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トヨタ 世界3位に後退のワケ
トヨタ自動車は去年1年間のグループ全体の販売台数が世界全体で1038万台となり、世界3位に後退しました。トップは2年連続でドイツのフォルクスワーゲンで1074万台、2位は日産自動車とフランスのルノー、それに、三菱自動車工業のグループで1060万台でした。
トヨタはずっと世界一だと思っていましたが、去年はフォルクスワーゲンだけでなく、日産・ルノーにも抜かれてしまったんですね。
トヨタがアメリカのGM=ゼネラル・モーターズを抜いて初めて世界トップに立ったのは2008年。その後、2011年に東日本大震災の影響で4位に転落したんだけど、翌年から4年連続で首位をキープしてきたの。
ところが、おととし(2016年)、ドイツのフォルクスワーゲンに5年ぶりに首位を明け渡したのに続き、去年は(2017年)三菱自動車を傘下におさめた日産とルノーのグループにも抜かれ、3位に後退したのよ。
何が明暗を分けたんですか?
理由はいくつかあるけど、いちばん大きな要因は中国での売れ行き。上位2つのグループに比べ、売れ行きが伸びなかったのよ。ライバルのフォルクスワーゲンは1985年に中国に進出し、着々と販売網を広げて、去年は418万台を販売した。
それに対して、トヨタが本格進出したのは2000年で、去年の販売台数は半分以下の129万台にとどまっている。中国は年間で日本の5倍以上に当たる2800万台の新車が販売される世界一の自動車市場に成長したわけだけど、トヨタの場合は、進出の遅れが今も響いているわけ。
中国で巻き返せるかがトップ奪還の鍵を握るというわけですか。
もちろんそうなんだけど、トヨタが目指しているのは、それだけではないみたい。世界の自動車業界は、これまで4つの巨大グループが1000万台規模に上る販売台数を競ってきたわけだけど、トヨタは最近、“むやみに規模の拡大を追わない”として、戦略の見直しを進めているの。
その中で、特に力を入れているのは、自動運転など新しい技術を活用したサービス事業なのよ。例えば、今月(1月)アメリカのラスベガスで開かれたショーで発表した、自動運転で走行する箱型のコンセプトカー。
これは商品の配送やライドシェアと呼ばれる車の相乗りサービスなどを想定していて、従来のような、いわゆるマイカーとは一線を画した車として注目を集めたの。
最近ではカーシェアリングなど車を持たずに利用する人が増えていますし、海外ではウーバーのような相乗りサービスも拡大していますよね。そういうシェアリングサービスの流れがさらに強まっていくということですか。
そういうことね。数年後には無人のタクシーが実現するかも、と言われているけど、自動運転の技術が進むにつれて、今、車の使い方、サービスが大きく変わろうとしている。そういう中で、ただ新車を売る、というビジネスモデルだけではいずれ限界が来るという危機感があるのかもしれない。
いい車をつくるというだけでなく、車の使い方も含めた新しいサービスをどう生み出していくか。トヨタだけでなく、多くの自動車メーカーにとって、課題になりそうね。
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