西武Sトレイン、ダイヤ改正で「不人気」脱却か

運行本数やスピードは改善されるが…

昨年春から運行開始した西武「Sトレイン」(撮影:尾形文繁)

平日は西武池袋線の所沢と東京メトロ有楽町線の豊洲を結び、土曜・休日は池袋線・東京メトロ副都心線・東急東横線・みなとみらい線を直通して秩父と横浜方面を結ぶ全席指定のSトレイン(S-TRAIN)が昨年3月25日に運転を開始したが、平日は朝の上り1本を除いて、利用状況が芳しくない。そうしたなか、同社は1月25日に今年3月25日からのダイヤ改正を発表した。Sトレインの運行は改善されるのか。

そこで、現状では不人気と言わざるを得ないSトレインの平日新ダイヤにおける利便性等について考えてみたい。なお、土休日の運行についてはダイヤ改正で変化がなく、また、2017年11月17日付本オンライン記事(西武S-TRAINは「観光列車」として使えるか 横浜―秩父2時間の旅、乗ってわかった問題点)でも触れられているので、ここでは扱わない。

座席指定料金は510円

Sトレインの最大の特徴は、有料だが必ず座れるということだ。西武で有料の座席指定列車と言えば、特急レッドアローが知られているが、この車両(10000系)を使わず、40000系と名付けられたロングシート・クロスシート転換型の新型車両で運行を開始した。

この車両は普通の電車として使用する際はロングシートだが、Sトレインとして使用するときは回転して2人掛けシート(クロスシート)となり、進行方向を向く仕組みだ(車両端の3人掛けシートは固定)。新車両を使う理由は10000系が他社線の走行に対応していないことと、特急専用車両だと過密ダイヤでは送り込み時に支障が出るためだ。

有料座席定員制列車として使用する場合は、クロスシートに転換する(撮影:尾形文繁)

また、ロングシートとクロスシートの併用にすることで、効率よく車両を使うことができる。東武東上線でも特急専用車両ではなく、このタイプの新造車両50090系を使用した有料座席定員制電車「TJライナー」が平日夜の下りを中心に走っている。京王電鉄でも同様な機能を持った新型車両5000系を導入して、この春から有料座席指定列車として運行開始予定だ。

Sトレインの運行スケジュールは、まだ投入編成数が少ないために平日の場合、所沢から豊洲方面は4本、豊洲から所沢方面は3本だけだ。停車駅は所沢、保谷、石神井公園、飯田橋、有楽町、豊洲で、東京メトロ内だけおよび西武池袋線内だけは利用できず、座席指定料金は510円の均一料金となっている。巨大ターミナル駅である池袋に止まらず通過し、また、池袋線の急行停車駅であるひばりヶ丘にも止まらず、ひとつ池袋寄りの保谷に止まることも話題となった。

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  • NO NAME1152e276475f
    S-Train乗車経験者から言わせてもらうと最大の欠点は、はずれ席が多いということだ。
    窓のない座席、3人掛け横向き座席
    はいただけない。
    拝島ライナーもこのタイプの車両になるようで、残念に思う。
    ついでに、京王線に導入される京王ライナーもこのタイプの車両なのではないか?
    はずれ席は追加料金を払うに値しない。
    今からでも、レッドアローの車両に変更していただきたい。
    up11
    down1
    2018/2/2 06:27
  • NO NAMEb0f4b309793c
    Sトレインを保谷駅に停めたのは直通の電車の利用者が多かったことが理由だそうだが
    これは保谷駅は始発列車が多く設定され、座っていきたい利用者が多く利用しているため。
    そんな駅に「座っていけますよ」とSトレイン停めたってすでに着席という目的を達している利用者が別料金払って利用するわけがない。

    他にも西武は地下鉄への直通より本線で池袋駅に向かう利用者の方が多いことをわかっているのに
    ラッシュ時に地下鉄直通の快速や準急を練馬駅で編成の短い池袋行きの各停と接続させている。
    当然、各停に乗り換える多くの利用者で発車が遅れ遅延するだけでなく、すし詰めの各停は各駅でドアの開け閉めに手間取り遅延が拡大。
    他にも緩急接続で急行が後から来る各停を待つ設定が数多くの列車でされていたりと編成の頭を疑いたくなるような悪ダイヤ。
    西武鉄道はすぐにでも今の担当を更迭して根本からダイヤを再編成して欲しい。
    up11
    down3
    2018/2/2 06:42
  • NO NAMEca189e3fc099
     この記事を端的に言うと、過去の記事『乗り継ぎ時の「初乗り運賃」加算はおかしい
    東京の鉄道は今こそ「ゾーン制」を採用すべき』(2017年07月05日)の焼き直しの感がする。

     「最大のネックは料金にあるように思う。これはハード面での障害は何もないのでやる気があればすぐにできる話だが、各社の協力の中で運行しているものであり、料金の値下げに東京メトロ(休日の場合は東急も含めて)との合意は得にくいのだろう。現在は各社線の料金を加算する方式であり、運賃と同じで、割高になっている。」にそれが顕著に表れているように感じる。
     一方で、「拝島ライナーは人気が出そうだ」のくだりは、これは西武線内で完結するため他社間にまたがる運賃の加算が無いので対照的に好意的に記されている。

    教授のご高説を毎度たのしく読んでいる読者より
    up3
    down0
    2018/2/2 07:12
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