GPIF:運用益6兆円超、株高で6期連続黒字-10~12月期 (訂正)

訂正済み
  • 昨年末の運用資産残高は162兆6723億円と4四半期連続で最高
  • 資産構成比率、国内株は過去最高の26.05%と目標値25%を突破

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年10-12月期の収益額が6兆549億円と、6四半期連続の黒字となった。資産の約半分を占める国内外の株式運用が効を奏した。

  GPIFが2日公表した2017年度第3四半期(10-12月期)の運用状況によると、収益率は3.92%だった。17年度の収益額の累計は15兆6219億円と、通期で過去最高だった14年度の15兆2922億円を上回っている。17年末の運用資産残高は162兆6723億円と5四半期連続で過去最高を更新。前身の年金資金運用基金として市場運用を始めた2001年度からの累積収益も68兆9822億円と最高を更新した。

第1四半期第2四半期第3四半期
(市場運用分)
国内債券ー14(ー0.01)748(0.16)1764(0.39)
国内株式23161(6.59)17959(4.79)34077(8.68)
外国債券8809(4.45)5399(2.49)2756(1.21)
外国株式19124(5.48)20349(5.55)21899(5.65)

単位:億円  かっこ内は時間加重収益率%

  資産別の収益額と収益率は内外株式が好調だった。日本株の運用指標であるTOPIXは昨年末に1817.56と9月末から8.53%上昇。国内景気の改善に加え、昨年10月の衆院選での自民党大勝を受けたアベノミクス長期化の観測も追い風になった。海外でも世界経済の拡大を背景に株高基調が継続。MSCIコクサイ指数は円換算で4.8%上昇した。

  長期金利がわずかに低下した国内債券は2四半期続けて運用益を計上した。新発10年物日本国債利回りは日本銀行による金利コントール政策の下で1.5bp低い0.045%。外国債券は収益額、収益率がともに低下。米国債の10年物利回りは金融政策の正常化に向かう中で、2.4054%と7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。円相場は対ドルで112円69銭と18銭下げ、対ユーロは1ユーロ=135円28銭と2円36銭下落した。

  GPIFの高橋則広理事長は配布資料で、昨年10-12月期は「内外の良好な経済環境や好調な企業業績を受けた世界的な株高基調が継続するとともに、為替市場は安定的に推移した」ため、内外の債券・株式の4資産全ての収益がプラスとなったと説明した。

  年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は昨年末に27.67%と目標値の35%を大幅に下回り、最低を更新。国内株と外株はともに過去最高となり、目標値の25%を初めて突破した。外債は最高を記録した。

運用資産別の構成割合(年金積立金全体)
国内債券27.67%
国内株式26.05%
外国債券14.13%
外国株式25.08%
短期資産7.06%
合計100%

  
  全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資は0.10%と横ばいだった。

  公的年金制度は高齢化で膨張する給付額を現役世代からの保険料や税金だけでは賄い切れず、1割前後をGPIFからの拠出に依存。給付額の削減や保険料の大幅な引き上げは難しく、年金財政の持続可能性を保つのに必要な運用益を長期的に稼ぐのがGPIFの役割だ。市場運用開始から昨年末までの約17年間の収益率は年3.39%となっている。

  SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、GPIFの「好成績は内外株高でほとんど説明が付く。目標値の各25%を超えても乖離許容幅の範囲内なので、リバランス目的で売却する状況ではない」と指摘。年明け以降は円高・ドル安と金利上昇で外債はマイナスになる可能性があるが、株価は堅調なので全体としては増加傾向が続く」とみる。

(資産構成比率などの数字を訂正します.)
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