」はアイヌ民族を研究する学者に金が流れ、アイヌ民族が独自で利用できない構造になっており、そこに利権が生まれ民族の分断がなされている。また、この法律はアイヌ民族が先住民族であることに一言も触れておらず、まだ以前の「旧土人保護法」のほうが「旧土人」ということで先住民族であることが明確であった。さらに、2007年の「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択を受けてできた「アイヌ政策推進会議」はアイヌ協会の幹部を取り込み、先住権、自決権を全く無視した形でアイヌ民族同化の総仕上げにしている、と激しい批判の声が上げられた。
まよなかさんは、琉球民族を先住民族だと認識して欲しいという思いから、沖縄の県会議員と国会議員にアンケートを行い3割近い人が先住民族と認識していることがわかった。今、民主党政権は、先島に自衛隊を配備する動きなど自公時代よりもひどい政策が行われている。“声なき民は滅びる”という諺があるようにアイヌ民族とともに琉球民族も声を上げ続けていきたいと発言された。
林炳澤(イム・ピョンテク)さんからは、甲午農民戦争(東学農民革命)の日本での認識(教科書の記述)をもとに、日本人は朝鮮民族の主体性や、帝国意識にとらわれている日本人自身の状態に無自覚であると指摘され、無批判に司馬遼太郎の「坂の上の雲」がTV放映されるなど、その背景には日本人の明治の帝国主義形成期の理解が不足していると指摘された。
海原さんからも昨年の集会での発言にひきつづき甲午農民戦争が、日本のジェノサイトの始まりであること。北方諸島問題は1855年2月7日の日露通好条約を第1次としたアイヌ民族など先住民族の主権を無視した領土争いの繰り返しの歴史であること(現在は第6次)。そしてこのような歴史が日本人民を豊かにしたといえるのか、との提起があった。
「障害者」解放を闘い続けている中川さんからは、人骨のみでなく、「障害者」は臓器や胎児までホルマリン漬けにされ研究材料とされていることの糾弾や、最近では「障害者」を食い物にした事件がおき、「障害者」のさまざまな制度が利用しにくい状態になっていることを訴えられた。
最後に、川村久恵さんのユカラ、石井ポンペさん、まよなかしんやさんのコンサートで集会を閉め、雪の中、道庁周辺をデモ行進した。
今回の集会では、私は人民主権とは何かを考えさせられ、これからの闘いに多くの示唆を与えられた。
アイヌ民族を無視した、日・露の領土論争や「アイヌ政策推進会議」のアイヌ民族の分断を許さず、アイヌ民族の先住権・自決権を勝ち取るまで共に闘おう。
(長束/ピリカ全国実・関西)
カンナカムイ発送停止のお知らせ
ピリカ全国実・関西では、関西の活動をより知っていただきたいと思い、2003年5月よりピリカ全国実・関西ニュース『カンナカムイ』を発行させていただいています。これまでカンパをいただいたり、集会に参加していただいた方を中心に発送させていただいていましたが、費用等の関係で郵送による発送は停止させていただくことになりました。今後、年4回の発行とし、様々な活動の場での配布は、今までどおりさせていただきますので、今後ともカンナカムイ発行へのご協力をお願いします。なお、メールでの送付を行なう予定ですので、ご希望の方はメールアドレスをお知らせください。また、ブログでもごらんいただけるようにしていきます。
ブログアドレス : http://pirikakansai.at.webry.info/
メールアドレス : pirika@kansai.me
学習会のお知らせ
大阪大学の人骨問題の真相を明らかにするための調査の必要性が以前から提起されていましたが、石川浩士さんが「阪大のアイヌ民族人骨と帝国学問」という調査メモを作成されています。ついては、その内容について、会員間で共通理解するための学習会を行ないます。ぜひご参加ください。
4月24日(日)午後1時30分から4時30分
場所:淀川区民センター 音楽室