災害復旧に「地元の建設業者」は必要不可欠だ

経営基盤として「小水力発電」が有望

山村の復旧では、こうした「重機」の存在が欠かせない(写真:著者提供)
公共事業の削減などにより、地方には存続の危機にある建設会社が多い。だが、インフラ維持管理のため“土建会社”はなくてはならい存在である。地元建設会社の存続策について、『小水力発電が地域を救う』を上梓した中島大氏が提言する。

今年は新年早々、全国的に豪雪の被害を受け、交通機関が麻痺してセンター試験にも影響が出ました。先日の大雪の影響も甚大なものでした。今後、気候変動の深刻化により、冬の豪雪や夏の豪雨・土砂災害の規模・回数がますます増加するおそれがあります。

特に交通ルートが限られる山間地においては、主要道路が雪に閉ざされたり被災した場合、速やかに復旧することが最重要課題となります。そのとき活躍するのが、重機(パワーショベルなどの建設機械)を保有している地場の建設会社です。

いざというとき重機が出動できる体制は、山間地のライフライン維持に必須といってもいいでしょう。

災害対応力と地元建設会社

しかし、災害復旧工事は発注金額が低く抑えられることが多いものです。

『小水力発電が地域を救う:日本を明るくする広大なフロンティア』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

また、近年、公共工事が減少傾向にあることなどから、建設業者の経営が苦しくなり、廃業したり、重機の保有をあきらめる(緊急出動できる重機台数が減少する)ケースが増えています。

かつては発注側自治体の裁量で下支えする部分もありましたが、WTO(世界貿易機関)政府調達協定で公共発注をオープンにすることが求められるようになりました。

また、行政の裁量に対する批判も厳しくなる中、建設工事だけで建設業者の経営を維持することが難しくなっています。

人手不足という問題もあり、地場の建設会社を存続するのが、非常に厳しい時代になっているのです。

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  • 重機が好きな爺たん2933b6f735bb
     民主党政権時代の公共事業削減を受けて地方の重機が消えてしまい、災害時の対応が困難になったという経験から、災害時にすぐ出動できる重機の整備は必要だと思う。それに関連して「小水力発電」が一石二鳥かどうかはわからないが、民間企業が本業とは別に水力発電事業で収益を上げている例も多いので、採算が合うケースも多いのだろう。
     それはそれとして、重機を操作できるオペレーター不足のほうが心配だ。
     若者が大卒でも非正規低賃金が問題になっているが、(事務職志向でなく)重機オペレーターをやってみようという若者はいないのか。
     地方に重機を常設しても操作できる人がいないのでは宝の持ち腐れだ。
    up8
    down1
    2018/2/2 13:10
  • 池谷10636f6036c0
     ここまで書いてきてお分かりと思いますが、

     年功序列、終身雇用、エリート主義、非能力主義の国家組織が
    農業や建設業の生産性を著しく後退させています。

     しかも本来決められたルールを守って公務員としての仕事を行って
    いれば回避できる問題ばかりです。こういった問題は調べればいくらでも
    出てくるでしょうし、政治家を叩くより国がちゃんと仕事をしているかを
    調べる報道を増やしてほしいと感じます。


     
    up0
    down0
    2018/2/3 00:22
  • 池谷10636f6036c0
     農業用水を小水力発電に使うという事をテスト運用している所を
    見たことがあります。

     農業用水に関して言えば、農水省の管轄であり分担金を農業用水利用者
    (農家)が負担していてそこで起きた電気料金の売り上げや施工費用分担
    について問題が発生するでしょう。

     農業関連は農協が話題になりましたが、色々無駄な組織が山ほどできてい
    て利権が複雑に絡んでいてかなり難しいと考えています。

     私も30年以上使っていない畑用農水の費用を免除してもらうと畑用農業
    用水の組合に連絡をしましたが、国の作付けエリアに入っている場合は強制
    徴収の形になっており、徴収係は地元の農家なので地元民同士の対立を作る
    事になるため諦めた経緯があります。

     補助金目当てでそういった組合組織(天下り先)が大量にありそこの組織を
    リストラ、構造改革しない限り簡単には解決できない問題でした。


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    2018/2/3 00:16
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