- 作者: 杉谷庄吾【人間プラモ】
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2018/01/27
- メディア: コミック
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huyukiitoichi.hatenadiary.jp
舞台となるのは2028年で、ちょうど10年後の未来。空間跳躍船ピカトリクス号は、”宇宙の真理”と”宇宙美女”を手に入れるため、天才科学者猫村博士とロボットのポピ子の二人を載せて地球を出発し、まずは月を目指す──という冒頭から、いきなり月面の裏側に超高度な都市を発見してしまう!これまでも探査機は月の裏側を撮影したことはあったが、月の裏側の住人はウソの映像を送り込んで誤魔化していたのだ
といった感じで最初はゆる〜く立ち上がり、その後も火星に行き火星大王に出会い、エウロパにいってエウロパ人に出会い、とポンポン都合よく星々を渡り異星人と出会い続けていくので、「あ〜なるほどそういう感じねハイハイ」と勝手に納得しながら読み進めると、次第に雰囲気が変わり始める。航行中にボイジャーと出会い、重力機関航法を用いた空間跳躍中にマヤ文明時代に宇宙へ飛び出した人間と出会い、おうし座HL星の分子雲の中で特殊な知性体と出会い──と、ゆるくはあるものの、まるでスペース・オペラ早巡りのように無数のSFネタと遭遇していくことになる。
その後も、超新星爆発直前の赤色超巨星であるベテルギウスに接近したら白色矮星や中性子星、ブラックホールの端的な解説が入るついでに超新星爆発の瞬間に巻き込まれ、KIC8462852にたどり着いて(不規則に通常ありえないほど減光するので地球外知的生命体の巨大建造物の影響ではないかと話題になった)、と、ちゃんとした宇宙科学ネタも踏まえながら、最終的には”宇宙の外”を目指し、読み進めていくうちにいろいろと沸き起こってくる疑問にも最後には綺麗にケリがつく。お見事なり。
猫村博士が道中で出会い、仲間にしていく美女たちも相変わらずデザインが素敵でとても素晴らしいのだけど、それ以上に超新星爆発や天の川銀河、ブラックホールに各種惑星といった”宇宙の描写”がウマくて、全体的にかなり満足できる内容に仕上がっている。多様な惑星をめぐってしっちゃかめっちゃかになるし、ブラックホールに飛び込んだりもするし、幾つかの大ネタもあるし──というわけで、これはもう和製インターステラーといってもいいんじゃないでしょうか(適当なことをいうな)。
- 作者: 杉谷庄吾【人間プラモ】
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2017/08/26
- メディア: Kindle版
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