【北京=原田逸策】中国工業情報化省の張峰総工程師は30日の記者会見で、2018年3月末に始まる国外のネットワークに接続するVPN(仮想私設網)の規制について「企業の合法的な経営活動に影響はない。心配する必要はない」と従来の主張を繰り返した。実際には昨秋以降、在中国の外資企業で原因不明の通信トラブルが相次いでおり、改めて規制への懸念が強まりそうだ。
VPNはインターネットや公衆ネットワークを使って拠点間に仮想的に専用線を引く技術。高コストの国際専用線の代替として中国では多くの外資企業が使う。通信を暗号化して検閲を回避できるので、中国のネットユーザーが海外のサイトを閲覧する時にも使う。
工業情報化省は昨年1月、無許可の個人向けVPNサービスを取り締まる通知を公表し、18年3月末から施行する。張氏は規制で情報が盗み見られる懸念があることには「(情報の)安全にはいかなる影響もない。市民の通信の自由と企業の通信の保護を憲法も規定している」と反論した。