閉鎖的で男性中心的な組織文化を経験した人なら誰もが推察できるように、法務部の幹部のセクハラの事実を暴露した統営(トンヨン)支庁のソ・ジヒョン検事がこれまで経験した「性暴力」は一件や二件ではなかった。彼女が検察内部の掲示板に告白体で掲載し、30日に公開された体験談には、女性検事として任官直後から絶え間ない差別と言語暴力やセクハラに苦しんできた状況を生々しく綴られている。
ソ検事は、検事に任官した瞬間から過酷な経験が始まったと打ち明けた。任官二日前に出席した飲み会で、当時部長検事は「私はお酒を飲まない検事は検事でもないと思う。私は梨花女子大学出身と女性検事が嫌いだ。君は私が嫌がる条件を全部備えているから、悪縁の中の悪縁」という毒舌を浴びせたという。
ソ検事はまたこの書き込みを通じて、「私は女性は男性の50%だと思う。だから君が認めてもらうためには、2倍以上頑張らなければならない」という部長検事の言葉に頷きながら「ごもっともなお言葉だよ。肝に銘じて」と言ったA先輩のことを思い出した。「おい、お前は女なのに何でそんなに足首が太いのか、女は足首が細くなきゃ」と言ったB先輩も登場する。C先輩は女性がいる席でも暇さえあればわいせつな話を続けており、D先輩は、笑えば「女がそんなにすぐ笑いをこぼしてはいけない」と叱り、笑わなければ「笑わない女はだめだ」と説教をしたという。
ソ検事は、口を開けば2人の娘の自慢話をしていたある部長検事が、カラオケで他の人が歌う間、自分にチークダンスを踊ろうと執拗に手を伸ばしてきたことも思い起こした。部長(検事)と週末には“いいところ”に行ってきた男性の先輩たちが、月曜日の朝、自分もいる事務室で「部長はなぜその女性従業員のパンツを頭にかぶっていたのか」とクスクス笑っていた場面も振り返った。
ソ検事が自ら経験したセクハラも赤裸々に綴られている。既婚者のE先輩は飲み会後の帰り道に、「お前は寂しくないのか? 私は寂しい。この頃お前がすごくかわいくみえる」と話しかけており、やはり既婚のF後輩は「先輩、私はとても寂しいです、今日は家に帰りたくないです。抱きしめてくれなければ、車から降りません」と駄々をこねたという。さらに、既婚のG先輩は酒に酔って家に帰る途中、「後輩、一回抱きしめてみようか」と不意に彼女の体に手をまわしたこともあった。名前も思い出せないある部長検事は「一体お前はどうしてわが社に来たのか」という意味不明の言葉の後、タンバリンを叩きすぎて赤くなった手のひらをこすっていたソ検事に、「お前のおかげでコンパニオン費用を節約できた」と、憚ることなく言ったという。 所帯持ちのH先輩は公然と「忘れられない夜を作ってあげるから私と寝よう」と言っていたが、翌日には憶えていないとしらを切った。
事件処理過程で経験した開いた口が塞がらないような体験談も続いた。性暴力事件を専担する検事が女性しかいないという理由で、臨月の状態で変態的な性暴力事件の調査を任されたこともあった。ナイトクラブから女性をモーテルに背負って連れて行き強姦した事件について、「女性がナイトクラブに行く時は、性関係をすでに同意していくもの」という部長検事の言葉に、ソ検事は何もできなかったという。
ソ検事は書き込みの中で、いくら侮辱的であっても耐えなければなかった理由を、このように説明した。「今年からは女性検事が100人を超えたなんて、会社の未来が思いやられる」と話す上官らの言葉を幾度となく聞いていたため、「私一人が間違えれば、女性検事全体が被害を被るかもしれない」というプレッシャーを感じていたと語った。そして、つらい時に、自分にできることは「歯を食いしばることだけ」だったと記した。