毎日16時に「認知症の親」が徘徊する深い理由

「親になる前」の人生を含めた理解が重要だ

認知症になった場合の介護では過去も含めて、親の人生そのものに対する理解が重要になる(写真:ericsphotography / iStock)

あなたは、自分の父親の元カノ(昔付き合っていた女性)を知っているでしょうか。母親の元カレ(昔付き合っていた男性)を知っているでしょうか。父親や母親には、あなたを授かる以前にも人生があり、そのときの人生もまた、あなたの現在の親を形作っているのです。

特に親が認知症になった場合の介護では、そうした過去も含めて、親の人生そのものに対する理解が重要になります。なぜなら、認知症になると、今日のことは忘れてしまうのですが、昔の記憶はしっかりと残っていたりするからです。

16時になると家からいなくなってしまう認知症の母

たとえば、認知症になった母親が、毎日、夕方の16時になると自宅からいなくなってしまうという事例がありました(実話ですが、プライバシーに配慮して、一部事実とは異なる脚色がなされています)。いわゆる徘徊です。

こうしていなくなった母親は、数時間後に自分で帰ってくることもあるのですが、行方不明になってしまい、後になって警察から連絡が入ることもありました。この母親と同居して介護をしていた息子は、毎日、16時までに自宅に帰る必要に迫られ、介護離職をすべきかどうか、とても悩んでいました。

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  • NO NAME6f3d399beb80
    泣けてきたよ
    親ってありがたいね
    認知症なら尚更のこと無償の愛そのものだね
    もっと母さんに優しくしよかなあ
    up81
    down3
    2018/2/2 17:21
  • ちーda43b3f8ebb7
    4年前に両親を看取りました。この記事を読み、涙が出ました。その通りです。亡くなってから両親の過去など知らない面を多く知り、また知らされ、生前に語り合うことが出来なかったこと等悔やまれました。両親も認知症を患い介護はかなり大変でしたが、温かく辛抱強く接しました。失くして初めて、自分が如何に守られていたのか、大切にされていたのかに気付かされ未だに涙に暮れることも多く。。これは経験しなければ分からないことだと思います。
    up66
    down0
    2018/2/2 17:38
  • NO NAMEcc0e05b7a1f4
    泣けちゃうね。母親って一生母親なんだろうね。
    今から保育園に息子を迎えに行きます。
    私もいつか、同じように徘徊するのかな…。ちゃんと母親できてるかな…。
    up46
    down0
    2018/2/2 17:32
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