クローズアップ現代+「韓国から世界デビュー!?スター☆新時代」[字] 2018.01.30
ご存じですか、このポーズ?個性的なダンスで若者の心をつかみ、韓国から6年ぶりに紅白出場を果たしたTWICE。
こちらは全米ヒットチャートの上位に食い込み、世界中に熱狂的なファンを持つBTS。
今、韓国の若手スターたちが世界の音楽市場を席けんしています。
そして日本の若者たちも韓国から世界に羽ばたきたいと続々と海を渡っています。
若者たちを引き付ける韓国の世界戦略とは?その秘密に迫ります。
今月半ばに始まったTWICEの初めての日本ツアー。
チケットが即日完売する人気です。
でもつい最近まで知らなかったという方もいますよね。
実は、テレビ出演は数えるほどしかありません。
日本でTWICEが広く知られるようになったきっかけはインターネットの動画サイトです。
振り付けの中の泣き顔を示すTTポーズが大流行。
中高生がまねをして踊りさらにその動画がアップされて拡散。
人気が爆発しました。
せーの、OneinaMillionこんばんは。
TWICEです。
皆さん、こんばんは。
TWICEのモモです。
国境を越えたTWICEの人気の秘密とは何か。
その一つは韓国人だけでなく日本や台湾の出身者も在籍する多国籍グループであることです。
今回の日本ツアーでは日本人メンバーが進行役を務めました。
TWICEの生みの親である事務所代表のパクさんが多国籍であることのメリットを語ってくれました。
アジアを飛び出し世界での活躍を目指すTWICE。
人気を支えるもう一つの秘密はインターネットを駆使したPR戦略です。
来月リリース予定の新曲のミュージックビデオはアニメとの本格的なコラボを試みた野心作。
新曲発売の1か月前にフルバージョンを無料で先行公開。
すでに世界中で2000万回以上再生されています。
監督には「ラブライブ!」などのヒットアニメを手がけた京極尚彦さんを起用。
国境を越えたファン獲得戦略です。
K−POPグループの中で最も先進的なSNS戦略で知られるのがBTS
(防弾少年団)。
一糸乱れぬ激しいダンスが特徴の7人組ヒップホップグループです。
去年5月にはビルボード・ミュージックアワードでトップ・ソーシャル・アーティスト賞を受賞。
6年連続トップだったジャスティン・ビーバーを抑えての快挙でした。
BTSはツイッターのリツイート数のギネス記録も持っています。
メンバーのプライベートなつぶやきは思わずシェアしたくなる魅力的なものばかり。
アメリカをはじめ南米や中東などSNS上で反応がいい国にはたとえ遠くてもすぐさま足を運びます。
SNSのファンとじかに交流を深めることで世界中で熱狂的な支持を得ることに成功したのです。
世界の音楽市場に広がるK−POPの人気を裏付けるデータがこちら、ソーシャル50です。
これは、アメリカ最大の音楽チャート、ビルボードが、アーティストのSNSでの人気、例えばフォロワー数や、動画再生回数などを調査したランキングなんです。
その最新結果で、1位はBTS。
なんと28週連続、通算でも58週にわたって、1位の座に輝いています。
さらに上位50位の中には、韓国のグループが、ほかに6つもランクイン。
あのTWICEも入っていますね。
ちなみに、日本のアーティストは入っていません。
韓国アイドルやK−POPに詳しいジャーナリストの古家正亨さん。
成功の鍵はSNSということですけれども、これ、どういうふうに使っているんですか?
SNSと動画投稿サイトの活用ですよね。
簡単に言えば、アーティストがとにかくファンとのコミュニケーションを取るために、積極的にSNSを活用しているということと、動画投稿サイトにとにかくあらゆるコンテンツを、出し惜しみなく、どんどん広げていく。
出し惜しみなく?
それがやはり、世界に通用するコンテンツと相まって、多くのファンを獲得するに至っているのかなという感じがします。
反応がいい所には、積極的に出ていくということですけれども。
出ますね。
例えば言語や文化の壁っていうのは、ないでしょうか?
スマホの普及によって、言語の壁っていうのは、なくなってしまったのかなという感じがします。
われわれ、僕40代ですけども、昔、FMラジオでかかる洋楽を必死に聴いて、意味も分からず、CDを買いに行くっていうのが、一つの流行だったと思いますけれども、同じような感覚で今、K−POPを、ことばの壁を関係なく、聴いてるような感じがしますね。
しかも見る音楽という価値観で、聴いてる人が多いんじゃないのかなという感じがするんですよね。
ダンスとか、そういったものをということですね。
聴く音楽の時代だと、K−POPはもしかすると、ここまで成功しなかったかもしれません。
そして、TWICEのほかにも、韓国人以外のメンバーを受け入れているグループというのが、こんなにもあるんですけれども、出ますでしょうか。
例えば、アメリカ出身のメンバーもいるGOT7、中国出身のメンバーがいるSEVENTEEN。
多国籍化がこれほど進んでいるんですけれども、あれは、どういうことなんでしょうか?
積極的な海外進出のためっていうよりも、実は2000年代の初めから、韓国の芸能事務所は、世界各地でオーディション、やっているんですね。
その目的というのは、韓国人に限らず才能のある人を、世界中から集めてグループを作ろうという目的があったわけなんです。
ですから、その国のメンバーを入れることによって、その国への進出ということもあるかもしれませんけれども、それ以上に、クオリティーの高いグループを作ろうというのが、背景にあると思います。
そもそもなぜ、韓国の音楽業界は、世界を目指さなきゃいけなかったのか。
市場規模が日本に比べると20分の1ぐらいというふうにいわれていますけれども、それ以上に、韓国の隣に、アメリカに次ぐ世界第2位の音楽市場である日本があったからっていうことが、すごく大きいと思うんですね。
チャレンジしやすいですし、しかも、冬のソナタというドラマをきっかけに、韓国のエンターテインメントに対して、比較的、受け入れやすい環境のあった日本で成功することで、それを足がかりに世界へというのはあったと思います。
なるほど。
このように、多国籍化が進むK−POPグループにあって、最近、存在感を増しているのが日本人です。
日本人が3人所属するTWICEだけでなく、こちら、CROSSGENEのタクヤ、D.HOLICのレナ、NCT127のユウタなど、現在10人以上が活躍しています。
世界での活躍を夢みて、韓国を目指す日本の若者たちに密着しました。
大阪にあるK−POP専門のダンススタジオです。
生徒の多くは10代の女性で韓国デビューを目指す人もいます。
生徒数は2年前から急増し400人を超えています。
きっかけは卒業生のミナさんが、TWICEのメンバーに選ばれたこと。
最近では、韓国の芸能事務所からスカウトがたびたび訪れるようになっています。
講師はKARAや2PMも指導していたプロダンサー。
レッスンに妥協はありません。
重視しているのはライブで2時間近く歌い踊り続けられる基礎体力。
体幹を鍛える訓練など体を徹底的に作り上げます。
去年7月からこのスタジオに通う高校2年生の福井菜々子さん。
幼いころからのアイドル好きが高じて、去年から本格的なレッスンを始めました。
リラックスして1、2、34でこっちの人は蹴る、右へ。
こんにちは。
小学生のころは日本のアイドルグループに入りたかったという菜々子さん。
中学のときに母親と行ったK−POPのライブに衝撃を受けました。
自分も韓国でデビューして世界を目指したいと考えるようになったのです。
母親と2人暮らしの菜々子さん。
大きな岐路に立たされていました。
先月、韓国の芸能事務所からスカウトされ、韓国に来てみないかと誘われたのです。
今月12日、菜々子さんは母親と共に韓国を訪れました。
芸能事務所にスカウトされてから1か月。
正式な契約を決心したのです。
事務所は去年設立されたばかり。
社長は大手事務所で東方神起や少女時代を手がけた後独立した人物です。
菜々子さんになみなみならぬ期待をかけています。
頑張ります。
韓国では通常デビューするまでは練習生として事務所に所属しレッスン漬けの日々を送ります。
今回、同時にスカウトされた韓国人のメンバーと初顔合わせ。
いずれグループを組むことになる仲間です。
ほかのメンバーは3週間前からすでにダンスの練習を始めていました。
韓国で最初のレッスンはボイストレーニング。
これまでダンスしか学んでこなかった菜々子さん初めての経験です。
発声練習
人前で歌った経験がほとんどないため思いどおりに声が出ません。
初日からデビューを目指す厳しさを思い知らされました。
あれです。
菜々子さんより一足先に韓国に渡りデビューを果たした若者もいます。
僕です。
高田健太さん。
2年前、単身韓国へやって来ました。
所属しているのは期間限定で結成された6人組のグループ、JBJ。
デビューからまだ3か月ですがファンを増やすため多くの国でライブを行っています。
しかし、グループは春には解散する予定。
その先はまだ決まっていません。
世界へ羽ばたく夢が実現するまで健太さんは挑戦を続けます。
とかく内向きといわれることが多い日本の若者ですけど、休みはいりませんってね、ちょっと心配になるぐらい、頑張ってますよね。
こうした例って、増えてるんですか?
実は2000年代前半から、本当に数多くの日本人が、韓国の歌手とかアイドル目指して、実際にデビューもして頑張ってきたんですね。
ちょっと前から?
ところが韓国、当時は就労規制等々があって、なかなか外国人のメンバーが成功を収めることが、物理的にできなかったという背景があって、でも、そういった先輩たちがいるからこその、今、みんな活躍できてる状況があるっていうことを、まず分かってほしいっていうのが、あります。
それからなんといっても、世界的に注目されている韓国のアイドルなので、韓国のアイドルになることで、世界で活躍できる、世界が近いっていう、一つのゲートウエーが、彼らにとって今、韓国のアイドルだっていうことだと思うんですね。
だけどやっぱり、厳しい?
厳しいですね。
100組以上アイドルが今、いるっていわれている中で、テレビで活躍できるのは、本当に上位数十組といわれていますから、その中に入るのも大変ですし、デビューするのも大変ですから、みんな頑張ってると思います。
心配ですけど、頑張ってほしいですね、本当に。
韓国ではスターの国際展開を進めるため、海外のプロデュース戦略を、貪欲に吸収しています。
例えば、韓国で最近急増している、公開オーディション番組。
視聴者投票でデビューするアイドルをふるいにかけていく仕組みで、アメリカのリアリティーショーのノウハウを取り入れるなどしています。
中には、スマホのアプリでリアルタイムに投票できるよう、進化した番組もあるんです。
また、人気オーディション番組の一つは、去年の11月、日本の秋元靖さんに声をかけ、PRODUCE48という国際コラボ企画を立ち上げました。
AKB48のようにファンと共に育てる育成型アイドルを目指す予定です。
秋元さんのノウハウも貪欲に今、取り入れようとしているということですけれども、AKB48のような、育てるアイドル、今までなかったんですか?韓国に。
今まで韓国のアイドルって、どちらかというと、完成型アイドルを、各芸能事務所がお金を費やして、届けるっていうところが、一つ魅力だったと思うんですけれども、今回、このPRODUCE101という番組で、本当に各芸能事務所の練習生たちが、ふるいにかけられて、視聴者投票の中でデビューするというまさに育成型アイドルのノウハウを取り入れてやったところ、これ、大成功しまして、昨年、大ブームになっちゃったんですね。
なので、今後、こういった日本のノウハウも取り入れながら、独自の発展を遂げていくと思うんですけど、これまでの完成型一辺倒だった韓国アイドルの今後のデビューのさせ方は、少し大きな転換点に来ているのかなという気はしますね。
韓国のアイドルも、これからますます多様化して、なおかつ世界に打って出るということなんですね。
オーディション番組のおかげで、より日本人、外国人のメンバーが参加しやすい環境が生まれているというのもあると思います。
日本でも、こうした動き、一部で始まっているとは思うんですけれども、日本から世界を目指すようなプロジェクトが、もっともっと盛り上がってもいいなと思いますよね。
いかがですか?
ただ、韓国のアーティストや、音楽関係者にこの話をすると、口をそろえて、日本の音楽市場の多様性は、本当羨ましいって言うんですね。
多様性が?
ロック、ジャズ、ダンス、クラシック、アニメに、サントラ、そしてアイドルと、それぞれの市場がしっかり確立されていて、そして聴く人も、リスナーも多いと。
韓国の音楽界っていうのは、実はアイドル市場が今、大多数を占めてしまっていて、ちょっと偏り過ぎている、大きくなり過ぎてしまった、そこは日本から学ぶべきところが非常に多いし、日本ももしかすると、そういった日本の音楽市場のよさを生かして、世界へとアプローチする、いくらでもそういった世界への可能性っていうのは、あると思うんですよね。
日本のエンターテインメントのレベルっていうのは、高い?
当然だと思います。
ただ、韓国の世界での成功例っていうのは、ある種、ノウハウは十分に吸収して、それを日本なりに発展させて取り入れていくことが、世界への近道になるのかという気は、個人的にはします。
なるほど。
世界へ進出する新しい道を開いた韓国の音楽業界。
そこに挑戦する日本の若者たちの姿。
プロ野球の歴史にさん然と輝く奪三振王たち。
2018/01/30(火) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「韓国から世界デビュー!?スター☆新時代」[字]
▽世界デビューを夢みて韓国へ!?海を渡る日本の若者▽K−POP世界戦略「多国籍化」と「SNS」▽ジャスティン・ビーバー超え!全米No.1防弾少年団▽TWICEも
詳細情報
番組内容
【ゲスト】音楽ジャーナリスト…古家正亨,【キャスター】武田真一,田中泉
出演者
【ゲスト】音楽ジャーナリスト…古家正亨,【キャスター】武田真一,田中泉
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 定時・総合
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