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ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。 |
2018-02-02 インフルエンザで「早めの受診」が必要なのはどんな人?
■[医学]インフルエンザで「早めの受診」が必要なのはどんな人?





インフルエンザが大流行である。Yahoo!ニュースに■インフルエンザで「早めの受診」は間違いです! (新潮社 フォーサイト)という記事が載った。コメント欄やブックマークは賛否両論だ。
読んでみたところ、いいことも書いてあれば、首肯できないことも書いてある。持病などがない健康な成人がインフルエンザに罹っても軽症なら「早めの受診」が不要であるのは(医学的には)事実である。リンク先の記事では、あたかも「軽症患者が集中したら医療機関がパンクするから我慢しろ」と言っているかのように読めるが、医療機関の都合とは無関係に、個人レベルの利得のみを考えてもインフルエンザ流行期における軽症患者の受診はお勧めできない。
ほとんどの場合、インフルエンザは薬を使わなくても自然に治る。抗インフルエンザ薬は症状緩和までの時間を約1日間早める効果があるので、症状がとてもつらい人は薬から得られる利益もあるが、それほどでもない人にとってはあまり意味がない。それに、もしインフルエンザでなかったら受診のときに感染してしまうリスクまで負う。インフルエンザの流行時に軽い症状で医療機関に受診するのは割に合わない。私だったら高熱や関節痛や倦怠感といった典型的なインフルエンザの症状があっても、市販のアセトアミノフェン(解熱薬)でも飲んで家で寝ているのを選ぶ。
厚生労働省のサイトには「具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう」と書いてある。Yahoo!ニュースの記事では「国の方針がまず間違っています」としているが、好意的に解釈すれば「具合が悪くなければ医療機関を受診しなくてもいい」ということなので、厚生労働省の方針は間違っているとまでは断言できない。しかし、具体的にどのぐらい具合が悪ければ受診が必要なのかは書かれていない。責任問題にもなりかねないので明示できないのかもしれない*1。厚生労働省は間違ってはいないが、以下のように言っているように見えるのだ。
V~~''-山┴''''""~ ヾニニ彡| 具合が悪ければ
/ 二ー―''二 ヾニニ┤ 早めに医療機関を
<'-.,  ̄ ̄ _,,,..-‐、 〉ニニ| を受診しましょう
/"''-ニ,‐l l`__ニ-‐'''""` /ニ二| ・・・・・・
| ===、! `=====、 l =lべ=|
. | `ー゚‐'/ `ー‐゚―' l.=lへ|~| だが・・・
|`ー‐/ `ー―― H<,〉|=| 今回 どの程度具体が悪ければ
| / 、 l|__ノー| 受診するべきか
. | /`ー ~ ′ \ .|ヾ.ニ|ヽ
|l 下王l王l王l王lヲ| | ヾ_,| \ 指定まではしていない
. | ≡ | `l \__
!、 _,,..-'′ /l | ~''' そのことを
‐''" ̄| `iー-..,,,_,,,,,....-‐'''" / | | どうか諸君らも
-―| |\ / | | 思い出していただきたい
| | \ / | |
その点、海外の公式サイトは基準を示している。一例としてCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のサイトをご紹介しよう。■The Flu: What To Do If You Get Sick | Seasonal Influenza (Flu) | CDC(「インフルエンザ:具合が悪くなったらすべきこと)から引用する。
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具合が悪くなったら何をすべきか? インフルエンザに罹ったほとんどの人は症状は軽く、医学的なケアや抗ウイルス薬を必要としません。ほとんどの場合、インフルエンザの症状が出たら、家に留まり、医学的なケアを受けること以外は他の人との接触を避けなければなりません。 しかしながら、高リスクグループであったり、症状が重かったり心配であったりしたら、医師などの医療者に相談してください。
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インフルエンザで「早めの受診」が必要なのは、高リスクグループ(重症化しやすい人)および重症者である。「インフルエンザだったら原則として受診が必要だけど、例外として軽症なら受診しなくてもいい」ではなく、「インフルエンザだったら原則として受診は必要ないが、例外として受診が必要な場合もある」というのが、国際的には標準的な考え方である。
CDCでは高リスクグループとして、5歳未満(特に2歳未満)の子ども、65歳以上の成人、妊娠中(および出産後2週間までの)女性、老人ホームなどの長期療養施設の入居者、アメリカンインディアンおよびアラスカネイティブ、喘息・脳血管障害後などの神経障害・慢性肺疾患・心疾患・血液疾患・内分泌障害(たとえば糖尿病)・腎障害・肝障害・代謝障害・免疫機能が低下している人・長期のアスピリン投与を受けている19歳未満の人・著明な肥満(BMI40以上)を挙げている*2。
また、ちょっと具合が悪い"a little sick"だけでは救急外来に行くべきではないともしている。救急外来に行く「必要はない」ではなく「行くべきではない"should not"」である。
救急外来を受診すべき兆候は、小児であれば、速い呼吸または呼吸困難・青白い皮膚の色・十分に水分を飲まない・起きない・反応がない・抱かれることを嫌がる・インフルエンザ様の症状がいったん改善したのちの発熱や咳の悪化・発疹を伴う発熱・食べない・泣いても涙が出ない・いつもよりおむつの濡れ方が少ない。
成人であれば、呼吸困難または息切れ、胸腹部痛や圧迫感・突然のめまい・混乱(意識障害)・重度または持続性の嘔吐・インフルエンザ様の症状がいったん改善したのちの発熱や咳の悪化。
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救急外来を受診すべき兆候のリスト(CDCのサイトより)
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これはあくまでも救急外来を受診すべき兆候であり、かつ、アメリカ合衆国においての話である。日本での一般外来ではもうちょっと受診閾値は低くていい(軽い症状でも受診していい)とは思う。「自分では重症かどうか判断できない」場合は受診してもいい。また、リスクが不明な将来起こりうる新型インフルエンザの場合はまた話が違ってくる。
公欠の証明のためにインフルエンザの診断書が必要である場合もやむを得ない。医学的には受診が不要であるが社会的には必要である場合もあるだろう。ただ、将来的には検査や医療機関の受診なく休めるようになるのが望ましい。
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*1:厚生労働省が別のページで言及していたらごめんなさい