楽天グループの通信会社、楽天コミュニケーションズは2月1日、民泊事業者向けに運用業務を効率化するサービス「あんしんステイIoT」の提供を始めた。テレビ電話を使ってチェックイン時の受付業務を遠隔化したり、旅行者がスマートロックを使って解錠できたりするようにし、運用業務を約3分の1に削減できるという。
宿泊施設のフロントにタブレット端末を設置。旅行者が顔やパスポートをカメラで撮影・提示したり、画面にサインを記入したりすると、テレビ電話で遠隔のオペレーターにつながり本人確認を受けられる。オペレーターが手元のシステムで予約情報などと照合し、チェックインの手続きをするという仕組みだ。
オペレーターの確保は、ベンチャー企業SQUEEZE(東京都港区)が担当する。同社は、受付業務などを外注したい宿泊施設と、代行するクラウドワーカーをマッチングするサービス「mister suite」を提供している。これまで培ったノウハウを新サービスに生かし、オペレーターが予約情報などを閲覧するシステム「suitebook」も用意する。
また、部屋の入口ドアにスマートロックを設置。旅行者がパスコードを入力するか、カードキー(Edyカード)を使って解錠できる。宿泊施設内に騒音を検知するセンサーも導入し、音量が高いと運用事業者に通知する仕組みも用意。録音はせず、音量レベルだけを監視するという。スマートロックと騒音検知は、7月から提供する予定。
両社が事前に行った実証実験によれば、これらのサービスを導入すると、1部屋当たりの運用時間(本人確認、鍵の管理、問い合わせ対応など)を約80分から約27分に削減できたという。今後は楽天会員であれば、チェックイン時の本人確認を省ける仕組みも導入する考えだ。ブロックチェーン技術など最新技術も投入し、各種サービスとの連携も進めていく。
民泊は、急増する訪日外国人の宿泊ニーズに対応すると期待されている。18年6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、全国で誰でも民泊を営業できるよう“解禁”される。そうした中、楽天コミュニケーションズの平井康文会長(兼社長)は「宿泊施設の運用を代行する事業者の重要性が高まる」と説明する。法律への対応、運用物件数の増加など課題を抱える宿泊施設のオーナーをターゲットに運用代行のニーズを見込む。
17年に楽天が、住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営するLIFULL(ライフル)と共同設立した「楽天LIFULL STAY」とのシナジーも構想。楽天LIFULL STAYが開設する、宿泊者と施設を結び付けるプラットフォーム「Vacation Stay」に登録した宿泊施設のオーナーに、あんしんステイIoTを売り込むことも検討する。
平井会長は「17年度中に数千の部屋への導入を目指す」と意気込む。「楽天コミュニケーションズは通信インフラ事業が中心だが、次の成長路線の担い手を検討してきた。当初は数十あった候補から絞り込み、この民泊向けIoT事業が当社の成長を加速するものと確信している」(平井)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビッグデータやAIを活用して1人1人の借入条件を算出する新しい金融サービスが誕生。今までと何が違うのか、20代の若手ビジネスパーソン・宮坂さんが試してみた。
「2020年までにクラウドでナンバーワンになる」は本当ですか? Oracle Cloudの「強み」「違い」をユーザー視点で聞いてみた。【Shift, Cloud】
「AIは万能だ」──間違った知識を身に付けていませんか? AIの現状をいち早く知ることで、他社に差を付けるチャンスを掴めるかも。ビジネス活用の今がここに