2016年の家計のエンゲル係数は25.8%に上昇し、1987年の26.1%以来の水準になった。長年低下を続けてきたエンゲル係数は2005年を底に上昇に転じている。その大きな原因は、人口構造の高齢化でエンゲル係数が高い無職の高齢者世帯が増加したことだ。共働き世帯の増加や食生活の変化はエンゲル係数を上昇させた大きな原因とは考え難い。近年のエンゲル係数の急上昇は食料価格の上昇によるところが大きく、デフレ脱却の過程では賃金上昇が伴わないと消費の抑制要因になる恐れがある。
■目次
1――注目集めるエンゲル係数の上昇
1|エンゲルの法則
2|上昇に転じたエンゲル係数
2――エンゲル係数上昇の原因
1|高齢化による世帯構成の変化
2|食生活スタイルの変化
3|共働き世帯増加の影響
3――近年の急上昇の理由
1|人口構造では説明できない上昇速度
2|食料の価格上昇
3|費目別にみた消費の動き
おわりに