いつか、多くのみんなが直面するかもしれないことについて、先輩として書き記す。
ある日突然、それはやって来る。
承認した瞬間に何が起きるか。
これまであなたが投稿してきた全ての記事を、彼女が読み始める。
よく知った人、自分の身内が過去数年間に何をしてきたのかを知る機会なぞ人生にそうそうない。
思い返して欲しい。
仕事や人生にまつわる、青臭い悩みや宣言、愚痴がなかったかを。
娘をネタにした、大人から見ると微笑ましいエピソードとコメントのやりとりを。
これらを遡って娘だけに見えないように、表示範囲を制限することは非常に困難である。
だが、父としては張っておきたい見栄というものもあるのだ。
娘にFacebookアプリの利用を許可した時、友達とのコミュニケーションに使うのだろうな、と思っていた。
娘のアカウントを探す気もなかったし、いわんや繋がるつもりもなかった。
数年に渡る積み重ねを全部点検してからでないと、承認できない。
そして、友達になる前にアカウント単位での閲覧制限をする機能は現時点では存在しない。
つまり、制限をかけるためにはその前に全ての記事を読める状態で承認が必要なのだ。
あるいは、もう諦めて全てを見せてしまうか。
今、一年前までの投稿を確認し終えたが、これ以上遡ってチェックする気力がなくなりつつある。
だんだん瑣末なことに思えてきたのだ。
どうしてもみられて困るものは一件もなかった。
恥ずかしかったりカッコ悪かったり、ちょっと嫌われてもしょうがない。
ただ、遡るのを諦めたもっと昔の出来事で、本人がプライバシーを侵害されたと感じることがあるかもしれない。
娘から責められることもあるかもしれない。
父親のくせにくだらないことしてるなー、と思われることもあるかもしれない。
この数日、あれこれ考えた先輩としてお伝えしておく。
匿名実名問わず、子供から見ればほぼ確実に、それが親であることは特定できるということを。
ひょっとすると今はまだ、この世に生を受けていない人ですら含まれるということを。
……いや、まだ承認してないんですけどね。
続編を期待しています。