佐藤さん(仮名)の個別の支援計画シート。理解不足による指導内容や誤字に母親は不信感を募らせた

 「家庭訪問で登校刺激を行う→お願いしていない」「就寝時間がなぜそうなったのか本人に確認させる→プレッシャーになります」…。

 「学習障害(LD)」がある佐藤駿さん(16)=仮名、福井県内在住=のために、保護者と教師らで作成する「個別の支援計画」には、母・美穂さん(45)=同=の意見が随所に記されている。

 中学最後の計画にもかかわらず、特性が理解されていないと感じた。誤字やコピペ(文章の切り貼り)も散見され「真剣に考えてくれていない」と美穂さんの不信感は消えなかった。

 駿さんは字を書くことが苦手。一方で、駿さんが友だちとSNSでするやりとりは普通の若者と何ら変わりない。「書こうとすると『書くことだけ』に意識がいってしまう」(美穂さん)。解決策として学校側に授業中のタブレット使用を求めてきたが実現しなかった。

 「視力の弱い子が眼鏡をかけるみたいに、その子に応じてデジタル機器を使うのがどうしてダメなの」。母親として納得できない。文部科学省による発達障害の子どもに対する合理的配慮の例に「デジタル教材、ICT機器等の利用」が明記されているだけになおさらだ。

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 鯖江市の吉崎莉菜さん(13)は5年生になってすぐ、担任に「なんでそんなのが分からないの」と言われ、算数が嫌になった。唯一できた国語で漢字の止めやはねを細かく指摘されたことがこたえた。「(学校に)行きたくない」「嫌や、嫌や」と言うことが増え、全身にじんましんが出るようになった。

 半年以上、市内外の皮膚科を回ったが治らなかった。一晩中、母・幸子さん(43)が体をかいてあげないといけなくなり、睡眠薬が必要になった。知人が「もしかしたら心に何かあるのかも」と心療内科を勧められ受診。「自閉スペクトラム症(ASD)」だった。

CASA
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