自民党の小野田紀美参院議員=東京・永田町の参院議員会館(斎藤良雄撮影)

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 政治家としての原点は、保育園のころに抱いた将来の夢にあります。

 「正義の味方になりたい」。当時はアニメの「ドラゴンボール」や「キン肉マン」、特撮ヒーローの「ジライヤ」が好きでした。「ジライヤ」には人生を教わったといってもいいぐらいです。

 でも「正義の味方」として正しくありたい私が、22歳までにすべき国籍選択に27歳まで気づかず、米国籍の国籍離脱の努力義務も怠っていました。米国で生まれ、1歳から日本人の母と岡山県で暮らし始めましたが、自民党の参院議員公募に応募する際、万一と思って調べ、判明したのです。

 口だけでは信用されないと思ったので、国民に謝罪した上で戸籍謄本を公開したいとお願いしました。隠すことで自分に曇りを作りたくなかった。何より国民が自国の国会議員を疑ったまま暮らすのは不幸だと思いました。

「ガイジン」いじめられた

 民進党を離党した蓮舫元代表(現立憲民主党参院国対委員長)は当初、家族のプライバシーを理由に戸籍謄本の公開を拒みました。私は住所や家族などプライバシーに関する部分を黒塗りで出しましたが、なぜこの対応だけでも即座にできなかったのか。一番許せなかったのは、蓮舫氏が戸籍の公開を求める人々を「差別主義者」と呼んだことです。あの発言は海外の血が入った人とそうでない人の対立をつくってしまった。

 黒人のハーフ、白人のハーフ、ラテン系のハーフ、あるいは百パーセント血は海外で国籍は日本と、国際化した日本ではさまざまな人が生きています。私も小さなころから「ガイジン」といじめられ、石を投げられました。本当の意味で差別をなくすためには隠してはいけない。隠すから「怪しい」「日本に牙をむこうとしている」と疑念を抱かれる。隠せばいいと考える人は、書類を隠しても顔で分かる人たちのことを考えているのでしょうか。

必死に育ててくれた母

 国会議員になると、これが正しいと一人で突っ走っても「大海の中の一滴」感がすごいですね。その中で一つでも多く、おかしなことを変えていきたい。

 例えば、母子家庭の支援問題。母子家庭は貧困率が高いので「こう母子加算をします」といった話になりがちですが、なぜ母子家庭が貧困に陥るかという根本論には光があたりません。

 米国などは、養育費の不払いに対し運転免許更新停止などの罰則がありますが日本にはありません。「困っているなら、とりあえず金を渡す」では政治でないと思うのです。

 私自身も母子家庭の出身です。父は養育費を一銭も払ってくれなかったので、母はダブルワークで必死に育ててくれました。養育費を支払うべき人間が支払う仕組みにすべきで、死ぬ気で働いて納めた税金が養育費不払いの親にも使われるような世の中はおかしい。

 以前、私が国会で飛ばしたやじで先輩議員が野党に責められたと聞き、今はブレーキをかけています。ただ、それでは私らしさがない。もう一度、アグレッシブな、空気を読まない私を取り戻したい。基本はオタクなので、目立たないように攻める一年としたいですね。

(原川貴郎)

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 おのだ・きみ 1982(昭和57)年、米イリノイ州シカゴ生まれ。1歳から岡山県邑久町(現瀬戸内市)で育つ。拓殖大政経学部卒業後、CD・ゲーム制作会社で広報・プロモーション・制作を担当。TOKYO自民党政経塾(5期生)、東京都北区議会議員を経て、平成28年の参院選で岡山県選挙区から出馬し、初当選。