子供がまだ妻のお腹にいた頃から、ヤンメイは読み聞かせをしていました。学術的な根拠とかは検証してないので、完全な自己満足でしたが。一応、子供向け絵本で、メジャーな昔話系を日々読んでいました。
すると、よくこの話はなんの意味があるのか?と妻に尋ねられました。
そう、妻は中国人で日本の昔話のスタンダードを知らなかったので。日本の昔話特有の終わり方に違和感があったようです。
今回はそんな、日中昔話のお話。
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現在、子供も大きくなり、絵本を読むのが大好きです。ヤンメイ、帰りが遅く、なかなか夜は子供と会えないのですが。出勤前や休みの日には必ず絵本を読むことにしています。現代物が多いけれど、たまには昔話も。
この昔話を読むとき、実は妻も聞いています。スマホとかいじっているクセにしっかり耳には入っているらしく、後から感想やらツッコミが入ります。
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中国の昔話=教育
妻にとって一番違和感があったのは、日本の昔話には教訓があまりないことです。
どういうことか?
例えば、「みにくいアヒルの子」は外見で人を判断してはいけない、とかみんなと違ってもちゃんと成長できるから大丈夫、みたいな教訓を含んでいます。
「金の斧と銀の斧」は正直を勧め、ウソつきを戒めています。
でも、これは外国のお話。
実は、日本の昔話は、意外に説教臭くないというか、かくあるべし!みたいな結論がないものが多いんですよ。これが、ヤンメイ妻にはどうもしっくりこない。
なんでなんの教訓もないのよ?
意味は?
例は挙げてくれませんでしたが、中国の昔話は必ず教訓を伴うのだそうです。かくあるべし、という人の世の模範とか、行うべき善を物語に含ませているんだとか。
物語を楽しむ日本?
対して、日本はストーリー自体を楽しむというのか、この手の教訓があまりないです。部分的にはないこともないけど、全体を通して見るとあやふやになっています。
桃太郎
老夫婦に拾われた子供が、成長してから功名を立て、老夫婦に宝を持ち帰る話。(違うバージョンもありますが)
老夫婦は拾い子をせよ!という話?もしくは、育てられた恩は返しなさい、という訓話?どちらのメッセージも感じなかったけど。
教訓度 20%
かぐや姫
竹から生まれた女の子が老夫婦に育てられるが、妙齢の美女に育ったところで貴族達からの求婚を難題をふっかけて退け、これといった恩返しもせず月に帰っていくお話。
そもそも、出生地ではあるが知る人もない故郷に帰ることが果たして幸せなのか?なぜ迎えが来るのか?つっこみどころいっぱいです。
教訓度 5%
ツルの恩返し
良いことをすれば良いことが返ってくるが、約束を破ればバチが当たる、みたいな教訓なんでしょうか?
なんでツルは帰ってしまったのかを訊かれると、なかなか返答が難しいお話です。
教訓度 30%
舌切り雀
スズメに優しく、労苦を厭わずスズメを追っていったお爺さんは歓待されて財宝のお土産をもらい、スズメの舌を切り、宝物を欲張ったお婆さんは化け物入りのつづらを渡される(命を落とすバージョンもあるらしい)、勧善懲悪の典型。
教訓度 100%
まぁ、他にも色々ありますが、あまり教訓重視の話ばかりではないですよね。ちなみに、ここでの教訓度とは完全なヤンメイ主観なので悪しからず。
中国人妻の許せない話
そんな色々読んできた中で、妻が最も憤慨し、納得いかないお話がこれです。
浦島太郎!
この乙姫ってヤツはなんなのか!?
お礼をしたくて招待したんじゃないのか?
それで、恩人に老化爆弾を渡して帰すとはなんて不義理なヤツだ!!
そもそも、これは誰が悪いのか?では、浦島太郎はカメを助けなければ良かったのか?
なんの教訓もない上に不条理ではないかっ!!
とまぁ、こんな主張です。
うん、分かるよ。確かにつっこみどころ満載ですから。子供の頃はあまり疑問にも思わなかったけど、不条理と言えば不条理。大人だからか外国人だからか、そういうとこが気になるって、面白いです。
でも、困っている者(亀)は助けよう、とか、動物をいじめてはいけない、とか、約束を破ってはいけない、とか。それなりに中国人好みに教訓も入ってるよ。
浦島 THE ORIGIN
しかも、あまりみんな知らないのだけど、この浦島太郎は結構改編されているのです。一時期流行った「本当は怖いグリム童話」みたいなもので、後世に手が加えられているんですよ。
つまり、明治以降に教科書に載る形で書き換えられたのが、現代人の知る浦島太郎。当時の国定教科書なので、不条理なりに中国人好みに訓話臭がするわけです。
原典と言われるものは複数あるので、これが起源、と断定は難しそうですが。ざっくり言うと、異世界(仙人界)から美女(乙姫)がやって来て、男(浦島)を自分達の世界に連れて行き結婚する話です。里心がつき、元の世界に帰る男に玉手箱的なアイテムが渡された後の展開はそれぞれです。
ただ、この話の肝は「どっきり!異世界から美女が現れて、貴方を異世界に誘うよ!!」というストーリー自体なのかな、と。
おそらく、「異世界転送(滞在)モノ」って、今だにその類型が作られ続けている1つの黄金パターンですが。当時は相当型破りなストーリーだったのではないか?と。それ自体が新しくて価値があったというかね。
この「毒にも薬にもならないけど、お話自体を楽しむ」という現代でいう小説や映画を楽しむような、昔の人のゆとりの表れが日本の昔話、ひいては「浦島太郎」の特徴なんだと思います。だから、意味もオチも大してない。だって、作者は今までにないお話を書くこと自体が目的だったから。
まぁ、全部ヤンメイの想像ですけど。こんなんじゃ、浦島太郎のひどいオチの説明になりませんかね?
ともあれ、教訓のない昔話はウチの中国人にウケません、というお話でした。