ゲームライター向けセミナー「eスポーツの取材にいってきて,と言われたら」聴講レポート。松井 悠氏が語る
小野氏は「紙媒体の頃はベテランの編集者がみっちりと若手ライターを育成する環境があったが,Web媒体が出てきたころから,イチからライターを育てていく環境は減ってきた」と語る。そうした理由から,ゲームライター同士の情報交換,人脈作り,若手の育成を目的とした本コミュニティを設立したという。
今回行われたセミナーもその一環で23回めの開催となる。登壇者はグループシンク代表取締役でゲームイベントのオーガナイザーなどで活躍する松井 悠氏と,「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U」のトッププレイヤーのAbadango氏だ。
セミナーの参加者はライターだけではなく,ゲーマーやデベロッパ,大会主催者側の人も参加しており,オープンな雰囲気だ。実際にライターを生業にしている人は3分の1ほどだった。
松井氏は,最低限おさえておくと良いこととして「大会の概要」「ゲームの概要」「プレイヤーの概要」と述べた。例えば「米国で開かれた大会の日本版」だとか「○○選手と○○選手は過去の大会で決勝でぶつかり,その因縁がある」だとか,そういう概要を知っておくことで,記事に「ストーリー性」を持たすことができる。また,取材する切り口も重要になる。どういう観点から対象を見るか,というのはライターに求められるスキルだろう。
ただし,ライターを生業にしている以上,原稿料に見合わないリソースを割り振ると食べていけないというわけで,割り振れるリソースにも限界がある。そしてリソースをかけずに「いい記事」を書くにはノウハウを蓄積していくしかない。
そうした中で,松井氏は読者やプレイヤーに対して「なるべくライターに優しくしてあげて欲しい」と語った。
つまるところ,ライターも人間であり,嫌な気持ちにもなる。「仕事を受けて取材にいく」わけだから,面倒だったり,嫌な思いをする仕事は受けなくなってしまう。そうなると,「e-Sportsの取材を受けてくれるライター」がいなくなり,メディアもそうしたイベントを取り上げづらくなる。結果,e-Sportsが人々の目に止まらなくなると説明した。
一方で,ライターに優しくすると,モチベーションが上がり「e-Sportsの仕事を受けてみようか」という気持ちが高まる。そして何度もe-Sportsイベントを取材することで,ノウハウも蓄積され,よりよい記事が書けるようになる。それがe-Sports業界にとって好循環になると語っていた。
簡単にまとめると,基本的に選手は取材されると嬉しいが,「最低限のリスペクト」は持ってほしいと語った。例えば「プレイしてるゲームをバカにしない」「プレイヤーとゲームの事前情報は調べておく」などだ。当然ながら対戦の邪魔をする行為は言語道断である。
松井氏とAbadango氏の2人の講演を聞いて感じたのは,ライターと選手がお互いに気を使っているということだ。「選手側が取材をしてほしい,ライターは直接選手に話を聞きたい。しかしお互いに声をかけづらい」という状況が往々にして生まれている。
松井氏は「みんなが優しく仲良くなれば,もっといい状況が生まれる」と語り,お互いに気を使わず,声をかけてみればいいと語った。
今回のセミナーの資料はSlideShareで公開(資料1,資料2)されているので,もう少し詳しい内容を知りたい人は目を通してみて欲しい。e-Sportsに関わりのある人には参考になるだろう。
今回の内容は「これが実践できる人は即戦力になれるんじゃないだろうか」というのが正直な感想だ。ライター向けのセミナーは不定期で開催されているので,興味のある人は参加してみるといいだろう。
「ゲームライターコミュニティ」公式サイト
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