テザー(Tether)のスキャンダルで仮想通貨に不安が走っています。1月31日、米国商品先物取引委員会(CFTC)がテザーとビットフィネックス(Bitfinex)に対して召喚状を送りつけました。それが今回の仮想通貨の全面的な下げの引き金になっています。

まずビットコイン。今日は-13.7%下げました。

BTC

次にイーサリアム。今日は-9.0%下げました。

ETH

次にXRP、今日は-18.25%下げました。

XRP

なぜテザーへの召喚状がこれほどのインパクトを持つのでしょうか?

この謎を解くにはテザーという仮想通貨の価値提案を理解する必要があります。テザーは「ドルとの1:1の交換比率を維持する」ことを約束しています。つまり「余り変動しない仮想通貨」なのです。

余り変動しないということは、トレーディングの対象としては面白くありません。

しかしいつでもドルと1:1で交換できるからこそ、その他のいろいろな仮想通貨に投資する際、そのファンディング・カレンシーとして利用価値があるのです。

特に中国の投資家は中国政府の仮想通貨取引の取り締まり強化で、トレーディング活動を国外に逃避させる必要がありました。そこでまずオフショア・ドルをテザーに換え、それをいろいろな仮想通貨に投資する際の決済通貨としたのです。

さて、今回、CFTCがテザーに対してかけた疑いとは「テザーが顧客から受け取ったドルを流用し、他の仮想通貨に投資したので、それらの投資で損をした場合、顧客のドル返金要求に応えられなくなるのではないか?」ということです。換言すれば、ドルの準備不足です。

1月末、何者かがビットコインに大きな売り注文を入れたのですが、それはテザーが顧客から預かったドルを無断で投資に回していた分を、捜査が入るというので慌ててドルに戻そうとしたのではないか? という観測が出ています。真偽のほどは、わかりません。

テザーが「ねずみ講」のようなことをやっていたのであれば、一気にテザーに対する信頼そのものが崩れてしまいます。それはテザー社のみならず、多くの投資家のトレード・プランに影響を与えます。これが沢山の仮想通貨に横断的に不安が走っていることの説明になります。

折から日本ではコインチェックがNEMの盗難に遭い、出金ができない状況が続いています。それとも相まって、取引所などの業者に対する不信感が募っています。


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