社会

産経新聞、琉球新報と主張対立

 沖縄市で先月、米海兵隊の男性曹長が意識不明の重体となった交通事故を巡り、産経新聞と沖縄の地元紙・琉球新報の主張が対立している。産経新聞は、曹長は日本人救出の後に後続車にはねられたとし、「勇敢な行動」を報じない地元紙を批判。一方、琉球新報は海兵隊が取材に「(曹長は)救助行為はしていない」と回答したとして、産経新聞の主張に反論している。

 沖縄県警などによると、事故は先月1日午前4時50分ごろ、沖縄市の沖縄自動車道で発生。曹長は前方の車との接触事故後に車外に出たところを、別の海兵隊員が運転する後続車にはねられた。車6台が絡む事故だった。

 産経新聞は先月9日のニュースサイトに事故の記事を掲載。曹長が「クラッシュした車から日本人を救出した」とし、事故を伝えても救出活動を報じない地元2紙を「日本人として恥」と批判。同12日の新聞本紙でも「沖縄2紙は黙殺」と報じた。一方で琉球新報は今月30日、同社の取材に対し、米海兵隊が「(曹長は)他の車両の運転手の安否を確認したが、救助行為はしていない」、県警も「救助の事実は確認されていない」と回答したと報道した。

 主張の対立について、毎日新聞の取材に対し、産経新聞社広報部は「取材に関することにはお答えしておりませんが、この件に関しては継続して取材を進めており、必要と判断した場合は記事化します」と回答した。琉球新報の松永勝利編集局次長は「事実確認が不十分なままの情報に基づいて沖縄のメディアを批判したことを指摘しようと記事にした」と話した。


(毎日新聞)