四季報読破を20年間継続して感じることがある。それは、個別企業の業績を調べ、四季報コメントを確認することだけが「会社四季報の100%活用術」ではないということである。たとえば最新号の2018年1集新春号の8~11ページにある特集「10年前比比較ランキング」は投資アイデアの宝庫であり、特に10~11ページにある「時価総額ランキング」はちょっと見方を変えれば非常に有益な情報が満載でうまく使わない手はない。
この表は2007年10月31日から17年11月27日までの10年間で時価総額が大きく膨らんだものを上位からランキングしているもので、1位のRIZAPグループ(2928)の238.8倍から50位のサイバーエージェント(4751)の9.8倍まで並んでいる。
もしこれらの企業が大規模な増資を実施していなければ、この時価総額の増加倍率は、ほぼそのまま10年間の株価の上昇倍率になるはずで、50位でも9.8倍ということは、この表は10年で「テンバガー(10倍株)」になった銘柄リストということになる。つまり、これらテンバガー銘柄の10年前から現在までの経緯を分析するなど、10倍以上になった要因や条件、共通点などを見つけることができれば、今後の「テンバガー」候補のヒントになるのではないかということだ。
そのやり方だが、1つ目は「四季報アーカイブ(オンラインの有料サービス)」を活用して過去の四季報記事をすべて見ながら、その企業のこれまでの変遷を調べる方法だ。2つ目はランキング表に少し手を加えて検証し、これらテンバガー銘柄の傾向をあぶり出して、その条件にあった銘柄をスクリーニングする方法である。
では実際に一つ目の「四季報アーカイブ」を活用する方法で、1位のRIZAPグループについて、以下の同社の株価チャートも確認しながら、その変遷を検証していきたい。なおこのチャートは株式分割などの影響を考慮した「修正株価」で、株価を示す縦軸は「対数表示(=1目盛上がると株価は10倍になる)」になっていることを注意して見てほしい。